“どうやら、頭打ち?”

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この3週間のドル・円相場の動きを見ると高値が151.94、149.69、148.85と徐々に値を切り下げており、また同じく終値も147.63、147.47、そして146.66と下げて3週連続の陰線

(終値が始値よりも低い。)を表している。

(年初からのドル・円相場の週足・ローソク足・チャート。)

今年に入ってから、3~4週陰線を見せた後にドル・円相場が大きく反転上昇するパターンが続いてはいるが、どうやらドル・円相場はそろそろ頭打ちと見ても良いのではなかろうか?

その理由の一つは前回や前々回の反転上昇時と違って、今回は財務省による為替介入により頭が抑えられる可能性が高いからである。

他にもFRB.による利上げペースの鈍化が挙げられる。
先週のFOMC.において市場の予想通りに0.75%の利上げが行われたが、次回の12月のFOMC.では0.50%の利上げに留まると言う意見が多く聞かれる様になった。
そしてその内利上げ停止、その後利下げの開始と言うのが通常のFRB.が取るパターンであり、此処で何回も述べた様に介入はそれまでの時間稼ぎである事は疑い無い。
言い換えればFRB.の利上げ停止まではドル高&円安の流れが続くことは有る意味自然であるが、介入でそのスピードを落とし、ロケットの高度到達点(ドル・円相場の高値)を低くしておきたいと言うのが政府・財務省の望むところである。


個人的な事で恐縮であるが、先週1週間アメリカ・サンフランシスコに出掛けて来た。
率直な印象は、“何でも値段が馬鹿高い!”と言う事である。

アメリカのインフレ進行と共に円安の影響でダブル・パンチを食らった感じで、感覚的には昨年からアメリカで円を使うと2倍になった気がする。
言い換えれば円の価値が半分になったと言うことである。

ホテルに滞在していたのである意味高い価格は仕方ないが、普通のどうってことはないカリフォルニア・ワインがグラス一杯で25ドル×148円=3,700円で、2~3杯も飲めば軽く万札が飛んで行く。

気軽なハンバーガー(100%のアメリカン・ビーフでそりゃあ美味しい。)でさえ60ドル以上して、これも円換算をすると1万円近くの勘定になる。

ハンバーガーを食べてワインを2~3杯飲むと2万円だ!

冗談ではない…

向こうで会った連中の多くが金融関係の大物たちであったが、例外無く来年のアメリカの景気後退を確信していた。
景気後退による金利低下は株価にとって好材料だが、景気後退を悪材料と見て株価が下落する事をより心配していた。

為替に関しては金利の頭打ちによりドル下落を予想するがユーロに対しても弱気であり、対ユーロでの下落よりも、行き過ぎた円安の反動によるドル・円下落の方が大きいと言う意見が多かった。

さて、報道によると9月から10月に掛けての介入の総額が凡そ9兆2千億円にも上り、これは1998年に榊原元財務官(Mr.Yen.)が行った凡そ3兆円の3倍に当たる。

そしてこれは我が国の貿易赤字の約3ヶ月分に当たり、先週のレポートで述べた様に約3ヶ月分のドル不足を補ったことになる。
忘れてならないのは大きく減りつつあるとは言え、我が国の経常収支は未だ黒字を保っていることである。

市場の需給は相当こなれてきたことは間違いあるまい。

相変わらずドル・円相場は、ディーラー言葉で言えば“トピッシュに近い。”=(高値に近い。)と個人的に感じている。


今週のテクニカル分析の見立てはレンジ取引。
148.90を上切れば150円を試すことになるが、介入警戒感がそれを抑える。
逆に146.00を下切れば145円を試す展開か?

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