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ポンド/円・豪ドル/円の2月見通し「米利上げ鈍化、英・豪中銀は利上げ継続へ」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のポンド/円ポジション動向
・2月の英国注目イベント
・ポンド/円 2月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月の豪ドル/円ポジション動向
・2月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 2月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 1月の推移

1月のポンド/円相場は155.363~161.798円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.1%上昇した(ポンド高・円安)。日銀が物価見通しの引き上げを検討しているとする前年末の報道の影響で円買いが先行すると3日には約3カ月ぶりに155.36円前後まで下落した。

しかし4日には、その反動と見られる円売りが主導する形で一時160円台を回復。13日には、ドル/円が127円台に下落する過程でポンド/円も軟化したが、ドル安のあおりでポンド/ドル相場が上昇したことから155円台で再び下げ渋った。その後も欧州通貨高・ドル安の流れが続き、ポンドは対円でも堅調に推移。23日には161.80円付近まで上昇して約1カ月ぶりの高値を付けた。

月末にかけてはやや動意が薄れ、159円台では下げ渋る一方、161円台では上値が重い展開となり、160.27円前後で1月の取引を終えた。

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

9日
英中銀(BOE)のピル金融政策委員会(MPC)委員は、「天然ガス価格の上昇、労働市場の逼迫、労働供給の悪化、財市場のボトルネックといった英国特有の状況は、インフレをより持続させる可能性がある」と指摘。これらは「今後数カ月間の私の金融政策に対する姿勢に強く影響するだろう」と述べた。

13日
英11月国内総生産(GDP)は前月比+0.1%と予想(-0.2%)を上回った。英11月鉱工業生産は前月比-0.2%で予想と一致。英11月貿易収支は156.23億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(149.00億ポンド)より大きかった。

17日
英12月失業率は4.0%(前回3.9%)、同失業保険申請件数は1.97万件増(前回1.61万件増)だった。国際労働機関(ILO)基準の英9-11月失業率は3.7%と予想と一致。9-11月の週平均賃金は前年比+6.4%で市場予想(+6.2%)を上回る伸びとなった。

18日
英12月消費者物価指数(CPI)は前年比+10.5%と予想通りに前月(+10.7%)から小幅に伸びが鈍化した。エネルギー・食品などを除いたコアCPIは前年比+6.3%だった(予想+6.2%、前月+6.3%)。

19日
ベイリーBOE総裁は「インフレは峠を越えた兆しが見られ始めている」「最も可能性が高いシナリオは、年内にかなり急速にインフレ率が低下することだと考えている。おそらく春の終わり頃から始まるだろう。エネルギー価格と大いに関係がある」と述べた。一方で「賃金上昇とひっ迫する労働市場がインフレの上振れリスクだ」とも指摘した。

20日
英12月小売売上高は前月比-1.0%と予想(+0.5%)に反して減少。英国立統計局(ONS)は「12月は小売売上高が再び減少した。消費者は割高感を理由にクリスマスの出費を抑えたようだ」と指摘した。

24日
英1月製造業PMI・速報値は46.7と予想(45.5)を上回ったものの、同サービス業PMI・速報値は48.0と予想(49.5)を下回った。いずれも分岐点である50.0を下回る結果となった。これより前に発表された12月の英政府純借入額は過去最大の274億ポンドに膨らんだ(予想173億ポンド)。これらを受けてポンドは下落した。

1月の各市場

1月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

2月の英国注目イベント

ポンド/円 2月の見通し

2月のポンド相場は、英中銀(BOE)の引き締め継続期待と景気後退を巡る懸念の綱引で不安定な展開となりそうだ。BOEは、インフレ抑制に向けて2月2日の金融政策委員会(MPC)でも50bp(0.50%ポイント)の積極利上げを決める可能性が高い。インフレ率が依然として10%台で高止まりしていることを踏まえるとBOEが利上げの減速あるいは打ち止めを示唆する公算は小さい。当面は、次回3月23日のMPCでも50bpの追加利上げが行われるとの市場の期待が消えることもないだろう。

一方、英国で1月に発表された経済指標を確認すると景気の先行きに対する不安は拭えない。1月購買担当者景気指数(PMI)は製造業、サービス業ともに活動の拡大・縮小の分岐点とされる50.0を下回った。特にサービス業は物価高を受けたストライキの影響などから2年ぶりの水準に低下した。クリスマス商戦で活況が期待された12月の小売売上高は前月比-1.0%と予想外の落ち込みとなった。こちらも物価高騰の影響が大きかったようで消費者が支出抑制を余儀なくされたと分析されている。

BOEの積極利上げが続くとすれば、英国経済にもう一段の押し下げ圧力がかかることになるだろう。BOEが景気を犠牲にしてもインフレを抑え込む姿勢を示していることもポンドの不安材料になりそうだ。

