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ドル/円の6月見通し「6月第三週はFRB、ECB、日銀の『中銀ウイーク』」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のドル/円ポジション動向
・6月の日・米注目イベント
・ドル/円 6月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 5月の推移

5月のドル/円相場は133.502~140.928円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.2%上昇した(ドル高・円安)。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げ打ち止めを示唆したとの見方から4日に133.50円前後まで下落したが、5日に発表された米4月雇用統計が良好だったことなどから持ち直すと18日には3月高値(137.91円前後)を上抜けて年初来高値を更新。米債務上限問題を巡る混乱はドル/円の重しにならなかった。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は19日の講演で6月の利上げ停止を示唆したが、22日にはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁とセントルイス連銀のブラード総裁が利上げ継続の必要性に言及。24日にもウォラーFRB理事が6月利上げの可能性 に言及するなど、FRB内で利上げについて見解が分かれていることが明らかになった。

植田日銀総裁が金融緩和を維持するスタンスを示した25日には一時140円台へ上昇。30日には2022年11月以来の140.93円前後まで上値を伸ばしたが、その後は月末前の持ち高調整などでやや押し戻された。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米4月ISM製造業景況指数は47.1と6カ月連続で分岐点の50.0を下回ったものの、市場予想(46.8)はやや上回った。内訳の指数では新規受注、雇用が揃って上昇。仕入価格も2022年7月以来の水準に上昇した。

3日
FOMCは大方の予想通りに政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き上げて5.00-5.25%とした。声明で「インフレ率を2%に戻すために追加的な金融政策の引き締めがどの程度適切かを決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する」と表明。前回の「幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれない」との文言を削除した。パウエルFRB議長はその後の会見で、現在の利上げ局面について「始まりよりも終わりにずっと近付いている」などと発言した。

5日
米4月雇用統計は非農業部門雇用者数が25.3万人増と市場予想(18.5万人増)を上回った。失業率は3.4%となり、1月にも記録した約54年ぶりの低水準に並び、前月(3.5%)及び市場予想(3.6%)を下回った。平均時給は前月比+0.5%、前年比+4.4%といずれも予想(+0.3%、+4.2%)を上回る伸びとなった。

10日
米4月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%と3月の+0.1%から加速したが、前年比では+4.9%に鈍化して(3月+5.0%)、市場予想の+5.0%を下回った。食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+5.5%へ予想通りにやや鈍化した(3月+5.6%)。

19日
日本4月CPIは、生鮮食品を除いたコアベースで前年比+3.4%と予想に一致。前月(+3.1%)から上昇幅が拡大した。植田日銀総裁はコアCPIについて「今年度半ばにかけて2%を下回る水準までプラス幅を縮小する」との見通しを示し「現在はしっかりと金融緩和を続けていくことが必要」と発言した。その後、パウエルFRB議長は「金利をそれほど引き上げる必要はないかもしれない」と発言。地銀破綻などの影響を考慮して利上げを停止する可能性を示唆した。

25日
大手格付け会社フィッチは米国の「AAA」格付けについて、債務上限問題を巡る混乱を背景に引き下げ方向で見直すと発表。この日、植田日銀総裁は「基調的な物価上昇率が少しずつ上がってきているのは事実だが、2%目標にはまだ届いていない」「あまり急いで引き締めると、雇用等に大きなマイナスの影響が及ぶ」とした一方、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正について、「誘導対象を10年金利から5年金利に短期化するのもひとつのオプション」などと発言した。

26日
米4月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+4.4%で、予想(+4.3%)を上回り前月(+4.2%)から加速した。食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+4.7%(予想、前回ともに+4.6%)だった。

29日
前週末27日に、バイデン米大統領と米共和党のマッカーシー下院議長が2年間の債務上限引き上げで原則合意した。合意に基づく法案を作成したのち、31日に下院で採決を行う予定も明らかになった。

30日
財務省・金融庁・日銀が国際金融資本市場について情報交換会合を開催すると報じられると、円安けん制への警戒感が高まり円を買い戻す動きが強まった。その後、神田財務官が会見を行い、為替相場について「過度な変動は望ましくない」「必要であれば適切に対応する」「必要であればあらゆるオプションを否定しない」「口先介入の狙いは全くない」などと発言した。

5月の各市場

5月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月の日・米注目イベント

ドル/円 6月の見通し

6月のドル/円相場はいくぶん上値の重い展開が見込まれる。6月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における追加利上げの有無は微妙な情勢ながら、仮に25bp(0.25%ポイント)の利上げに動いたとしても引き締めサイクルの「打ち止め感」が出そうなことからドルの上昇余地は大きくなさそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は5月19日の講演で「金利をそれほど引き上げる必要はないかもしれない」と発言している。もし、6月利上げを見送れば7月FOMC(25-26日)での追加利上げ期待は残ると見られるが、いずれにしても利上げの終了が近いとの見方は変わらないだろう。

他方、15-16日の日銀金融政策決定会合ではイールドカーブ・コントロール(YCC)に何らかの修正が加えられるとの観測がくすぶっている。仮に6月は修正を見送っても、展望リポートで物価見通しが更新される7月会合(27-28日)では修正されるとの見方 は残ると見られる。このため、円売りも強まりにくそうだ。もう一点は、5月末に財務省・金融庁・日銀が情報交換会合(三者会合)を開催したことで、市場に円買い介入への警戒感が浮上したことが挙げられる。昨年9月に円買い介入を行った水準が145円台後半であったため、市場としては145円を「介入ポイント」として意識せざるを得ない。ドル/円が5月の三者会合直前に付けた年初来高値140.93円前後を上抜ければ介入警戒感が徐々に増すと考えられる。

これらの点を踏まえ、6月のドル/円相場は再び140円を超えたとしても伸び悩む展開を予想している。一方で、日米金利差が急速には縮小しないと見られることや、日本の貿易赤字が定着していることなどから135円に近付けば下げ渋ると見る。
(予想レンジ:135.000~143.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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