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FX/為替予想 豪ドルと米ドルの利上げ織り込みが拮抗しており7月末までレンジ想定「なっとく 豪ドル見通し」戸田裕大

なっとく豪ドル見通しタイトル

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。豪ドルの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第19回目は「豪ドルと米ドルの利上げ織り込みが拮抗しており7月末までレンジ想定」です。

順を追ってご説明いたします。

目次

1.豪ドル相場の定点観測
2.豪ドル価格の決定要因である利上げ織り込み拮抗
3.豪ドルは0.70~0.73のレンジ想定

1.豪ドル相場の定点観測

まずは現在の豪ドル相場について状況を確認します。

豪ドル関連情報の一覧表
豪ドル関連情報の一覧表

AUD/USDはこの3週間で110pips下落し、執筆時点で1AUD = 0.7009USDとなっています。前半は米ドル高の調整により豪ドルは0.7283手前まで上昇したものの、その後は米ドルの買いが優勢で結局0.70丁度レベルまで戻ってきてしまった格好です。この間、RBAは政策金利を0.50%引き上げたものの、大勢に影響を与えるには至っていません

AUD/USDチャート、日足
AUD/USDチャート、日足

AUD/JPYはこの3週間で3.65円上昇し1AUD = 94.56円となっています。AUD/USDは下落したものの、USD/JPYが大幅に上昇し135円を目指す展開となったことで、連れて上昇している格好です。直近は米株などリスク資産の下落に連れる形で、やや軟調に推移しています

AUD/JPYチャート、日足
AUD/JPYチャート、日足

総合的なコモディティの価値を示すBCOM(Bloomberg Commodity)は3週前比で3.18%上昇しています。コモディティ価格が引き続き上昇している点は資源国通貨の豪ドルにとってプラス材料です。

BCOMチャート、日足
BCOMチャート、日足

豪ドルのIMM通貨ポジションは3週前比でネット▲3,434枚となり、ネット▲47,896枚となりました。直近1年間は最大で100,000枚前後までネットショートが膨らむ局面も見られていますので、豪ドル先安観が強まれば、投資家はもう一段、売りを仕掛ける余力がある点に留意しておきましょう。

2.豪ドル価格の決定要因である利上げ織り込み拮抗

為替レートの価格決定にはさまざまな要素が絡み合います。ですが、AUD/USDに関して言えば特に今、注目されているのは政策金利の引き上げペースの差と考えます。

こちらの添付チャートは豪ドルと米ドルの金利先物市場から逆算した利上げ織り込みです。豪ドルの軌道が米ドルよりも若干下回る形で推移していることが分かります。

豪ドルはASX(Australia Stock Exchange)、米ドルはCME Group よりデータ取得し作成
豪ドルはASX(Australia Stock Exchange)、米ドルはCME Group よりデータ取得し作成

この豪ドルの軌道が米ドルの軌道の上に抜けてくることがないと、なかなか豪ドルが好んで買われていく展開にはなりづらいと考えています。同程度の金利しか見込めないのであれば、基軸通貨である米ドルを売って、あえて豪ドルを買う投資家は少ないはずです。

ではこれがどのようにして逆転する可能性があるか?というと1つのシナリオは米国のインフレが落ち着いてきて、米利上げ織り込みが剥落することです。ですが直近の米5月消費者物価は8.6%と高止まりしており、またサプライチェーンの目詰まりやウクライナ侵攻による資源高の高止まりなどを考慮するとしばらくは難しいように思います。

もう1つのシナリオはオーストラリアのインフレ圧力が高まることです。ところが米国のインフレ指標は月に1度の発表で確認しやすいのですが、オーストラリアのインフレ指標は3ヵ月に1度の発表で確認に時間が掛かります。

次回は7月後半に4-6月期の消費者物価が発表となる見込みですので、この辺りまでは判断材料に乏しく、そのためレンジ相場を想定しています

レンジと想定すると下で買って、上がってきたら売ってを7月の後半まで繰り返しても面白いかも知れません。

3.豪ドルは0.70~0.73のレンジ想定

ではどこをレンジとして捉えるのか?ここが重要になります。私は広めに0.68~0.73をレンジと想定します。

AUD/USDチャート、日足
AUD/USDチャート、日足

足元のドル買いの圧力を考慮するとチャートポイントである0.70を割り込みそうです。レンジ下限を年初来安値の0.68付近とし、上は直近の高値に少し幅を持たせ0.73としました。少なくとも7月末までは豪ドルが積極的に買われる展開にはならないと判断しています。

したがってオペレーションとしては、0.68まで下がってきたら買いを、0.73まで上がってきたら売りを機械的に入れていきたいと思います。もちろん大きな材料が出てきたら見直しを考えますが、あくまで大きな方針としてレンジを想定するということです。

AUD/USDをレンジと想定すれば、AUD/JPYはドル/円次第となります。ドル/円は執筆時点で135円台に乗せましたが、政府の発言や過去の介入データを総合的に勘案すると、このあたりからは為替介入を警戒した方が無難でしょう。

一方で円が積極的に買われる材料もありません。したがって調整の範囲内と考えるのがよいでしょう。直近は127円から135円への上昇で約8円の値幅がでましたので、調整の目安としてはフィボナッチの38.2%、すなわち3円くらいを見ておけば良いと考え132円レベルでは拾ってよいと考えます。

USD/JPY 日足
USD/JPY 日足


豪ドル/円で買う場合には合わせて豪ドルの水準を見ながら最終判断をするのが良いです。

本日は以上となります。

引き続き、みなさんのお役に立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。

戸田裕大


<参考文献>
豪ドルチャート、IMM通貨ポジションデータ:外為どっとコム
BCOMデータ:Investing.com
その他は文中に記載

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戸田裕大氏レポート

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。
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