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ポンド/円・豪ドル/円の3月見通し「主要中銀の金融政策発表相次ぐ」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のポンド/円ポジション動向
・3月の英国注目イベント
・ポンド/円 3月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月の豪ドル/円ポジション動向
・3月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 3月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 2月の推移

2月のポンド/円相場は156.723~166.003円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.2%上昇した(ポンド高・円安)。

上旬は2日に行われた金融政策委員会(MPC)で英中銀(BOE)のタカ派度合いが低下したとの見方などからポンドの上値は重かったが、中旬以降は上昇基調となった。日本政府が黒田日銀総裁の後任候補に指名した植田和男氏が「金融緩和が適切」との見解を示したことで円売りが強まると14日には162円台を回復。英2月購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回った21日には163円台へと上昇した。

さらに、英国と欧州連合(EU)が懸案の北アイルランド国境問題の解決に向けて合意した27日には164円台を回復。翌28日には前年12月20日以来の166円台にワンタッチしたが、ドル/円の上げ幅縮小や月末のポジション調整などで163円台後半に押し戻されて2月の取引を終えた。

出所:外為どっとコム

2日
BOEは予想通りに政策金利を3.50%から4.00%に引き上げた。50bp(0.50%ポイント)の利上げは2会合連続。声明では「より持続的なインフレ圧力の証拠があれば、金融政策の一段の引き締めが必要になる」としたが、前回の「必要に応じて力強く対応する」から表現をやや緩めた。また、「英国を含む世界のインフレはピークに達したようだ」と指摘した。

議事録ではMPCメンバーの9人中7人が50bpの利上げを支持した一方、残り2人は据え置きを主張していたことが明らかとなった。その後、ベイリーBOE総裁は「2024年春以降の消費者物価指数(CPI)は目標(2%)を下回る」との見通しを示した。

6日
BOEのマンMPC委員は「われわれは軌道を維持する必要がある」とし「インフレ期待に大幅な上昇リスクが依然として存在し、次の動きは政策金利据え置きよりも追加利上げになる可能性が高い」と発言。BOEのピルMPC委員兼チーフエコノミストも「潜在的なインフレの持続性についてより懸念している」と述べた。

9日
ベイリーBOE総裁は「労働市場は非常にタイトである」としながらも「今年はインフレ率が急速に低下すると予想」と発言。一方、ハスケルMPC委員は「インフレ予測にかなりの上振れリスクがある」とし「持続的なインフレの兆候に注意を払い続け、必要であれば力強く行動する」と述べた。BOE内でインフレ見通しに関して意見が割れていることが改めてわかった。

10日
英10-12月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比±0.0%と予想と一致。2四半期連続のマイナスはなんとか回避した。同時に発表された英12月鉱工業生産は前月比+0.3%と予想(-0.2%)に反して増加。英12月貿易収支は192.71億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(173.00億ポンド)より多かった。

14日
英1月失業率は3.9%(前回3.9%)、同失業保険申請件数は1.29万件減(前回0.32万件減)だった。国際労働機関(ILO)基準の英10-12月失業率は3.7%と予想に一致。10-12月の週平均賃金は前年比+5.9で予想(+6.2%)を下回った。

15日
英1月CPIは前年比+10.1%と予想(+10.3%)を下回り、前月(+10.5%)から伸びがやや鈍化した。エネルギー・食品などを除いたコアCPIも前年比+5.8%と予想(+6.2%)を下回った(前回+6.3%)。

17日
英1月小売売上高は前月比+0.5%と予想(-0.3%)に反して増加。英国立統計局(ONS)は「12月に急減した小売売上高は1月にわずかに持ち直した。だが傾向としては依然として減少している」との見解を示した。

21日
英2月PMIは製造業が49.2、サービス業が53.3と予想(47.5、49.2)を上回った。この結果、英2月総合PMIは53.0となり、7カ月ぶりに活動拡大・縮小の分岐点である50.0を上回った。これを受けて英国の景気後退(リセッション)懸念が和らいだ。

27日
スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長が会談を行い、英領北アイルランドの国境を巡る物流規制の見直しについて合意したと伝わった。これによって、英国のEU離脱=Brexit後も維持されている英EU間の関税ゼロの貿易が一部停止になるなどのリスクは当面回避されるとの見方が広がった。

2月の各市場

2月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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3月の英国注目イベント

ポンド/円 3月の見通し

英国の景気後退は当初の想定ほど深いものにはならないとの見方が広がっている。ロシアによるウクライナ侵攻後に急騰していたエネルギー価格が、暖冬の影響などから落ち着いていることが背景のようだ。

2月末に英国と欧州連合(EU)が長らくの懸案だった北アイルランド問題を巡る新たな取り決めに合意したことも大きい。英・EU間の貿易に関する大きな障害が取り除かれ、関税措置などのリスクが低下したことは英経済とポンドにとって追い風となりそうだ。もっとも、そうした英景気に対する楽観的な見方が広がる中で、英中銀(BOE)のスタンスがハト派化しつつある点は今後ポンドの重しとなる可能性がある。

3月1日、ベイリーBOE総裁は「現段階では利上げを終えたと示唆することも、一段の利上げが必要との見解を示すこともすべきでない」「ある程度の追加利上げが適切となるかもしれないが、何も決定していない」と発言して利上げ終了の可能性を排除しなかった。ベイリー総裁は2月に「今年はインフレ率が急速に低下すると予想している」とも述べている。BOEにおける総裁の権限は他の中銀ほど強くないとされるものの、ベイリー総裁のハト派傾斜はやや気になるところだろう。23日のBOE金融政策委員会(MPC)が注目されよう。3月のポンド相場は英国の景気動向と金融政策がカギとなりそうだ。

