株式投資の失敗を取り戻すために、「元手の200万円がなくなったら死ぬ」という強い気持ちで相場に臨んだ専業トレーダーの伊達さん。1分足、10分足、日足チャートの形状から相場を読み、スキャルピングを繰り返す手法で、株式投資の損失をはるかに上回る利益を獲得し“億り人”の仲間入りを果たしました。後編では伊達さんのトレード手法について、さらに詳しく伺うともに、専業トレーダーになるために必要なことや、FX投資が伊達さんの人生に与えた変化などについて、お話していただきました。
ハンドルネーム:(関西の)伊達さん
職業:専業トレーダー
FX歴:10年以上
トレードスタイル:短期売買(スキャルピング)
運用成績:1,400万円超(外為どっとコムの口座のみの成績/2014年10月~2022年12月時点)
投資対象:FXとIPO投資(過去に個別株への投資経験あり)
趣味:海釣り(クエ・サワラなど大物狙いの船釣りが大好き)
▼目次
1.FX投資の取引環境は“カタチ”から入れ
2.取引通貨ペアはドル/円
3.専業トレーダーに必要な「覚悟」とは
4.上手くいかないときに気をつけるべきこと
5.目標にこだわり過ぎない
6.自分だけの「収支表日記」をつけよう
7.毎日ジム通いで健康管理
8.FX投資が変えた僕の人生
9.相場の世界は厳しい
FX投資の取引環境は“カタチ”から入れ
編集部:- 伊達さんのトレード環境を教えてください。
伊達さん:- FX投資をやり始めたときは、モニター3枚でしたね。
編集部:- かなり充実していますね?それは株式投資をされていたからですか?
伊達さん:- いいえ、株式投資のときは2枚でしたから。FX投資はやっぱりモニターが必要ですね。3枚でも「少ない」って思っています。
編集部:- そうなのですね?
伊達さん:- 本当は5枚欲しいって思っています。スペースがないから置いていませんが。
編集部:- FX初心者でも取引環境は揃えたほうがいいですか?
伊達さん:- FX投資は”カタチ”から入ったほうがいいと僕は思いますね。普通のパソコンのモニター1枚で利益が出せるほど、「FX投資は甘い世界じゃない!」と、思っていますから。
編集部:- 今は「スマホだけで完結しちゃう」っていう人も多いですが。
伊達さん:- 会社勤めの兼業トレーダーで、副業として「 お小遣い稼ぎ」をするつもりなら、スマホでの取引でいいと思いますよ。
編集部:- 目指すものが何かで、取引環境は決まるってことでしょうか?
伊達さん:- “億り人”になりたいんなら、それなりの環境は必要だと思います。投資の世界に入っていくんだから、そこにも投資せんとね。「自分への投資を否定してどうするの?」って思いますね。
編集部:- 正直な意見をズバッと、ありがとうございます。ところで、モニターにはどんな情報を表示させているのでしょうか?
伊達さん:- チャートは1枚のモニターにメインの8枚を表示させています。サイズを小さくして。それとFX企業5社の各取引ツールを出しています。
編集部:- 複数社を並べているのですか?
伊達さん:- そうですよ。もう画面は“パンパン”の満杯ですよ(笑)。
編集部:- どこのFX会社でもすぐに発注できるようになっているのですね?
伊達さん:- だから、もう開いたページが重なりあっていますよ(笑)。僕の理想はもう1枚モニターを増やして、ネット検索に使う情報専門モニターを用意したいんです。
取引通貨ペアはドル/円
編集部:- チャートを表示させている8枚についてです。まずドル/円のチャートは必ず表示ですよね?
伊達さん:- ドル/円を4枚、ユーロ/ドル4枚ですね。
編集部:- 「関連性のある通貨ペアで」ということですか?
伊達さん:- ユーロ/ドルは、現在ほとんど取引をしていませんが、以前はユーロ/ドルがものすごく動いている時期がありましたので。だからまあ、そのときの”よしみ”で置いているだけで、今は全然見ていないですね(笑)。あえて言えば、ユーロ/ドルを見るのは、ECBのときですかね。
編集部:- ドル/円がメインってことなのですね?FX取引を始めたときから、ドル/円がメインですか?
伊達さん:- スプレッドが1番狭いからです。当時0.4だったかな。やっぱりドル/円はFX投資の基本ですね。
編集部:- 情報量も多いですからね。他の通貨ペアにチャレンジしようとは思わなかったのですか?
伊達さん:- チャレンジしようとしましたよ。ポンド/ドルとか、ポンド/円とか、ユーロ/円とかですね。やろうと思ったんですが、自分のスキルがついてこなかったです。”激難しい通貨”って言われるだけのことはありましたね(笑)。
編集部:- ポンドは「じゃじゃ馬」って言われているくらいですからね。
伊達さん:- はい。もうちょっと無理でしたね。
編集部:- いろいろ試した結果のドル/円だったのですね?
