銀行員の父親の勧めで、小学生時代に個別株投資で300万円もの利益を出した経験を持つ兼業トレーダーのゆーじさん。さまざまな投資商品で資産運用の経験を持ちながら、父親との会話から「個人投資家が為替相場で利益を出すのは難しい」と考えて、長年FX投資で本格的にトレードすることを控えてきました。しかし、本業、複業、投資で収入を増やし、生活に余裕が出てきたことから、売買差益狙いのFXトレードを3年前に開始、直近の1年3カ月で4,500万円超という素晴らしい成績を収めています。なぜ利益を獲得するのが難しいと思っていたFXに挑戦することにしたのか、どうして好成績を収められるようになったのか、そして、5人の子どもの父親であるゆーじさんに、自身が受けたような金銭教育を行なっているのかなど、詳しくお話を伺いました。<インタビューの前半はコチラ>
ハンドルネーム :ゆーじ氏
年齢性別 :40代男性
職業 :兼業トレーダー
FX歴 :5年(ただし大学生〜社会人始めのころに経験あり、外為どっとコムでは2021年〜)
収支 :2021年10月〜2023年2月(1年4カ月)で4,500万円超の利益
トレードスタイル:デイトレード&スイング
他の投資商品 :株式投資、(現物・信用)コモディティ、バイナリーオプションなど
趣味 :ファミリーキャンプ、旅行
▼目次
1.FXはモニター1台で十分
2.ヤフーニュースと株式ニュースをチェック
3.相場はライン表示させた「絵」で読む
4.短時間でたくさんトレードしたい
5.チャートの時間と値幅軸を一定にして振れ幅を予測
6.損切りラインがないからストップ注文は入れない
7.明確なルールで投資は行うべき
8.1年4カ月で4,500万円超の利益
9.お小遣いを利用してコミュニケーション能力を高める子育て
FXはモニター1台で十分
編集部:- ゆーじさんの取引環境を教えてください。
ゆーじさん:- 取引はトレード用と情報収集用のアプリのふたつを広げてやっていますが、モニターは1台です。
編集部:- シングルモニターで取引されているのですか?私たちのゆーじさんのイメージと、ちょっと違いました(笑)。ゆーじさんは株式投資などもいろいろと運用されているので、モニターが6面くらい並んでいて、プロディーラーみたいな環境で運用されているのかと思いました?!
ゆーじさん:- 在宅勤務で仕事をしているときも、妻から「仕事をしているのか、FX投資をしているのかわからない」って言われました(笑)。でも、2画面が開ければ、いろいろできちゃうので十分ですよね。
編集部:- FX初心者の人たちはトップトレーダーになるためには、たくさんのモニターを並べてトレードしないとダメなんじゃないかと思っている人が結構いるんですよ。
ゆーじさん:- トレーディングルームで仕事をするプロトレーダーも、ひとつのトレードに対して、どれくらいの情報を確認しているのかというと、実はそんなに多くないのではないかと考えているんです。今やるべきことが決まっていれば、それに必要な情報はたいして多くないと思うし、情報が増えると”ノイズ”になるんじゃないかなと。
編集部:- 余計な情報が入り過ぎるとかえって良くない場合があるということですね?
ゆーじさん:- トレードが失敗したときに理由を調べると、確かに別の通貨ペアでは、いつもと違う動きがあって、それが原因なのかもしれませんが、それが発生している瞬間に、リアルタイムでその情報を拾えるかというと、できる人はいるのかもしれませんが、私には無理なんです。だから、「この時間帯にこの通貨ペアでトレードするなら、このテクニカルを見ておく」というように事前に決めています。
ヤフーニュースと株式ニュースをチェック
編集部:- 確認するべきものを事前に限定しているのですね。例えばドル/円なら、どんなものを事前にチェックしていますか?
ゆーじさん:- ドル/円なら、日本の情報として、相場に影響がありそうな「変なものが出ていないかな」ということをヤフーニュースで確認します。
編集部:- ポータルサイトのニュースですか?
ゆーじさん:- はい。それに加えて、平日日中だったら、株式ニュースも見ています。何か為替に影響しそうなニュースが出ていないか、コア30に入るような企業から午後3時以降に何か発表がないかをチェックしますね。
編集部:- つまり、誰でも入手可能な情報で十分だということですね?
ゆーじさん:- 私はその程度しか見ていないし、見られないっていうのが正直なところですね。
編集部:- トップトレーダーだからと言って、ロイターやブルームバーグのような情報ベンダーと契約して、高いお金を払って情報を得る必要はないということですね?
