執筆：外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
南アフリカランド/円（4時間足）
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近１週間のポイント
・南ア大統領辞任観測
・大統領府が辞任観測を否定
・与党が大統領支持を決定
足元の南アフリカランド/円は大幅安から持ち直しの動き
ラマポーザ・南ア大統領が金銭疑惑で辞任する可能性が報じられると1日の海外市場でランドが急落。
8.00円を挟んで推移していたランド/円は、大統領辞任の観測報道を受けて7.563円前後まで大幅安となりました。
ラマポーザ氏はズマ前大統領の汚職疑惑を追及するなどクリーンなイメージが強かっただけに、市場はネガティブな反応を示した模様です。
ただ、その後は大統領府がラマポーザ氏の辞任観測を否定。
金銭疑惑にまつわる「違法行為」について議会がまとめた報告書についても「不備がある」と指摘したことでランドは反発しました。
さらに、5日には議会の報告者について、与党アフリカ民族会議（ANC）の全国幹部委員会が反対を決議し、大統領支持を表明したことでランドの持ち直しが継続。
この日に7.8円台を回復したランド/円は、翌6日には7.9円台を回復しました。
注目ポイントは大統領の金銭疑惑
大統領の金銭スキャンダル疑惑の発端は、ラマポーザ氏が所有する農場で2020年に起きた現金盗難事件です。
多額の現金が盗まれたにもかかわらず、申告していなかった金銭の存在を隠すため、事件を隠ぺいした疑いが持たれています。
この疑惑について南ア議会の調査団は「大統領が違法行為に関わった恐れがある」とする報告書をまとめました。
この報告書に関する議会討議が13日に行われる予定です。
上述の通り、この報告書については与党・ANCが反対票を投じることを決めています。
このため、大統領が進退の窮地に立たされる可能性は低そうです。
ただ、野党側は議会の解散動議を提出するなど反発を強めており、与党内からも大統領の辞任を求める声が出ているとする報道も散見されます。
また、16日～20日には与党・ANCの党大会が予定されており、党首を選出する予定です。
ラマポーザ氏の続投が既定路線でしたが、今回の金銭疑惑で雲行きが怪しくなったとの見方が出ています。
当面のランド相場は、大統領の金銭疑惑をめぐる問題の行方が焦点となりそうです
来週までの南アフリカランド/円の見通し
予想レンジ
7.550円～8.150円
基調
方向感模索
来週までの注目ポイント
☆12/13 南ア議会討議
☆12/16～南ア与党（ANC）党大会
・ 主要国株価、国際商品価格
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員神田 卓也（かんだ・たくや）
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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