(予想レンジ:159.000~167.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 2月の推移

2月の豪ドル/円相場は90.229~93.035円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.1%の小幅安(豪ドル安・円高)だった。米ドルが豪ドルに対して約4.7%上昇するとともに円に対して約4.7%上昇したため、豪ドル/円はほぼ横ばいの動きとなった。

日本政府が黒田日銀総裁の後任候補に指名した植田和男氏が「金融緩和が適切」との見解を示したことで円売りが強まったため、14日には93.04円前後まで上昇する場面もあったが、豪1月雇用統計が軟調で10-12月期賃金指数の伸びが予想を下回ったため豪中銀(RBA)の追加利上げ期待がやや後退したことから91円台に押し戻されるなど、豪ドルの上値は重かった。

出所:外為どっとコム

7日
RBAは政策金利を予想通り3.10%から3.35%へ25bp(0.25%ポイント)引き上げた。9会合連続の利上げとなり、政策金利は2012年9月以来の高水準となった。声明では「インフレ率が目標値に戻り、この高インフレの時期が一時的なものに過ぎないことを確認するために、今後数カ月の間にさらなる利上げが必要」と改めて表明した。また、今回の声明では金利について「既定の軌道上にはない」という文言が削除された。これ以前に発表された豪12月貿易収支は122.37億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(124.50億豪ドル)をやや下回った。

10日
RBAは四半期に一度の金融政策報告を発表。2023年末のインフレ見通し(トリム平均値)を+3.75%から+4.25%に引き上げた上で、「インフレ抑制のために一段の利上げが必要である」との認識を示した。

15日
ロウRBA総裁は金融政策について議会で証言。「インフレ率は高過ぎるため、引き下げる必要ある」との認識を示し「金利については、まだ中銀の対応が不十分なリスクが残っている」「金利のピークには達していないと思う」と発言。金利がどの程度上昇する必要があるか問われると「どの程度利上げが行われるかは不確か」と述べた。

16日
豪1月雇用統計は失業率が3.7%(予想3.5%、前回3.5%)、新規雇用者数が1.15万人減(予想2.00万人増、前回2.00万人減)となった。労働参加率は66.5%にやや低下した(予想66.6%、前回66.6%)。

17日
ロウRBA総裁は「金利について既定の軌道上にはない。データが異なるストーリーを示せば対応する。金利のスローダウンが必要ならそうする」と発言。その上で「2月雇用統計の弱い数字は有力な情報になるだろう」と述べ「数週間のうちに経済の全体像の再評価を行う」と表明した。

21日
RBAは2月会合の議事録を公表。「理事会は50bpの利上げを再開するか協議した」として「昨年末とは異なり引き締めサイクルを一時停止するかは議論しなかった」と明らかにした。その上で「最終的に、インフレがピークに達したとの予想および所得低下を理由に利上げ幅を25bpにするとの意見に傾いた」としながらも、「インフレ率が目標に戻ることを確実にするために、今後数カ月にわたりさらなる利上げが必要になる可能性が高い」と表明した。

22日
豪10-12月期賃金指数は前年同期比+3.3%と7-9月期(+3.2%)から上昇が加速したものの、市場予想(+3.5%)ほどには上昇しなかった。これを受けてRBAの追加利上げ期待がやや後退した。

28日
豪1月小売売上高は前月比+1.9%と市場予想(+1.5%)を上回った。-4.0%に落ち込んだ前年12月の反動もあって、伸び率は2021年11月以来の高水準を記録した。

2月の各市場

2月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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3月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 3月の見通し

3月7日の豪中銀(RBA)声明に注目したい。前回2月の声明では高インフレへの対応として「今後数カ月の間にさらなる利上げが必要になる」と表明。その後に公表した議事録では「昨年末とは異なり引き締めサイクルを一時停止するかは議論しなかった」と明らかにしており、従来よりもタカ派へ傾斜した印象が強い。

ただ、豪州では2月に発表された1月雇用統計で雇用者数が予想に反して減少し、失業率は予想以上に上昇した。また、豪10-12月期賃金指数は市場予想にくらべると穏やかな上昇にとどまった。ロウRBA総裁は1月雇用統計の弱さに言及した上で「数週間のうちに経済の全体像の再評価を行う」と述べている。3月1日に発表された豪1月消費者物価指数(CPI)が鈍化したこともあって、RBAが3月会合で再びハト派化する可能性もないとは言えないだろう。

市場はRBAが年内に政策金利を4.25%前後まで引き上げると見ているだけに、仮に3月声明にハト派トーンが滲めば長期金利の低下とともに豪ドルは下落する公算が大きく、その後も上値の重い展開が予想される。反対に、RBAが足元の経済指標の弱さを重視せずタカ派姿勢を堅持するようなら、中国景気の回復期待と相まって豪ドルは堅調に推移しそうだ。

なお、3月1日に発表された中国の1月製造業PMIは52.6と、2012年以来の高水準に上昇。同国の景気回復期待が高まっているほか、中国は今年1月に豪州産石炭の輸入再開を決定しており、3月には輸入が本格的に増加すると見込まれている。RBAの声明が3月の豪ドル/円相場のカギとなりそうだ。

(予想レンジ:88.500~94.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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