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ユーロ/円の6月見通し「ユーロは強弱材料が混在」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のユーロ/円ポジション動向
・6月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 6月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 5月の推移

5月のユーロ/円相場は146.129~151.609円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.8%下落した(ユーロ安・円高)。前月末の日銀による緩和維持を受けたユーロ高・円安基調が続き、2日に151.61円前後まで上伸。2018年9月以来の高値を付けたがその後は失速した。4日、欧州中銀(ECB)の利上げ幅縮小で利上げ局面の終了が近いとの観測が強まると11日にはおよそ1カ月ぶりに146.13円前後まで反落した。

その後は円安主導で持ち直したものの、ユーロ圏の中核国であるドイツの景気後退(リセッション)を巡る懸念などから伸び悩んだ。29日には151円台を回復する場面もあったが、31日には本邦財務省・金融庁・日銀が三者会合を開催したことが円安けん制と受け止められたほか、独5月消費者物価指数(CPI)が予想以上に鈍化したことで148円台へと押し戻された。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

2日
ユーロ圏4月CPI・速報値は前年比+7.0%と市場予想(+6.9%)を上回る伸びとなった。エネルギーや食品などを除いたコアCPIは前年比+5.6%で予想通りだった。

4日
ECBは大方の予想通りに主要政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き上げて3.75%とした。利上げ幅は前回の50bpから縮小させたが、声明で「インフレ率を目標の2%に戻すのに十分に景気抑制的な水準まで金利を引き上げる」とあらためて表明。
ラガルド総裁も会見で「我々にはまだすべきことがある」「利上げは停止しない。それはきわめて明白だ」などと述べた。

10日
ドイツ連銀のナーゲル総裁は「利上げはまだ終わりではないし、コアインフレ率の抑制はなお必要」としながらも「景気抑制的と見なされる領域に金融政策が達したという意味で、ECBの仕事は最後の追い込みに入った」と利上げサイクルが終盤に近付いたとの認識を示した。

その後、ポルトガル中銀のセンテノ総裁も「われわれはターミナルレート(政策金利の最終到達点)に近づいているはず」とし、「2024年のある時点から利下げが開始される」との見解を示した。

16日
独5月ZEW景気期待指数は-10.7と市場予想(-5.0)を下回り3カ月連続で悪化。同時に発表されたユーロ圏1-3月期域内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.1%で速報値からの修正はなかった。また、ユーロ圏3月貿易収支は、輸出が伸びて輸入が減少したことから256億ユーロの黒字となった。

19日
ラガルドECB総裁は「ECBはインフレ率を2%に下げるため必要な決断を下す」 「政策金利は依然として持続的に高水準である必要がある」などと発言した。

22日
日経平均株価が31000円台へ上昇して33年ぶりの高値を付けた。海外投資家による日本株買い観測がこの日も株価を押し上げた。同時に海外投資家によるヘッジ目的の円売り観測も強まった。

23日
独5月PMI・速報値は製造業が42.9と予想(45.0)に反して低下した一方、サービス業は57.8と予想外に上昇した(予想55.0)。その後に発表されたユーロ圏5月PMI・速報値も傾向は概ね同じで、製造業は44.6と予想(46.0)を下回ったが、サービス業は53.3と概ね予想通り(予想53.5)だった。

24日
独5月IFO企業景況感指数は91.7と市場予想(93.0)を下回り、7カ月ぶりに前月比で低下した。

25日
独1-3月期GDP・改定値は前期比-0.3%と速報値の±0.0%から下方修正された。2022年10-12月期の-0.5%に続く2四半期連続のマイナスで、ドイツは定義上の景気後退(リセッション)入りとなった。

31日
独5月CPI・速報値は前月比-0.1%、前年比+6.1%といずれも予想(+0.2%、+6.5%)を下回り、4月の+0.4%、+7.2%から伸びが鈍化した。欧州連合(EU)基準の5月CPIは前年比+6.3%だった(予想+6.7%、前月+7.6%)。

5月の各市場

5月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 6月の見通し

ユーロの強みは欧州中銀(ECB)が6月15日の理事会に続き7月27日の理事会でも利上げを行う見通しで、米連邦準備制度理事会(FRB)よりも利上げ期間が長期化しそうな点だろう。資源価格の下落により供給面からのインフレ圧力は弱まったが、賃金上昇などを通じて需要サイドからのインフレ圧力は高止まりしている。このため、ECBとしては引き締めの手をすぐに緩めるわけにはいかないだろう。

一方、中核国のドイツが2四半期連続のマイナス成長となり、定義上の景気後退(テクニカル・リセッション)局面に入ったと見られる点はユーロの弱みであろう。中国の景気減速も相まって、ドイツ経済の浮沈を握る製造業の苦戦はもうしばらく続くとの見方が多い。通貨ユーロにとっては強弱の材料が混在することから、方向感が出にくい時間帯が続きそうだ。いきおい、ユーロ/円相場は「円」の動きがカギを握ることになるだろう。

円相場を見る上では、15-16日の日銀金融政策決定会合が注目される。植田日銀総裁はイールドカーブ・コントロール(YCC)も含めて大規模金融緩和を当面維持する考えを度々示しているが、YCCの持続性に疑問を抱く一部の市場参加者は、早ければ6月会合でYCCの修正に動くとの見方を捨てていないようだ。植田総裁の言葉通りにYCCの修正を見送れば、円が売られる可能性はあるだろう。もっとも、仮に6月に修正を見送っても、展望リポートが更新される7月には修正されるとの観測が残ることが予想されるため、円相場が大幅に下落することは考えにくい。6月のユーロ/円相場は5月のレンジ(146.13~151.61円前後)を踏襲した動きになりそうだ。
(予想レンジ:146.000~152.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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