伊達さん:- 自分には合っていると思いました。
専業トレーダーに必要な「覚悟」とは
編集部:- これから専業で頑張っていきたいという人には、何が必要でしょうか?
伊達さん:- そうですね。一番大切なことは、お金でも、テクニックでもありません。「覚悟」ですよ。
編集部:- 覚悟ですか?
伊達さん:- 本気の覚悟です。「このお金がなくなったら、もう生きていけない」っていう覚悟です。覚悟ができた人間は、なんでもできますよ。自分が FX投資で成功しているから言っているんじゃありません。世の中、本気の覚悟ができた人間が一番強いんですよ。
編集部:- 「FX投資の勉強は面倒くさい」なんてならないですね?
伊達さん:- あり得ないですよね。覚悟があるんだから、そんなの当たり前だと。頭に銃を突きつけられたら、人間なんでもできるでしょ。 “億り人”の中には、10万円からスタートしたとか、50万円からスタートしたとか、そういう人たちが結構いるでしょ。資金力は関係ないです。一番大切なのは、本気の覚悟です。
上手くいかないときに気をつけるべきこと
編集部:- 伊達さんも覚悟を決めて、血がにじむような努力をされたからこそ、今の成功があるのだと思います。努力の仕方を間違えないためのポイントって何かありませんか?
伊達さん:- うーん、もしも1カ月間損失が続いたら、それまでずっと利益が出せていた人が、1カ月間利益が出せなかったら、一回、足を止めないとダメですね。
編集部:- トレードを中止して、見直す必要があると?
伊達さん:- ずっと利益を出せていた人が、今度はずっと利益を出せなくなった。それは「落ち目」に入ったんですよ。落ち目のままずっとやり続けて、ゼロにしてしまうのか、それとも一回足を止めて、初心に戻って、またやり直すのか。投資はずっと右肩上がりではいかないんです。僕だって、これまでに何回もドローダウンを食らっていますから。
編集部:- 伊達さんでも、そういうご経験が結構あるのですね?過去最大の失敗は、どういうことでしたか?
伊達さん:- いっぱいあるからなー(笑)。1日の最大損失額が560万円なんですが、そのときに学んだことは、そういうことが起きると自分が”アホ”になってしまうんですよね。
編集部:- えっ?
伊達さん:- いや〜、もう感情で取引をやってしまうんですよ。損しすぎると。そうなったら、なんとかせんとダメですわ。
編集部:- あー、なるほど。
伊達さん:- 僕、最近もやってしまったんですよ。 日銀人事で370万円の損失(苦笑)。
編集部:- 1日の取引で?
伊達さん:- そうです、1日で。だから。その感情をなんとかコントロールしないとダメですね。今でも失敗はやりますから。
編集部:- そういうときは、感情的に熱くなってしまうんですね?
伊達さん:- 自分の手法が狙い通りにいかなくなり、それまでに自分が残してきた結果があるから、「おかしい、こんなはずじゃない」「やっていることは正しいはずなんやけど…」っていう気持ちで、自分の失敗を認めることができないんですよ。 それでどんどんと「どツボ」にはまって、結局、何百万円も損してしまうんです。
編集部:- そのときはトレードを中止するのですね?
伊達さん:- そうです。まず止めてみる。そうしてから、次の日はちょっとでもいいんで利益が出るようにします。「連敗」っていうのは、やっぱり精神的に良くないですから。
編集部:- 「流れを変える」って感じですか?
伊達さん:- そうですね。「連敗」するくらいだったら、取引を一旦止める。当分の間はしない。それが一番いい、と思っています。
編集部:- 感情のコントロールが大事だということですね?
伊達さん:- 感情のコントロールはトレードの「必須アイテム」ですね。プロトレーダーと呼ばれている人たちだって、みんなそうですよね。有名なトレーダーの方だって、大きな損失を出されていますでしょ。損を出し続けちゃうときがあるんですよ。相場って、そんなもんなんですよね。
目標にこだわり過ぎない
編集部:- 本当にそういうことが起きる世界で、専業でやられているのは、すごいことだと思います。伊達さんは、年間とか、月間とかで、目標金額や数値を定めていますか?
伊達さん:- 今、目標額や数値はありませんが、ただ、資金が 1,000万円から1億円になるまでの間はありました。1日に100万円を稼げたら、今日はもう「お腹が一杯」みたいな感じです。月額1,000万円の利益が出たら、まあ、「自分を褒めてあげよう」みたいな感じでした。
編集部:- 初心者は目標を持ったほうがいいですか?
