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FX/為替予想 相対的に底堅い豪ドルは押し目買いの有力候補「なっとく 豪ドル見通し」戸田裕大

なっとく豪ドル見通し

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。豪ドルの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第24回目は「相対的に底堅い豪ドルは押し目買いの有力候補」です。

順を追ってご説明いたします。

目次

1.豪ドル相場の定点観測
2.RBAは現在のオーストラリア経済をどのように捉えているのか?
3.AUD/JPYの押し目買い&ホールドで臨みたい

1.豪ドル相場の定点観測

まずは現在の豪ドル相場について状況を確認します。

豪ドル情報の一覧表/Investing.comよりデータ取得し作成
豪ドル情報の一覧表/Investing.comよりデータ取得し作成

AUD/USDは2週間で31Pips下落し、1AUD=0.6895USDとなりました。この間は米ドル主導の相場で、米ドル売りが加速した8月11日に0.71台まで豪ドルが上昇する局面もありました。ですが8月中旬以降は米ドル買いが強まる中、じりじりと値を下げています。ただし、下落幅はそこまで大きくなく、底堅い推移が続いています。

AUD/JPYは2週間で0.84円上昇し、1AUD=94.54JPYとなりました。一時93円台の前半まで下落する局面もありましたが、このレベルでは買いが優勢、その後も下押ししては、そこが押し目になるような推移が続き、対ドルと共に底堅い印象を受けます。

資源価格に持ち直しの動きが見られたことも豪ドルの底堅さへと繋がったのでしょう。総合的なコモディティ価格を示すBCOMは3.73%上昇しました。

ですがこういった状況の中でもIMM通貨先物における豪ドルの売りポジションはさらに3,298枚積み上がっており、海外投資家による根強い豪ドル売りが観測されています。

2.RBAは現在のオーストラリア経済をどのように捉えているのか?

現在のオーストラリア経済は歴史的に低い失業率に加えて、高水準の貿易黒字を維持するなど、引き続き好調を維持しています。他方でインフレ率は6月時点で前年比+6.1%まで上昇しており、他の先進各国と比べれば相対的に低いものの、政策金利が上昇に転じたことで住宅関連指標には変調が見られています。

こういった状況下でRBA、つまりオーストラリアの金融当局は何を考えているのでしょうか?

8月の金融政策決定会合の議事録をみると政策決定メンバーはインフレのピークアウトが2022年の後半であること、2023~2024年にかけて政策目標である2~3%にインフレ率が低下することを想定して動いています。これは政策金利が上昇することで、経済活動がわずかに鈍化し、労働市場がゆるむことで、賃金上昇圧力やインフレ圧力が和らぐというシナリオです。

国内要因では特に好調な労働市場への言及が多く、現在は想定よりも良い数字が出ているとしています。そして、労働市場が現在の水準で走り続けられるかどうかは一つの大きな不確定要素と見ているようです

また何かしらの供給制約が加わった場合には、インフレ率が高くとどまり、そしてそれが持続する可能性についても指摘しています。

さらに各国の長期金利が低下していることに触れ、最近の利上げサイクルが急速に景気を悪化させる要因になっていることを指摘しています。

したがって、金融正常化(利上げ)を進めるべきではあるが、こうした不確定要素を加味すると事前にそのペースを決めるのはナンセンスであり、データに基づいて決めていくべきとしています

こういった物事の考え方がなされたからか、10月からはこれまで3ヵ月に1度の公表となっていた消費者物価指数が各月の発表へと変更になりました。それほどに、RBAも毎月の指標を細かくチェックしたいということなのでしょう

ここからは私見ですが、そうは言っても地政学的にオーストラリアはロシアやウクライナから地理的に離れており、比較的に成長率の高いアジア地域と近く、且つ資源価格が高止まりしそうなことを考えれば、やはり他の先進各国よりも相対的に強くなってしかるべきと思います。こうした期待からか10年債の利回りは執筆時点で3.56%と米国よりも高い水準にありますし、利上げ期待も年後半には米国よりも高くなりますので、やはり底堅い推移が続くのではないかというのが私の見立てです

3.AUD/JPYの押し目買い&ホールドで臨みたい

AUD/USD相場については上値の重い展開が続いています。4月につけた高値0.7661、6月の0.7283、8月の0.7136と上値を切り下げている状況です。

一方で下値も限定的で、下から0.6700、0.6850あたりは強めのサポートになっています。

AUD/USDチャート、日足/外為どっとコム、外貨ネクストネオより
AUD/USDチャート、日足/外為どっとコム、外貨ネクストネオより

より俯瞰的に相場をみてみると、現在は豪ドル主導で動いているというよりは、基軸通貨である米国の金融政策に注目が集まっており、したがって米ドルの動きにつれて豪ドルも動いているというのが正しい捉え方だと思います。そういった中で、豪ドルはどんな通貨かと言えば、相対的に売られにくい通貨と捉えるのがよいです

したがって見えているチャートに拘るのではなく、米ドル売りの局面になれば豪ドルを買うと大きな値幅を取れる見込みがありそうですし、米ドル買いの局面となれば豪ドル以外の通貨を売っていくとより大きな値幅を取れる見込みがありそうだということです

AUD/JPYはご覧頂いてお分かりの通り、非常に強い状況にあります。下値を着実に切り上げ、またリバウンド力とでも言いますか、下落局面における反発も強烈です。

AUD/JPYチャート、日足/外為どっとコム、外貨ネクストネオより
AUD/JPYチャート、日足/外為どっとコム、外貨ネクストネオより

AUD/JPY買い持ちの魅力は2つで、1つはスワップポイントが付与されること、もう1つはドル安局面でも上昇を狙えることです

現在は米ドル主導の相場ですから、米ドル高の調整(米ドル売り)が入るとドル/円を買い持ちにしていた場合、損失を被る可能性が高いです。ですが豪ドル/円の買い持ちであれば、仮に米ドルに調整が入ったとしても上昇の可能性は大いにありますので、より安定する見込みがあります。

したがって豪ドル/円が下押しする局面では積極的に拾っていきたいと考えています。

本日は以上となります。

引き続き、みなさんのお役に立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。


<参考文献>
文中に記載しています。


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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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