“High risk, negative return.”

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ドル・円相場の変調ぶりには驚かされる。

特に先週の日銀政策決定会合後の荒っぽい動きは説明し難いものであった。

決定会合の中身は大方の予想通り変更は無しの現状維持で、“共通担保資金供給オペ。”なる新たな銀行に対する資金供給策を決めたが、全く以て訳が分からない。

先週、全国の物価の先行指標となる東京都区部の12月の生鮮食品を除くコアの消費者物価指数(CPI.)が前年同月比で4%上昇と発表されたが、こんなに物価が高騰している最中に更なる資金供給を行うとは正気の沙汰とも思えない。

日銀による更なる政策変更を期待する海外の投機筋はこの“共通担保資金供給オペ。”
についてよく理解出来ず、(実は塾長もよく分からない。奇策だなとは感じる..)決定会合が終了した途端にショートにしていた日本国債を買い戻し、ロングにしていた円を売り戻した。

国債利回りは前日まで張り付いていた0.50%から0.41%台へと急落し、ドル・円相場は128円台から131円台へと一挙に3円もドル高&円安が進んだ。

塾長は当日海外から“共通担保資金供給オペって何だ?”と訊かれたが、“よく分からないが、これで債券売りが止まるとも思えない。落ち着けば再び海外勢の売りが始まり、円買いも再開するかも知れないな。”と答えたら、債券売りは兎も角再び猛烈なドル売り&円買いが始まって再び127円台まで急落した。

日銀政策決定会合後、ドル・円相場は3円上がって4円下落すると言う乱暴な動きを見せたことになる。

金融界、特に株式市場では“仕手”と言う言葉が有り、これは“仕手筋”の略称らしく、
仕手筋とは、潤沢な資金を背景に投機的な売買で株価を操り、巨額の利益を得ようとする投資家や投資集団のことである。

今のドル・円は正しく“仕手通貨”と言ってもよく、短期の投機筋に良い様に操られている気がしてならない。

同じく金融界にはNo risk, no return.(リスクを取らなければ、報酬は無い。)や、High risk, high return.(大きな報酬を得るには大きなリスクが付き物である。)との諺の様なものが存在する。

最近のドル・円相場の動きは、High risk, and negative return.(リスクが大きいだけで、しかも損をする。)と言う自虐的な言い方がピッタリと言う感じがする。

現在でも週に一度現役のディーラー諸君やファンド・マネージャーの方々と話をするが、プロ中のプロである彼らも相当苦労していると聞く。

何方かと言うと逆張りよりも順張りであるトレンド・フォローが得意な彼らでさえ、“売ってはやられ(128円?)、買ってもやられ(131円?)、又売ってやられる(128円?)嫌な相場です。”と自嘲気味に話していた。

この嫌な相場は今暫く続くのではなかろうか?

どうやらFRB.は来週開催されるFOMC.に於いて前回に引き続き利上げ幅が縮小されて0.25%の利上げに落ち着きそうである。
今回もウォールストリート・ジャーナルの記者を使って上手く市場のコンセンサスを作り出すことに成功している感じがする。

それに対して日銀の意向はさっぱり分からない。

黒田総裁はダボス会議で、“この10年間で日本のデフレ脱却に成功した。”と胸を張ったが、物価高騰下での“利上げせず。”の頑なな姿勢に対しての説明は無い。

次の日銀政策決定会合は3月9日~10日の予定で開催されるが、雨宮、若田部両副総裁の任期が来る3月19日、そして黒田総裁の任期が来る4月8日を前にしての政策変更は考え難い。
そもそも“共通担保資金供給オペ。”は3首脳が波乱無く(?)退任する為の奇策であるとしか考えられず、大きな政策変更は新たな執行部を擁しての4月27日~28日に会合となる可能性が高いのではなかろうか?

言い換えればあと3ヶ月間も日銀の政策変更有るや否か、有るとすれば何時、どんな方策が考えられるのかを悩み、考えなくてはならないことになる。

その間、海外の投機筋(仕手筋)は事あるごとに円債を売り、円を買う動きを続けるであろう。

125円が先か、それとも戻りの135円が先か全く分からない。

今年は始まって未だ20日余り。
これからチャンスは幾らでも有るので、無理をしないで行きたい。



今週のテクニカル分析の見立ては売られ過ぎに警戒しながらもトレンドは依然として下を見る。
127円が切れれば125円台も有るが、切れなければ128円~131円のレンジを予想。

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