ゆーじさん:- 一時期、そうした情報が見られる環境にいたことがありました。でも、私には意味がなかったです。トレードに生かすというよりも、記事を読んでいるほうが楽しくなっちゃって(笑)。
相場はライン表示させた「絵」で読む
編集部:- ゆーじさんは、自分に必要なものだけを使ってトレードするスタイルなのですね。それでいうと、ゆーじさんはIFDのような複合注文を上手に利用されていて、素晴らしい成績を残されている印象があるのですが、指値やトレール幅はどのような判断をされているのでしょうか?
ゆーじさん:- ベースにはテクニカル分析があるんです。この相場だったら、こういう動きになりそうだと。過去にこういうパターンがあったよねと。ただ、そこが絞りきれなくて、そこから先は感性に頼ってしまうのが、自分でもすごく気に入らないんです(笑)。
編集部:- なるほど過去データの蓄積があって、それを使って判断しているのですね?
ゆーじさん:- そうですね。それと、チャート上にいろいろと表示させないようにしているんですが、それはチャートの線をそのまま見たいからです。
編集部:- チャートの線を見るのですか?
ゆーじさん:- 何分何秒のココとココを結んだ線が見たくて。
編集部:- ローソク足ではないのですか?
ゆーじさん:- 普通のラインですね。上がり方や下がり方のイメージを掴みたいんです。だから、時間軸の幅はできるだけ長くとります。「細かく」しかも「できるだけ長く」というのがいいんです。
編集部:- ゆーじさんには5分がちょうどいい訳ですね?
ゆーじさん:- 市場がオープンした直後なら1分でもいいかもしれません。見るタイミング次第なんです。
短時間でたくさんトレードしたい
編集部:- 前日のニューヨーク市場のクローズを見て、東京市場のオープンがどうなるかを予想して、それで注文を入れられているのですか?ゆーじさんの注文の精度がものすごく高くて、素晴らしいなと思っているんです。ローソク足でチャートを見る人が多い中、ゆーじさんはラインで見ている理由はどんなところなのでしょうか?
ゆーじさん:- ローソク足だと色々と気になっちゃうんですよ。ヒゲが長いとか、短いとか。テクニカル分析で売買したいと思っているので、ローソク足の見方、ヒゲの見方、相場の格言も含めて、気になり過ぎて、エントリーできるポイントが本当に減ってしまうんです。
編集部:- トレードそのものができなくなるということでしょうか?
ゆーじさん:- 情報量が多すぎると、該当することが多くなり、どんどんとできないことが増えちゃうんです。チャートを見ている時間だけが長くなる(笑)。理論的には情報量の多いローソク足を見たときのほうが、利益が獲得できる確率は上がるべきですよね。エントリーできる回数が減っても、利益が得られる回数が増えるほうがいいはずだって思っていたんですが、いざエントリーできずに見逃すと、それがものすごくしんどいんです(笑)。
編集部:- 忙しい中の”隙間”にされるわけですからね。
ゆーじさん:- パッと見たときに「いいぞ」と思ったら、一回でもエントリーしたいという欲が出ちゃうんです。
編集部:- データがすべて頭の中に入っているのでしょうか?
ゆーじさん:- 全部というよりも、時間があるときに、直近のデータを頭に入れるようにします。あまり古いデータを見直すことはしません。バックテストとして、データと自分のトレード指針がマッチしてるのかはチェックしますが、1回ごとのトレードを反省するのは、せいぜい翌日までかな。
チャートの時間と値幅軸を一定にして振れ幅を予測
編集部:- そして今は、最終的に頼っている「感性」についても、分析をして数値化したいと考えられているのですね。ゆーじさんがすごいと思うのは、出されたIFD注文のうち殆どが約定して利益を出されている点なんですよ。いったいどうしたらそんな神業を実現できるのでしょうか?
ゆーじさん:- チャートの時間を示す横軸と値幅を示す縦軸は同じ幅になるようにして見ているんです。ポイントの刻みから同じ幅になるようにした上で、チャートを絵として見るんです。
編集部:- チャートの山と谷の振れ幅ですか?