(予想レンジ:155.000~163.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 1月の推移

1月の豪ドル/円相場は87.415~92.811円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.7%上昇した(豪ドル高・円安)。前年末に、日銀が物価見通しの引き上げを検討していると報じられた影響で円買いが先行すると3日には87.42円前後まで下落する場面もあったが、中国が豪州産石炭輸入の再開を示唆した4日には一気に90円台を回復。その後も中国の経済再開を好感した持ち直しの動きが続いたが、92円台を目前に伸び悩んだ。

しかし、豪10-12月期消費者物価指数(CPI)が33年ぶりの高い伸びとなったことで豪中銀(RBA)の追加利上げ期待が高まると92円台に上伸。26日にはおよそ1カ月半ぶりに92.81円前後まで続伸した。月末にかけては、持ち高調整などでいくぶん値を下げたが91.78円前後で1月の取引を終えた。

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

4日
中国が豪州産石炭禁輸の一部解除を検討していると報じられたことで豪ドルが上昇。関係者の話として、中国国家発展改革委員会は豪州産石炭の2年余りにわたる禁輸を解除し、輸入を一部再開する計画を検討していると伝わった。

9日
中国政府は8日、新型コロナウイルス対策として続けてきた入国時の強制隔離を撤廃。これにより、「ゼロコロナ」政策は事実上終了した。中国の経済再開を好感して人民元高が進行すると豪ドルもつれて上昇した。

11日
豪11月CPIは前年比+7.3%と予想(+7.2%)を上回り、前月(+6.9%)から伸びが加速。同時に発表された豪11月小売売上高も前月比+1.4%と予想(+0.6%)を大幅に上回った。RBAの利上げ継続観測が強まった。

12日
豪11月貿易収支は132.01億豪ドルの黒字となった。天然ガスの輸出は落ち込んだものの、鉄鉱石などの輸出は堅調だったことから市場予想(113.00億豪ドルの黒字)を上回る結果となった。

17日
中国10-12月期国内総生産(GDP)は前年比+2.9%と7-9月期の+3.9%から減速したが、市場予想(+1.6%)は上回った。これにより2022年通年のGDP成長率は+3.0%となり、「ゼロコロナ」政策の影響で政府目標の+5.5%を大きく下回った。

19日
豪12月雇用統計は失業率が3.5%(予想3.4%、前回3.5%)、新規雇用者数が1.46万人減(予想2.50万人増、前回5.83万人増)であった。弱い内容の雇用統計と受け止められて豪ドルは下落した。

25日
豪10-12月期CPIは前年比+7.8%と7-9月期(+7.3%)から加速し33年ぶりの高い伸びとなった(予想+7.6%)。コアCPIに当たるCPIトリム平均値も前年比+6.9%と予想(+6.5%)を上回った。

27日
豪10-12月期生産者物価指数(PPI)は前年比+5.8%と7-9月期の+6.4%から鈍化。なお、7-9月期は1998年の統計開始以来で最も高い伸びだった。

30日
春節(旧正月)明けの上海市場で人民元の対ドル相場が急伸して始まると豪ドルも強含んだ。中国では休暇中の旅行者数が、「ゼロコロナ」政策の解除によって前年比74%増加。同国の景気回復期待が強まった。また、大連商品取引所では同国の需要に対する楽観的な見方から鉄鉱石先物が急伸した。

31日
豪12月小売売上高は前月比-3.9%と2020年8月以来の大幅減を記録。予想(-0.2%)を超える落ち込みとなった。その後、中国1月製造業PMIは50.1と予想通りに上昇(前月47.0)。活動の拡大と縮小の分岐点である50.0を上回るのは4カ月ぶりとなった。また、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで、2023年の世界成長率見通しを従来の2.7%から2.9%に上方修正した。IMFは回復力のある米国の消費や中国の経済再開が需要を支えるとの見方を示した。

1月の各市場

1月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

2月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 2月の見通し

2月の豪ドル相場における最大の注目イベントは7日の豪中銀(RBA)理事会だろう。夏休みシーズンの1月は休会だったため、理事会の開催は昨年12月以来となる。その12月理事会で利上げ休止が議題に上ったことが判明しただけに、2月理事会では政策金利を3.10%に据え置くとの見方もあった。しかし、1月25日に発表された10-12月期消費者物価指数(CPI)が33年ぶりの高い伸びとなったことから、ここにきて3.35%への追加利上げが決まるとの観測が高まっている。

RBAは12月声明で「インフレ率は2022年末に8%前後でピークを打つ」との予測を示していたが、12月単月の豪CPIは前年比+8.4%に上振れしている。2月理事会ではインフレ見通しの上方修正があってもおかしくなさそうだ。2月理事会後に豪金利先物市場から推計されるRBAのターミナルレート(利上げの最終到達点)が、現状の3.75%前後から上方にシフトすれば豪ドル相場の押し上げにつながるだろう。

その他、2月の豪ドル相場を見る上では、ゼロコロナ政策終了で経済活動が本格的に再開するとの期待が強い中国の株価(上海総合指数)や通貨(人民元)の動向にも引き続き目配りが必要となりそうだ。

(予想レンジ:88.500~95.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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