総括
FX「中銀のミッション変更議論開始でランドが弱い、株は強い」南アランド見通し
「通貨11位、株価3位」
「予想レンジ 南アランド7.5-8.0」
(ポイント)
*南ア中銀のミッション変更議論が開始(インフレだけではなく景気重視も加える)
*年初はランド安株高
*大統領は弾劾裁判を回避、ANC党首選でも勝利
*1月の政策金利は利上げ幅を0.5%に縮小か
*11月消費者物価は7.4%の低下(前月は7.6%)
*12月アブサ製造業PMIは上昇、S&P民間PMIは低下
*イエレン財務長官が今月南ア訪問
*経済成長率の予想が今年2.1%、来年が1.2%に減速
*CPI予想は今年が平均で6.9%、来年が5.6%
*CPI目標は3-6%
*発電所を守るために国防軍を配備
*南アの弱みは電力不足だが、日本や英国の強力で供給体制を立て直している
*中国のゼロコロナ政策緩和は南アに好影響
*南アへの直接投資と証券投資が減少
*石炭が見直され輸出商品へ
(南ア中銀のミッション変更の議論開始でランド安株高)
ラマポーザ大統領は自身の「資金疑惑」を乗り越え、ANC党首選にも勝利し、ズマ派を追いやり、ランドも上昇かと思ったが、冴えない。年初は円より強いが11位スタート。上昇しない要因は、与党ANC(アフリカ民族会議)のマンタシェ議長が「中銀の任務は経済のニーズを満たすために拡大されなければならない」と述べたからだ。
これには、憲法改正が必要になる。憲法上の権限を変更するための投票には、議員の3分の2の承認が必要でANCは国会の議席の58%しか有していないため、改正案を推し進めるには野党からの支持が必要。背景には景気悪化が中銀の過度な金融引き締めがあるとされている。中銀はバランスの取れた持続可能な成長のために、インフレ目標のマンデートを実施しており、経済成長を促進するための障害は金融政策の範囲外であると繰り返し述べてきた。
ただこの憲法改正が行われると、金融緩和にも結びつくという思惑で、南ア全株指数は年初来5.22%と好スタートを切っている
(今後の政策金利までのスケジュールは)
1月18日 12月消費者物価
11月小売売上
1月26日 12月生産者物価
政策金利
南ア中銀が1Qに政策金利をあと0.5%だけ引き上げて7.5%するとの見方が強い。直近では連続3回0.75%幅と積極的な利上げを行った。南アの消費者物価は7月に7.8%と13年ぶりの高い伸びになった後に減速。11月は7.4%(前月は7.6%)と、今後の利上げ幅が0.75%より縮小することを予期させるような鈍化になっている。
ただこれに上述の中銀のミッション変更議論が絡む。
(12月製造業PMIは上昇)
22年12月の製造業PMI(アブサ版)は53.1で11月の52.6から上昇した。
製造業の景況拡大を示したものの、計画停電の影響で事業活動は鈍化した。
アブサは「PMIは節目を上回ったものの、構成指数は強弱感が交錯している。最も懸念されるのは、事業活動指数が一段と低下したことだ。継続的な計画停電が製造業の最大の重しとなったとみられる」と述べた。さらに、中国での新型コロナウイルス感染拡大で世界のサプライチェーンが混乱する可能性があると指摘した。
一方、S&Pの12月の民間部門PMIは50.2で、事業活動の拡大と縮小の節目となる50をかろうじて上回ったが、前月の50.6からは低下した。物価高と停電が引き続き顧客の需要を減退させた。
(イエレン財務長官が今月南ア訪問)
米財務省はイエレン財務長官が1月17-28日にセネガル、ザンビア、南アフリカを訪問する。イエレン長官は、米国とアフリカの経済関係強化に向けたバイデン政権の取り組みをアピールし、アフリカ各国の国民に恩恵をもたらすようなより強力で弾力的な経済の構築に向けた方策を協議するという。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン3σ下限から反発も中位からは反落
日足、ボリバン3σ下限から反発も中位からは反落。1月4日-6日の下降ラインが上値抵抗。1月3日-6日の上昇ラインがサポート。5日線上向き、20日線下向き。
週足、雲の下、3σ下限にも一時達す。12月19日週-1月2日週の上昇ラインがサポート。12月26日週-1月2日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、21年12月-22年11月の下降ラインを下抜ける。上ヒゲの長い月足が続き下落。21年12月-22年12月の上昇ラインがサポート。22年11月-12月の下降ラインが上値抵抗。雲の上。
年足、21年、22年は短い陽線。22年は上ヒゲ長い。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
南アでも新しいコロナウィルス発見
南アで伝染性の高い新しいXBB.1.5バリアントによって引き起こされたコロナウイルス感染症の最初の症例が発見された。
WHOはXBB.1.5を「最も伝染性のある亜種」と呼んでいる。
これまでのところ、XBB.1.5によって引き起こされた症例と他の亜種による症例との間で重大度に大きな違いは確認されていない。WHOは、近日中に変異体のリスクに関する最新の評価を発表する。WHOによると、XBB.1.5は米国で急速に支配的な株となり、少なくとも28か国で検出されている。
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