ゆーじさん:- そうですね。過去の流れが下げ基調だとします。終日で下げ調子だとすると、「このタイミングで1時間だったらどうかな?」みたいな感じで、だんだん「遠く」から「近く」に寄っていって、「5分くらいのところで売買がしたいな」と思っています。それが1分になったり、もうちょっと長かったりと、多少の差はありますが、「こういうときは、こんな絵が多い」って、イメージを思い浮かべるときに、ローソク足だと情報が多すぎるんです。
編集部:- チャートの「絵」を見るとイメージが浮かぶから、IFD注文が約定するのですね?
ゆーじさん:- そうですね。逆に他のトレーダーの人たちと話をしていると他にもたくさんツールを使ってトレードしているのですが、私にはそれができないんです(笑)。「そんなにできる?」って思いながら会話を聞いています。
損切りラインがないからストップ注文は入れない
編集部:- なるほど。もうひとつ、ぜひ伺いたいことがありました。それはゆーじさんがストップ注文を使わない理由です。
ゆーじさん:- ストップ注文って必要ですか?(笑)何のために使うんだろう?私は必要性を感じないですね。
編集部:- IFD注文は「このレートで買って、このレートまで上がったら利食いのために売却」っていう注文が出せますよね。これがIFO注文なら、「このレートで買って、このレートまで上がったら利食い、このレートまで下がったら損切り」という両方の決済注文が入れられるのに、なんでIFD注文しか使わないのだろうって思っていたんです。
ゆーじさん:- それは「いくらまで下がる」っていうイメージがないからですよ。
編集部:- えっ、そうなのですか?
ゆーじさん:- 「レートはもうちょっと下がるかもしれないし、上がるかもしれない。この間、どう動くかわからないけれど、きっとここまでは上がるだろう」って感じなんです。だから、下で切られたくないんですよね。システム的に損切りをして自分の判断の邪魔をされたくないんです。もし動きが違っていたら、上がっていたとしても、下がっていたとしても、自分で決済してしまいます。
編集部:- 読みが外れたら、決済してしまうのですね?
ゆーじさん:- 他にもトレード開始後に自分が相場を見ていられない時間になってしまったら、確信がない場合はポジションを決済します。だから相場の下限がどこにあるかは考えていないんです。
編集部:- つまり、自分が決めた損切りラインで決済しているのではないということですね?
ゆーじさん:- そうです。損切りラインではないです。そもそも損切りを意識しなきゃいけないような金額でポジションを持たないようにしています。
編集部:- なるほど。ストップ注文を考える必要もない程度の余裕資金を持って運用をされているというわけですね?
明確なルールで投資は行うべき
ゆーじさん:- 実は株でもストップ注文は入れないんです。金額で損切りはせずに、期間で決済しています。だから、結果的に損切りになることもあるんですが、株は最長60日ルールを設けていて、本当に60日を越えたら売却します。株価が上がっていたとして、目標値まで到達していなくても売却して利益を確定しますし、下がっていたら損切りになります。もし10%下がっていたら、1回だけ追証して同じ分だけ購入して、その日からさらに60日の間は保有します。このときに平均単価が元々の目標の何%かになっていたら利益確定のために売却しますし、そうならなかったら、60日後に損切りするということになります。
編集部:- 60日ルールには何か理由があるのでしょうか?
ゆーじさん:- 「〇〇ショック」というような暴落が過去にあって、株価が元に戻ってくるおよその日数ですね。個別株から求めた日数ではなく、日経平均株価のような動きから決めた日数ですが。
編集部:- なるほど。
ゆーじさん:- 私にとって株式投資でのルールは「時間」なんですよね。例えば、投資信託であれば年利何%出回ったという運用実績を元に投資する方がいると思います。ファンドマネージャーは目標年利に向けて様々なアプローチをすると思いますが、私の場合は1回の投資毎に最終投資日から最長60日という期間で結果が出たかどうかで判断しているんです。
1年4カ月で4,500万円超の利益
編集部:- いろいろと話を聞かせていただいて、FX以外の投資商品を運用されている経験が、やっぱりFX投資のトレード手法にも生かされているんだなって思いました。そういえばバイナリーオプション(BO)もやっていらっしゃるのですよね?
ゆーじさん:- 毎朝やっています(笑)。BOのいいところは、短時間で結果とリターン率が出ることですよね。ちょっとした空き時間でもできるので、利益が出たときは、お昼ご飯の天丼にトッピングが増えます(笑)。
編集部:- 同じ為替の金融商品であるFX投資との違いは?