伊達さん:- 目標はね、持たないほうがいい場合もあるんですよ。例えば、100万円が1日の目標利益額だったころ、その日は波に乗れて、勢いよく利益が出せていたんですが、利益が99万9,000円くらいで止まったことがあるんです。
編集部:- あと1歩で目標達成です。
伊達さん:- ですよね(笑)。相場では、その一歩、1,000円の利益を、無理矢理に取りにいったために、10万円の損をすることがあるんですよ。
編集部:- わかります。
伊達さん:- やったらダメなんですよ。自分の目標に乗せるために、1,000円を取りにいって、10万円の損失を出すと、今度はその10万円の損失を取り戻しにいって、きっと30万円の損失を出すんです。
編集部:- 悪い方向に進んでしまうのですね?
伊達さん:- そうなんです。資金が半分になってしまった。その失った半分を取り返すためにトレードして、結局、すべてを失ってしまった。目標に固執し過ぎると、そういうことが起きるんです。たった1,000円を取りにいったためにです。これは“億り人”も、みんな経験しているんじゃないかな。
編集部:- 四捨五入すれば目標達成なんですけれど。
伊達さん:- それだと、なんか気持ち悪いんですよ(爆笑)。
編集部:- そうですよね、やっぱり足りていないと。
伊達さん:- 自分を分析するために、収支表を毎日つけているんですが、そこに99万9,000円って書き込むのが、イヤでイヤでしょうがないんです(笑)。
自分だけの「収支表日記」をつけよう
編集部:- 収支表を毎日つけているのは、その日のトレードを振り返るためにですか?
伊達さん:- その日のトレードを振り返りますし、いろいろな使い方があるんですよ。だから収支は絶対につけたほうがいいです。僕はエクセルで作っているんですが、自分の調子が悪くなったときに、見返して「こういうこともあったな」って振り返ります。ただ、収支を数字で入れるんじゃなくて、メモを一言入れるようにしています。
編集部:- 言葉も書き込むのですね?
伊達さん:- その日の自分の状況などを、備考欄にメモ書きして「こういうことがあった」「こういう心境の変化があった」って、自分を振り返ることができますし、相場の転換期も見られるんで「収支表日記」はすごく大事です。
編集部:- なかなかできそうで、できないですよね?
伊達さん:- 「面倒」って思う人はいると思いますが、やっぱり“億り人”になった人たちは、みんな収支表はつけていると思います。日記みたいなメモまではつけていないかもしれないですが。
編集部:- 伊達さんは十数年つけてきたってことですね?
伊達さん:- そうですね。莫大な量ですよ。だから、過去に日銀が介入したことがありましたよね。そのときの収支表を見返して、去年も9月にありましたが、あのときはどんな動きをしたのかを振り返るんです。そういうのが、全部参考になるんですよ。
編集部:- 貴重なデータですね。
伊達さん:- 介入は滅多にありませんから、一回目の介入があったときに「また来るな」と思ったん で、去年9月の介入時の動き方を全部調べて、日記も読んでおきました。
編集部:- 他人の受け売りじゃなくて、自分の体験を元に判断することが重要なのですね?
伊達さん:- そうなんですよ。自分のトレードスタイルでどんなことが起きたのか、その経験ですからね。他人のトレード手法で起きた経験を見ても、あまり意味がないかもしれません。
毎日ジム通いで健康管理
編集部:- 話は変わりますが、普段の過ごし方を教えてください。
伊達さん:- 今は相場が動くんで、忙しいんですが、朝8時に起きてチャートを見て、とりあえず12時まで4時間ほどトレードをして、その後はジムに行きます。温泉付きなんで、ジムで汗を流した後に、温泉でゆっくりして、夕方6時に家に帰ってきて、晩御飯を食べて、子どもと遊んで、夜の9時までは「家庭の行事」をこなして(笑)。それで夜9時から深夜の2時まで、また仕事(トレード)です。
編集部:- 途中でお休みを挟んで、もう一度、相場と向かい合うのですね?
伊達さん:- そんなパターンですね。
編集部:- 毎日、ジムに行かれるのは、肉体的にも健康でないとダメってことですよね?
伊達さん:- トレーダーって、ずっとデスクワークでしょ。一日中、座りっぱなしだから、やっぱり、体を悪くする人が多いと思うんです。僕も医者に「 重度の脂肪肝です」って言われたんですよ。「このままだと肝硬変になって、それが肝臓ガンなって君は死ぬよ」って言われてしまったんです。
編集部:- そんなことがあったのですか?
伊達さん:- はい、「お金持っとんのに、なんや寿命は短いんか」と思って(爆笑)。
編集部:- それはショックですね。
伊達さん:- 「今ならまだ間に合うから、運動して食事療法して、改善しなさい」って、医者に言われて、それで始めたんです。数値は正常値まで戻りましたよ。
編集部:- それは素晴らしいです。やっぱりジムに行くと変わりますか?
