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FX/為替 月間見通し「9月ポンド・ショックの余波は?」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2022年10月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月のポンド/円ポジション動向
・10月の英国注目イベント
・ポンド/円 10月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月の豪ドル/円ポジション動向
・10月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 10月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 9月の推移

9月のポンド/円相場は148.666~167.740円のレンジで推移し、月間の終値ベースではほぼ横ばいだった。円売り主導で13日には167.74円前後まで上昇して約3カ月ぶりの高値を付けたが、その後は軟化。英国のインフレが高止まりする中、景気後退(リセッション)を巡る懸念が広がった。

そうした中で22日には英中銀(BOE)が50bp(0.50%ポイント)の追加利上げを決めたものの、ポンド相場の支援材料にはならなかった。翌23日に英政府がトラス首相の公約でもある大規模な減税案と国債の増発計画を発表すると、財政悪化懸念とインフレ高進懸念が絡み合ってポンドに下落圧力がかかった。週明けの26日にはポンド/ドルが史上最安値を更新して急落。ポンド/円も年初来安値を更新して148.67円前後まで下落した。

ただ、28日にBOEが市場の混乱収束に向けて長期債の買い入れを発表するとポンドを買い戻す動きが広がり、30日には対ドルで1.12ドル台、対円で162円台まで一時値を戻すなど荒い動きが続いた。

出所:外為どっとコム

5日
英国の与党・保守党は、トラス外相とスナク前財務相の決選投票の結果、トラス外相が新党首に選出されたと発表した。女性首相は英国史上3人目となる。

7日
トラス新首相が減税やエネルギー価格高騰への対策を打ち出したことで英国の財政負担が増すとの懸念が広がった。BOE金融政策委員会(MPC)のピル委員が議会証言で、光熱費抑制策が決定すれば「インフレ率は短期的に下がる」との見方を示したこともポンドの重しになった。

13日
英8月失業率は3.9%と1974年以来の低水準だった前月から横ばいだった。一方、同新規失業保険申請件数は0.63万件増(前回1.45万件減)だった。また、5-7月期のILO失業率は0.2%ポイント低下し3.6%となった(予想3.8%)。5-7月の週平均賃金は前年比+5.5%と予想(+5.4%)を上回った。

14日
英8月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.9%と予想(+10.0%)を下回った。前月は約40年ぶりの高い伸びとなる+10.1%を記録していた。わずかとはいえ前年比の伸びが鈍化したのは2021年9月以来約1年ぶり。

16日
英8月小売売上高は前月比-1.6%と予想(-0.5%)を下回る大幅な減少を記録。光熱費の値上がりなど、インフレが高進する中、家計が圧迫されている様子が浮き彫りになった。

22日
BOEは予想通りに政策金利を1.75%から2.25%へと引き上げた。議事録では5人が50bpの利上げを支持、3人が75bpの利上げを主張、1人は25bpにとどめるべきと主張するなど、利上げ幅を巡り意見が割れたことが明らかになった。英経済については「今年4-6月期、7-9月期とマイナス成長が続く」との見通しを示した。資産買い入れ制度(APF)で保有する英国国債の削減については全会一致で決定。今後12カ月間で800億ポンドを満期償還・売却を通じて減らすことを明らかにした。

23日
クワーテング英財務相は所得税の最高税率の引き下げや法人税率の引き上げの凍結など、大型減税を柱とする経済対策を発表。市場では、先に英政府が発表した家庭と企業の光熱費抑制策と合わせて、財政圧迫への不安が高まった。なお、これより前に発表された英9月製造業PMI・速報値は48.5、同サービス業PMI・速報値は49.2だった(予想47.5、50.0)。

26日
クワーテング英財務相は前週末25日に経済成長を促進する策として、減税に「まだ追加がある」と表明。これを嫌気して週明けの東京市場でポンドが急落した。その後、BOEが緊急利上げを検討すると伝わるとポンドは急反発。ただ、BOEは「次回MPCで、政府の発表による需要とインフレへの影響、およびポンドの下落について完全な評価を行い、それに応じて行動する予定」などとする声明を発表するにとどめ、緊急利上げには踏み込まなかった。

28日
BOEは国債市場の安定化に向けて、一時的に長期債を買い入れると発表。あわせて量的引締め(QT)による保有国債の売却開始を10月31日まで延期することを決定した。その後、英財務省は「今回のBOEのオペレーションは財務省が完全に補填する」「期間20年以上の普通国債を購入準備」「購入規模は1回のオペにつき最大50億ポンド」と公表した。これを受けて英長期金利が急低下するとポンドに買い戻しが入った。

9月の各市場

9月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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10月の英国注目イベント

ポンド/円 10月の見通し

英政府は10月3日、9月に発表した大規模減税計画に盛り込んだ最高所得税率を45%から40%に引き下げる案を撤回した。所得減税は低所得者層より高所得者層が恩恵を受けるとして与党・保守党内から批判の声が挙がっていた。この発表を受けてポンドは減税計画発表前の水準を回復しており、4日時点でポンド/円は163円台で推移している。

しかし、こうしたポンドの反発基調が続く公算は小さいだろう。英政府が当初示した計画による減税規模は450億ポンド。このうち所得税最高税率の引き下げ撤回によって見込める税収は20億ポンドに過ぎない。国債増発・財政圧迫に対する市場の懸念を本格的に和らげるには明らかに力不足であろう。また、こうした混乱を受けて与党・保守党の支持率が急低下しており、9月に発足したばかりのトラス政権が短命に終わる可能性が高まっている。この点もポンドの重しとなりそうだ。

