総括
FX「9会合連続利上げでもインフレ高し。大統領は利上げ懸念。米ドルに最強通貨の座を明け渡す」メキシコペソ見通し
予想レンジ 6.4-6.9
(ポイント)
*最強通貨の座を米国に明け渡す
*6月消費者物価上昇
*8月も利上げ観測あるが大統領はこれ以上の利上げに懸念
*政策金利は前回9会合連続利上げで7.75%(0.75%引き上げ)
*郷里送金(仕送り)は25か月連続増加
*世界邸な株下げのリスク回避でドルが買われペソ下落
*7月12日の訪米時にバイデン米大統領と会談予定
*S&Pは長期格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ
*5月は2か月連続貿易赤字
*5月失業率は3.3%に悪化
*フィッチは「BBB-」「見通し安定的」の格付けを維持
(最強通貨の座を明け渡す、ドル高円高のリスク回避が影響)
世界全体で資源価格が下落、金利が低下し高金利通貨の上昇も一服している。ペソもジリ安推移で年初来最強の地位を米ドルに譲った。
(6月消費者物価は7.99%上昇)
物価はさらに上昇。6月は前年比7.99%上昇、前月比で0.84%上昇。コアは前年比で7.49%、前月比で0.77%上昇した。2001年1月以来の高水準。ジャガイモやオレンジなどの食料品の価格が大幅に上がった。中銀は利上げを続けているが、物価上昇が加速している。
(大統領の利上げ懸念は続くか)
前回触れた通り、9会合連続利上げしたことでロペスオブラドール大統領が利上げ自体に懸念を有している。
また、7月12日の訪米時にバイデン米大統領と会見する機会を捉え、メキシコが実施するインフレ率上昇抑制策を紹介するとともに、米国と共同でインフレ率上昇を低減する取り組みを実施することを提案したいとの考えを示した。
(格付け、見通し引き上げ)
S&Pは、メキシコの長期格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。慎重な財政・金融政策への期待のほか、エネルギー政策への不安の軽減が背景にあるとしている。メキシコの長期外貨建て格付け「BBB」と、長期自国通貨建て格付け「BBBプラス」はそれぞれ据え置いた。
ロペス・オブラドール政権が財政と債務の安定化に向けた経済政策を追求すると期待しているとし、格付け見通し引き上げの理由の一つとして、エネルギー政策の不確実性が低下したことを挙げた。格付け見通し引き上げを受け、メキシコ財務省は「国内外で有利な市場アクセスの継続が可能になる」との声明を発表した。
(仕送り、25カ月連続増加でペソを支える)
外国からメキシコへの5月の送金額が前年同月比14.3%増の約51億7200万ドルになった。主な出稼ぎ先である米国で失業率が低水準で推移しており、母国であるメキシコに住む家族への送金が伸びている。前年同月を上回るのは25カ月連続だった。
(エルドアン・トルコ大統領が7月末にメキシコ訪問へ、何故?)
7月下旬にトルコのエルドアン大統領がメキシコを訪問するようだ。原油関連か半導体か
最近はロペスオブラドールも利上げに懸念発言をしているので、高インフレでも利下げのエルドアン大統領に教えを乞うのだろう。興味津々である。
テクニカル分析
ボリバン上限から下限へ。5日線が20日線下抜く
日足、ボリバン2σ上限から2σ下限近くへ下落し昨日は小反発。雲の手前。7月6日-7日の上昇ラインがサポート。6月30日-7月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、20日線を下抜く。20日線も下向く。
週足、 6月6日週-27日週の下降ラインが上値抵抗。5月9日週-6月13日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上位。
月足、5か月連続陽線も今月は陰線スタート。5月-6月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限下抜く。
年足、2021年は陽転。20年-21年の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
国営石油の巨大製油所が稼働、脱炭素に逆行
多くのエネルギー企業はここ数年、再生可能なグリーンエネルギーに移行するため製油所を閉鎖しつつある。だが、メキシコは逆の方向に数十億ドルを投じている。
メキシコの国営石油大手ペメックスは南東部にある巨大なドスボカス製油所の操業開始を宣言した。 ロペスオブラドール大統領は、この重要インフラプロジェクトを国の主権とエネルギー自給自足を独自に象徴するものとして推進してきた。同氏は「夢がかなった」と喜んだ。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油の供給不足により、石油製品と原油価格の差を示す精製マージンは過去最高の水準に達している。
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