伊達さん:- 変わりますね。やっぱり、体を動かすと気持ちいいですね。いくらお金を持っていても、死んだら終わりですから(笑)。
編集部:- トレーダーはトレードの技術だけじゃなく、精神面、肉体面も鍛えておかないとダメですね?
伊達さん:- 体を鍛えることは大事だし、やっぱり精神的にもいいですよね。
FX投資が変えた僕の人生
編集部:- 何をするにも体が資本ですからね。ところで、FX投資で成功されて、伊達さんの人生は変わりましたか?
伊達さん:- そうですね。やっぱり結婚したことかな。それまでは結婚なんて無理だと思っていましたから。 30歳を超えて無職で深夜のバイト生活をしている人間ですよ。そんな人と結婚してくれる女の人なんていないじゃないですか(笑)。
編集部:- いやいや、伊達さんはステキだから、きっといたと思いますが…。
伊達さん:- まあまあ(笑)、結婚して子どもが生まれて、やっぱり人生が変わりましたね。FX投資で成功しなければ、今はありませんし、ホントに死んでいたかもしれませんから。ずっと株式投資のままだったら、きっと結婚もしなかったんじゃないかな。
編集部:- それは最高に素晴らしいサクセスストーリーですね。伊達さんはFX投資の運用成績のことなどを家族にはお話しされていますか?
伊達さん:- 一切しないです。嫁さんに話をしたところで、どうにもならないですし。心配させるだけだから。「300万円の損が出た」なんて言ったらね(笑)。
編集部:- 奥様からは何も聞いてこないのでしょうか?
伊達さん:- 僕の仕事に関しては、一切何も言わないです。嫁さんも、僕が食べていけるだけのお金をFX投資で作ったことは知っているし、贅沢さえしなければ、十分に暮らしていけますから。
編集部:- きっと安心感があるのでしょうね。
伊達さん:- そうなんでしょうかね。
相場の世界は厳しい
編集部:- 最後の質問です。初心者から「FX投資がやりたいんですが、一歩踏み出せないんです」「自分はFX投資をやったほうがいいですか?」って聞かれたら、伊達さんはどう答えてあげますか?
伊達さん:- その〜。一歩が踏み出せない理由はなんですかね?それにもよるんですが、今、家族がいて、幸せな家庭があって、そこそこ高い収入の仕事もあって、そういう人は僕はFX投資はやらないほうがいいと思います。
編集部:- それはなぜですか?
伊達さん:- 今が幸せなら、やらないほうがいいですよ。FX投資で幸せになれる人間って、本当に一握りだけだと思うんです。暗号資産も含めて、相場の世界には足を踏み入れないようにしたほうがいいと思いますね。
編集部:- なかなか厳しいご意見です。
伊達さん:- 追い込まれて、仕事もない、何にもない、未来も暗い。そんな人間が一発逆転をかけて入ってくるのが相場の世界だと僕は思っているんです。
編集部:- 最初の「覚悟が必要だ」っていう話につながりますね?
伊達さん:- 幸せだと、覚悟がつかないと思うんですよ。そういう人は相場の世界に入っていっても、成功する可能性が低いと思うんです。
編集部:- 専業トレーダーになるのは、よく考えてからということですね?
伊達さん:- 今が幸せな人は、お小遣いを稼ぐ程度にしておいたほうがいいんじゃないかな。きっとそう思います
編集部:- もし、お子さんが伊達さんのお仕事の様子を見ていて「自分もFX投資をやってみたい」って言ってきたらどうしますか?
伊達さん:- う〜ん、やらせないかな(笑)。
編集部:- そうなのですか?成功しているのに「止めろ」と言うんですか?
伊達さん:- まず、目的を聞きますね。それで「お金が欲しい」くらいだったら、「オレのお金をあげるから止めておけ」といいます。やっぱり、“そこそこ”いい生活して育った子どもたちが足を踏み入れても、成功しないと思うからです。
編集部:- それくらいに「相場は厳しい世界なんだ」ということですね。今日はどうもありがとうございました。
マネ育PickUp編集部より
「元手の200万円がなくなったら人生が破たんする」そんな覚悟で自分の人生をかけて、FX投資に挑んだ伊達さんから「人生の伴侶を見つけて家庭を築き、子どもを持つことができたのはFX投資のおかげだ」という言葉を聞いたとき「FX投資はお金だけでなく、幸せも生み出すのだ」と思い、感動を覚えました。これからも健康に留意しながら、FX投資を続けて、伊達さんにはもっとたくさんの幸せを手に入れて欲しいと思います。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】