9月末に行われた調査によると保守党の支持率は21%に低迷。最大野党・労働党の54%に大きく後れを取っていることが明らかになった。仮に、今総選挙を実施すれば政権交代は確実と見られる。与党内からも「トラス降ろし」の声が強まる可能性がある。英国の経済と政治の混乱は当面続くと見られ、ポンド相場も当面は上値の重い展開が見込まれる。
(予想レンジ:156.500~167.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 9月の推移

9月の豪ドル/円相場は92.130~98.792円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.6%下落(豪ドル安・円高)した。

13日には2015年1月以来の高値となる98.79円前後まで上昇したが、世界的な景気後退(リセッション)を巡る懸念が広がると中旬以降に反落。本邦当局が24年ぶりの円買い介入を実施した22日にはドル/円の下落につれて月初来で下げに転じた。その後も、英国の予算膨張観測も相まって世界的に長期金利が上昇する中で株安によるリスク回避の豪ドル売り・円買い優位の流れが続いた。

景気不安などを背景に中国人民元が対ドルで約14年ぶりの安値を付けた28日には92.13円前後まで続落して8月上旬以来の安値を付けた。月末にかけても戻りは鈍く、92.60円台で9月の取引を終えた。

出所:外為どっとコム

6日
豪中銀(RBA)は政策金利を50bp(0.50%ポイント)引き上げて2.35%とした。声明では「理事会は今後数カ月、さらに金利を引き上げると予想しているが、あらかじめ決まった道筋にあるわけではない」「将来の金利引き上げの規模とタイミングは、今後のデータとインフレや労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定」などと表明した。利上げ幅が予想通りだった他、声明の内容が前回と大差なかったことから豪ドル相場の反応は限定的だった。

7日
豪4-6月期国内総生産(GDP)は前期比+0.9%で予想に一致。1-3月期の+0.7%から小幅に伸びが加速した。前年比でも+3.6%と1-3月期の+3.3%から加速した。なお、その後発表された中国8月貿易収支は793.9億ドルの黒字となり、黒字額は予想(927.0億ドル)を下回った。

8日
ロウRBA総裁は「利上げ減速論は、金利が上がれば上がるほど強くなる」などと発言。市場はこれを、利上げ減速の示唆と受け止めた模様で豪ドル売りが優勢となった。なお、これより前に発表された豪7月貿易収支は87.33億豪ドルの黒字で、黒字額は予想(146.50億豪ドル)を大幅に下回った。これまで好調だった鉄鉱石や石炭の輸出が減少したことが響いた。

15日
豪8月雇用統計は、新規雇用者数が3.35万人増と予想(3.50万人増)をやや下回ったが、フルタイムの正規雇用者が5.88万人の大幅な増加となった(非常勤2.53万人減)。失業率は3.5%と予想(3.4%)を上回り48年ぶりの低水準だった前月(3.4%)からわずかに上昇したが、労働参加率が66.6%に上昇(前月66.4%)したことによるもので「良い失業率上昇」とみなされた。

16日
ロウRBA総裁は「インフレ率を目標に戻すにはさらなる引き上げが必要であると予想する」とした上で「ある時点で金利の上昇速度を緩めることが適切となる」「ある時点で50bpの利上げが不要になるがその段階に近づいている」との見解を示した。

20日
RBAは9月会合の議事録を公表。インフレについて今年後半にピークを迎えるとした上で「政策金利の水準が上がるにつれて、利上げ速度を緩やかにする根拠が強まりつつある」との見解を示した。また、今回の理事会では50bpと25bpの利上げについて議論したことを明らかにした。従来よりもタカ派色が後退している内容となった。これを受けた為替市場の反応は限定的であった。

21日
ロシアのプーチン大統領は「西側はロシアを破壊したがっている」と発言。「ドンバスで戦う志願兵に法的地位を与えるよう政府に命じた」として軍の部分動員令に署名したことを明らかにした。ウクライナ情勢の一段の悪化が懸念され、一時リスク回避の円買いが強まった。

28日
豪8月小売売上高は前月比+0.6%と予想(+0.4%)を上回った。ただ、中国人民元が対ドルで14年ぶりの水準に下落する中で豪ドルも軟化。小売売上高に対する反応は見られなかった。

29日
豪統計局は新たに公表を始めた月次消費者物価指数(CPI)を前倒しで発表。7月CPIは前年比+7.0%と1990年代半ば以来の高い伸びとなった。8月CPIは前年比+6.8%だった。

9月の各市場

9月の豪ドル/円ポジション動向

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10月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 10月の見通し

豪中銀(RBA)は10月4日の理事会で政策金利を2.35%から2.60%へ25bp(0.25%ポイント)引き上げた。利上げ幅は大方の予想(50bp)を下回ったが、ロウ総裁が9月の時点で利上げペースを緩める可能性に言及していたことから、ある程度は想定済みだったと見られ、それほど大きな衝撃には至っていないようだ。RBAは、今回の声明でも「今後もさらなる利上げが必要となる可能性がある」とした上で「インフレと経済成長の見通しを評価するため」に25bpの利上げを決めたと説明。「将来の利上げの規模とタイミングは、引き続き今後のデータと、理事会によるインフレと労働市場の見通しの評価によって決定される」との文言も維持した。

こうした点を踏まえるとRBAの金融政策スタンスが10月の豪ドル相場の下押し要因になる可能性は低いだろう。11月に米連邦準備制度理事会(FRB)の75bp利上げが見込まれるドルに対してはともかく、対円では豪・日金利差の拡大観測を背景に堅調な展開となりそうだ。

もっとも、中国や欧州の景気不安がさらに高まれば、「リスク」に敏感な豪ドルは円に対しても続落する可能性がある。主要国株価や原油などのリスク資産の動向にも目配りが必要だろう。豪ドル/円は10月も外部環境に左右されやすい相場展開が続きそうだ。
(予想レンジ:90.500~97.000円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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