政策金利11%の超高金利通貨【知っトク!メキシコペソ】2023/3/27
新興国通貨であり、アメリカ経済との親和性の高いメキシコペソについて、投資に役立つ「知ってトクする」情報をまとめました。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
金融不安がくすぶる中、ペソは意外高
先週(3/20~3/24)のメキシコペソは、対ドルで約2.5%上昇。対円でも約1.5%上昇した。週初には欧米金融機関の健全性を巡る不透明感から一時ペソ売りが強まる場面もあったが、それを克服して反発した格好だ。米地銀シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャーバンクの破綻や、経営不安に陥ったスイス金融大手クレディ・スイスの吸収合併に端を発した金融不安はくすぶり続けており、欧州の大手金融機関にも株安が波及するなど依然として収束の兆しは見えてこない。そうした中でのペソ反発だけに意外高の印象もある。
メキシコの政策金利11%は売り方に不利
その背景には、ペソは短期金利が11%の超高金利通貨であるがゆえに、売り持ちにすればコストがかさむことから、買い戻しが入りやすいという面があるのだろう。なお、米商品先物取引委員会(CFTC)が24日に発表した最新建玉データによると、投機筋のペソ先物のポジションは差し引きで約5万枚の買い越しである。過去2週間で売り建玉が約4分の1に減少したこともわかっている。この間、投機筋がペソを買い戻す動きを強めたことを物語っていよう。あるいは、米地銀の破綻や欧州金融機関の混乱が世界的な金融システム危機につながるリスクを市場はまだ本格視していないことを物語っているのかもしれない。
本格上昇には金融システム安定が不可欠
いずれにせよ、買い戻し主導の反発は長続きしにくいと考えられることから、ペソ相場が本格的な上昇を再開するためには 金融システム不安の緩和による市場心理の改善が不可欠だろう。
メキシコペソ/円(MXN/JPY) 日足:7.1円台で推移
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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