ドル/円、145円が視野に!口先介入では止まらない円安基調…ECBフォーラムはさらに円安を加速させるか!?
本日、東京市場のドル/円は、高値圏で上値の重い展開。早朝に神田財務官が「過度な動きがあれば適切に対応」「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視」などと円安をけん制したことで144円台を割り込むと、一時143.73円前後まで軟化しました。その後は、反発したものの昨日高値の144.17円前後を前に伸び悩みました。
欧州勢の参入後は、円売りが再開しクロス円が上昇。ドル/円は144.25円前後と年初来高値を更新するも米債利回りが低下したことから143.80円台まで反落しました。ユーロ/円については157.99円前後と2008年9月以来の高値を更新しました。
今夜は、欧州中銀(ECB)主催のイベント(ECBフォーラム)で、日米英ユーロ圏の中銀総裁が揃ってパネルディスカッションを行います。海外中銀と日銀による金融政策のスタンスの違いが際立つようだと、改めて円売りが強まる可能性があります。ドル/円は145円を試す展開も考えられそうです。一方で、日本政府筋による円安けん制が続いています。けん制が入ると円高に反応しますが、時間が経つと円売りが再開するなど一時的な効果となっています。口先介入の効力は持続性に乏しいと見られますが引き続き注意が必要でしょう。
テクニカル分析で見ると、10・20・80日移動平均線が上向きを維持しつつ乖離幅を拡大していることなどから上昇基調が継続していることがわかります。なお、4時間足ですと、144円台で上ヒゲが連発しており伸び悩んでいます。終値で明確に上抜けるようだと145円に向けて上値摸索となりそうです。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
6/28(水)
21:30 米5月卸売在庫
22:30☆植田日銀総裁、パウエルFRB議長、ベイリーBOE総裁、ラガルドECB総裁パネルディスカッション
23:30 EIA週間原油在庫統計
24:00☆ラガルドECB総裁講演
25:00 ビルロワドガロー仏中銀総裁講演
26:00 米7年債入札(350億ドル)
6/29(木)
10:30 豪5月小売売上高
※☆は特に注目の材料
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今日の注目トピック
足元の円安基調が強まる中で政府による円安けん制が相次いでいます。本日は神田財務官に加えて鈴木財務相が「行き過ぎた動きには適切に対応する」「安定した推移が望ましい」などと発言しています。しかし市場の反応は限定的で、けん制後に年初来高値を更新するなど円安の流れは続いています。昨年、円買い介入が実施された145円台が近づいていることで介入警戒感が高まっています。一方で150円近くまで介入はないのではないかとの声も上がっています。コロナ渦が明け、海外観光客が増える中で今の円安は日本経済にはメリットとなります。また、足元のボラティリティが昨年と比べて低くなっていることなどからもう少し様子を見るのではという見方もあります。とはいえ、介入のタイミングは関係者しかわかりませんので、円安けん制発言の内容から介入の可能性を探っていきましょう。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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