ゆーじさん:- 私にとってFX投資はゲームなんです。金融のプロたちが戦っている戦場で、どうやれば自分のような個人投資家が生き残れるのかというゲームをしている感覚です。
編集部:- お父さまが言われていた為替相場で利益を得ている人たちに、ゆーじさんはチャレンジしているのですね。それでいえば、この1年4カ月で4500万円を超える利益という本当に素晴らしい成績を残されています。スキャルピングで好成績を残されているFXトレーダーは結構いますが、ゆーじさんのようなトレードスタイルの方は珍しいです。
ゆーじさん:- 調べてもらえればわかりますが、「なんでこの時間にやっているの?」というような時間帯にトレードしていると思います(笑)。「ミーティングが早く終わったぞ」っていうタイミングで、次の予定までの空き時間にトレードをすることも結構あります。
お小遣いを利用してコミュニケーション能力を高める子育て
編集部:- ゆーじさんはお父さまから株式投資を学ぶ機会を得られたと思いますが、ご自身のお子さまに対しては、資産運用を学ばせるようなことはしていますか?
ゆーじさん:- 実は妻が投資のような資産運用があまり好きではないんです。少なくとも子どもの間は、「お金は自分の力で働いて稼ぐもの」って思って欲しいみたいです。子どもたちには、小学4年生になったら、現金を渡すわけではありませんが、10万円で3年間を過ごすルールで、毎月の残高の1%をお小遣いとして渡すやり方をしています。
編集部:- そうなのですね!。中学生になったらルールは変わるのですか?
ゆーじさん:- 中学生になっても10万円から1%という方式は変わりませんが、「自己投資に使う場合は100%補填します」というルールが追加されます。「ただし自己投資に使える金額は月末残高に対して2%まで」という条件付きです。
編集部:- 自己投資分が2%追加されるのですね。
ゆーじさん:- 10万円の2%の2,000円を自己投資に使い、1,000円は好きなことに使うと3%になります。自己投資については、それが自己投資である理由を説明させています。それで認められると毎月3,000円が充当されることになります。
編集部:- 事前申請ですか?
ゆーじさん:- いいえ、事後報告です。勝手に使わせて、本人に説明をさせます。子どもによって違いますが、参考書を買う子もいれば、部活の道具を買う子もいます。妻とは、「化粧品に使ったって構わない」と話し合いました。
編集部:- そうなのですね?
ゆーじさん:- 娘なんでね(笑)。「美しくあることが自分のモチベーションになる」って言うなら、それはそれでいいと思うんです。親にプレゼンして理屈が通ればいい(笑)。
編集部:- それは素晴らしい教育方針ですね。
ゆーじさん:- お金教育というよりも、コミュニケーションの教育だと考えています。今の子どもたちにとって、何が一番大切かというと、1対1のコミュニケーション能力ではないかと思うんです。相手の気持ちにどれだけ配慮できるのか。何をするにしても、「自分の好きにしていいけれど、パパは何が嬉しいと思う」って聞くようにしています。「スポンサーが金を出したくなるような理由をくれ」っていう話ですね(笑)。
編集部:- それは相当コミュニケーション能力が上がりますね。ところで、ゆーじさんは運用成績がいいので、精神的にストレスを抱えてしまうことはないのでしょうね?
ゆーじさん:- そうですね。今は利益が出ていますし、そもそも余裕資金でしていますからね。例えば、私は新しい投資を始める前に「この投資で300万円を使う」というように先に最大投資額を決めるんです。もし、その300万円がゼロになったら、どういう状況であっても、その投資はやめます。あと、周りにトレーダーの友だちがほとんどいないのがいいのかもしれません。他人の成績と自分を比較することもないですからね。
編集部:- やっぱり、投資は心に余裕を持って余裕資金でするべきですね。今日は本当にありがとうございました。
マネ育PickUp編集部より
会社員、複業を行う会社の経営者、個人投資家、5人の子どもを持つ家庭の父親と、忙しい毎日を送るゆーじさんは、スキャルピングではなく、短時間にIFD注文を出して利益を獲得するというものでした。成行ではなく、複合注文を駆使しながら、ストップ(損切り)も入れられるIFO注文を使わないのは、独特の「ゆーじスタイル」と言えそうです。その理由を「ストップ注文を入れなければならないような金額でトレードしていない」と説明するところに、今の好成績の要因があるのではないかと思いました。投資とは損失を出しても生活に影響が出ない、精神的に追い詰められることがないように余裕資金で行うべきものだからです。ゆーじさんは冷静に相場に向き合える状態が維持できているからこそ、より正確な予想が可能で、利益幅の多い複合注文の発注約定率の高さがもたらされているではないかと思いました。
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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