総括
FX「円高、米景気先行き不安、利上げ減速で下落も、年初来最強通貨は維持」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.0-7.5
(ポイント)
*通貨は年初来最強、株価指数も年初来
*中銀は利上げ減速、消費者物価は低下
*政府の成長見通し高い。民間予想の倍
*政府のインフレ率見通しはを2023年は3.2%から5.0%へ引き上げ
*電力国有化拡大には米加が問題視
*政策金利は予想通り0.25%引き上げて11.25%へ
*メキシコはTikTok禁止せず
*3つのペソ円下落要因が集中し、3月は一時7円を割った
*株式市場改革法案が第2四半期に提出される
*メキシコのファンダメンタルズは強い
*2024年に大統領選挙がある
*ボルサ株価指数は年初来10.39%高
*4Qの経常収支は赤字から黒字へ転換
*郷里送金とニアショア投資がペソを支える
(下落材料あるが、年初来最強、株価も強い)
4月6日の終値ではペソは年初来7.44%高、ボルサ株価指数は10.39%高。ペソは円高と、米景気の先行き不安がメキシコにも及ぶとの見方、メキシコ自体の利上げ減速論で、年初来高値の対円7.643からやや下落している。それでも昨年に続き、今年もここまで最強通貨だ。ペソ高でも株も強いのはニアショアー政策でのメキシコへの直接投資が増えているからだろう
(中銀は利上げ減速、消費者物価は低下)
3月の消費者物価は、総合指数が前年同月比6.85%上昇した。2021年10月以来の低水準で、予想の6.9%も下回った。2月は7.62%上昇。
コアベースの上昇率は前年同月比8.09%と、前月の8.29%から低下。
中銀は先週、政策金利を11.25%に引き上げたが、引き締めペースは緩めている。
(政府の成長見通し高い。民間予想の倍)
メキシコ政府は、2023年の経済成長率見通しについて、2022年9月時点での見通しの3.0%を維持し、2024年の見通しは2.4%から3.0%に引き上げた。「現政権の経済政策によって国内市場が強化され、公的投資が拡大し、生産拠点を消費地の近隣国に移転するニアショアリングなど企業の拠点再配置の流れがメキシコに与えた好機を活用するのに適切な条件が整いつつあるため、メキシコ経済は成長を続けるだろう」と楽観的な見通しの背景を説明している(JETRO)。
一方、民間シンクタンク、2023年に1.5%程度の成長を見込んでいる。
中銀が国内外37のシンクタンクに実施したアンケート調査結果によると、2023年の実質GDP成長率見通し平均値は前月の1.16%から1.43%へと大きく上昇した。2023年1月以降3カ月連続の上昇となるが、それでも政府見通しの半分にも満たない成長率だ。2024年については1.67%と、前月より0.07ポイント下落しており、メキシコ経済の先行きを政府ほど楽観視はしていない。
(政府のインフレ見通し)
インフレ率見通しを2023年は3.2%から5.0%へ、2024年は3.0%から4.8%へ大幅に引き上げている。ペソ建て国債の実質金利上昇に伴い、ペソの対ドル相場は従来よりもペソ高に推移するとみており、2023年は1ドル20.6ペソから18.9ペソ、2024年は同20.7ペソから19.2ペソに修正している。
(郷里送金、堅調)
外国からメキシコへの2月の送金額が前年同月比11.2%増の43億4800万ドルになり2月として過去最高を更新した。
テクニカル分析
ボリバン2σ上限近くから反落。雲中
ボリバン2σ上限近くから反落。雲中。4月5日-6日の上昇ラインがサポート。4月3日-4日の下降ラインが上値抵抗。5日線再び下向き、20日線下向き。
週足、2週連続陽線後、今週はここまで陰線。雲の上。5週線下向き、20週線横ばい。12月19日週-3月20日週の上昇ラインがサポート。3月6日週-4月3日週の下降ラインをが上値抵抗。ボリバン上位。
月足、ボリバン上位で推移も横ばい。1月、2月は陽線。3月は下へ突っ込むも、
後半反転。4月は陰線スタート。1月-3月の上昇ラインがサポート。5か月線横ばい、20か月線は上向き。
年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜くも、その後23年も長い上ヒゲに転じる。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
メキシコ大統領、電力市場への影響力拡大 スペイン電力大手買収で
ロペスオブラドール大統領は、1年半以内に国内電力市場の3分の2を政府が管理すべきだとし、電力業界への影響力を一段と強める姿勢を示した。
メキシコ政府は、スペイン電力大手イベルドローラの国内資産を約60億ドルで取得することで合意したと発表。ロペスオブラドール氏は電力市場の「新たな国有化」と評価し、国営電力会社CFEの電力市場シェアが55.5%に増えると述べた。
米国とカナダは、こうしたメキシコの保護主義的なエネルギー政策を問題視している。
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