総括
FX「電力危機で非常事態宣言、モルスタが投資判断引き下げ」南アランド見通し」南アランド見通し
「通貨最下位、株価7位」
「予想レンジ 南アランド7.1-7.6」
(ポイント)
*電力不足で国家的な「災害事態」を宣言
*最弱通貨を継続、株価は小高い
*今週は1月消費者物価の発表
*景気後退の確率
*モルガン・スタンレーが判断引き下げ
*「負荷制限を終わらせるためのロードマップ」を発表
*経済成長率について、中銀は2023年は0.3%、24年は0.7%になると予想
*貿易赤字から抜け出す
*1月製造業PMIはまずまず、民間PMIは悪化
*政策金利は利上げ減速で0.25%引き上げ
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)
*12月消費者物価の伸びは鈍化
*CPI目標は3-6%
(最弱通貨を継続、株価は小高い)
南アランドは年初来、最弱通貨となっている。南ア全株指数は年初来8.13%高で上昇幅を縮小したが、世界で7位と好位置にいる。
(電力不足で国家的な「災害事態」を宣言)
ラマポーザ大統領は2月9日、深刻な電力不足について経済と社会構造に対する存続に関わる脅威をもたらすとし、国家的な「災害事態」を宣言した。議会での年次教書演説で「われわれは深刻なエネルギー危機に陥っている」と指摘。「この危機は徐々に展開し、社会のあらゆる部分に影響を及ぼすようになった。農家や中小企業、水関連インフラ、交通網への影響を軽減するために行動しなければならない」とした。
国営電力会社エスコムが実施している過去最悪の計画停電はあらゆる規模の企業に打撃を与えており、この停電によって南アの今年の経済成長率はわずか0.3%に落ち込むと予想されている。
国家的な災害事態の宣言により、政府は危機対応のための追加的な権限が得られる。過去には新型コロナウイルスのパンデミックを受けて保健当局がより迅速に対応するために使用されたが、政府による電力供給の迅速な拡大に資するかどうか疑問視している。
(今週は1月消費者物価の発表)
電力危機の渦中で、今週は1月消費者物価の発表がある。22年12月は7.2%で22年7月のピークの7.8%から低下している。1月の予想は7.0%を割るか割らないところのようだ。12月小売売上も発表されるが11月の前年比0.4%増からは悪化し0.1%減となる予想だ。
(景気後退の確率)
ブルームバーグ2月の月次調査によると、景気後退の確率は68%で1月の45%から上昇している。この予測は、エスコムが、国営電力会社が老朽化した主に石炭火力発電所をオーバーホールするため、少なくともあと2年間は負荷制限が続く可能性が高いと述べた後に行われた。南アのほぼすべての電力を生産する同社は、2008年以来需要を満たすのに苦労しており、今年は電力網の崩壊を防ぐために毎日停電を課している。持続的な停電は、経済成長にとって最も重大なリスクと見なされている。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン3σ下限へ下落
日足、ボリバン3σ下限(7.307)。2月9日-10日の下降ラインが上値抵抗。20日線下向き。
週足、雲の下、3σ下限にも一時達す。1月23日週-2月6日週の下降ラインが上値抵抗。5週、20週線下向き。
月足、3か月連続陰線。2月も陰転。雲中へは落ちる、21年11月-23年1月の上昇ラインを下抜く。22年12月-23年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
モルガン・スタンレーが判断引き下げ
モルガン・スタンレーは、南アのユーロボンドについて「like(良い)」との判断を撤回した。今月の政府予算案で国営電力会社エスコムの追加借り入れ計画を巡る不透明感があるとしている。
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