FX/為替予想 豪ドル上昇は一服か!?対米ドルで売られやすい4つの理由「なっとく 豪ドル見通し」戸田裕大

なっとく豪ドル見通しタイトル

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。豪ドルの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第15回目は「豪ドル上昇は一服か!?対米ドルで売られやすい4つの理由」です。

結論としてAUD/USDは売られやすいと考えます。ただしオーストラリア経済は極めて好調ですので、下落幅はそこまで大きくないと想定します。主な理由は以下の4点です。

1. 米金利の上昇ペースが豪金利の上昇ペースよりも早いから
2. 投機筋のショート買戻しが出尽くしたと思うから
3. 上海のロックダウンがオーストラリア経済に悪影響だから
4. 資源高の一服が豪ドル高の一服を連想させるから

順を追ってご説明いたします。

目次

1.豪ドル相場の定点観測
2.ファンダメンタルズの確認
3.豪ドルのショート勢は既に大半の損切りを執行したもよう
4.上海で広がる新型コロナと資源高の一服が豪ドル安の要因
5.AUD/USDは売り目線、AUD/JPYは買い目線

1.豪ドル相場の定点観測

まずは現在の豪ドル相場について、かんたんに状況を確認します。

<豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足>
作成時点のAUD/USDレート:0.7442

豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足

前回報告が3月8日で、作成時点のAUD/USD相場が0.7401でしたので、この2週間は41Pipsの小幅上昇に留まっています。4月5日にRBA金融政策決定会合があり、ここで一旦上値を試し0.7660レベルまで上昇したのですが、その後はドル買いが強まる中で反落し現在のレベルに落ち着いている状況です。

<豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足>
作成時点のAUD/JPYレート:92.93

豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足

前回報告時点のAUD/JPY相場が88.23円でしたので、2週間で4.70円ほど豪ドル高が進みました。この間、AUD/USDの水準は40Pips程度しか変わっていませんので、ほぼUSD/JPYの上昇に連れて上昇した格好です。それにしても私たち国民にとっても不安で急な円安が続いていますね。

2.ファンダメンタルズの確認

本日はオーストラリアのファンダメンタルズについてアメリカと比較しながら見ていきます。

オーストラリア経済はウクライナ戦争の影響が少なく、且つ資源高の影響を受けて好調ということは本シリーズでこれまでにお伝えしてきた通りです。ただし、この辺りで改めて注意深くみていくことも重要だと思います。

まずはこちらの表をご覧ください。

オーストラリアとアメリカの経済指標比較

順に上からご説明します。

経常収支ですが、オーストラリアは資源高の影響を受けて過去最高水準の黒字を積み上げています。一方、アメリカは自国の通貨「米ドル」が基軸通貨ですので、高く評価されており、ゆえに貿易で勝つことは困難で、結果として経常収支はマイナスです。これはアメリカ経済の構造上仕方のないことなので、ここでは、「オーストラリアの経常収支が好調」と言うことを覚えて頂けますと幸いです。

次に失業率ですが、オーストラリア、アメリカともに極めて低水準であり、雇用環境は等しく良いです。

では大きな違いは何かと言うと目先のインフレ圧力の強弱です。オーストラリアは相対的にインフレ圧力が低く、アメリカは相対的に高いので、これが両国の金融政策に如実に反映されています。

FRBは2022年3月に25bpsの利上げを行い、さらに次回5月4日のFOMCで50bpsの利上げを行うとみられていますが、RBAは次回5月3日のRBAにおいても引き続き政策金利であるキャッシュレートの0.10%を据え置くとみられています。

こうした両中銀の対照的な動きが債券市場で意識され、2年債の利回りはアメリカの方が高いけれども、10年債の利回りはそもそも景気が好調で長期間にわたって成長しそうなオーストラリアの方がより高くなっているのです。

これを為替に置き直せば、短期的には米ドル買いの圧力が強まりそうだけれども、中長期的には豪ドルが伸びるとみるのが素直な見方だと思います。もちろん金利だけで為替の中長期予想をするのは乱暴なのですが、あくまで経済状況を加味した金利の視点ではこのように見えます

3.豪ドルのショート勢は既に大半の損切りを執行したもよう

短期の動きを予測する時に投機のポジションを見ておくことは重要です。現在のIMM通貨先物のポジションをみると大分と豪ドルのショートポジションが縮小してきたことが分かります。

IMM先物(豪ドル)

これはショート目線の人が減ってきたと見ることもできますが、私は、ショート勢はすでに買戻しを余儀なくされた可能性が高いとみています。

AUD/USDは前回のRBAで一時0.7660レベルまで上昇していますので、このタイミングでショートを切らされたプレイヤーが多かったと推測します。となるとストップバイと言うのですが、上昇の燃料となるショート勢の買い戻しニーズが少なくなっています。このように考えると、さらなる材料がないと豪ドルの一段の上昇は難しいのかも知れません。

4.上海で広がる新型コロナと資源高の一服が豪ドル安の要因

次にオーストラリアと関係の深い外部要因2つについて言及します。これらは豪ドル安要因と考えています。

1点目が中国は上海のロックダウンです。中国政府がゼロコロナ政策を続けるなかで、感染力の強い新型コロナウイルスが上海で蔓延し、感染のチェックや人流抑制の対策から、物流が目詰まり、物資が不足し、市民の不満が高まっています。

筆者のもとにたくさんの画像や映像が送られてきていますが、某友人から送られてきた「配給の画像」を以下に添付します。写真の加工がモノクロで一層悲壮感が漂いますが、大根と漬物だけでは、食欲を満たすこともままなりません。

配給の画像

上海では区域ごとに配給が行われていて、この物品に関してさまざまな画像がSNSを賑わせていますが、経験上、多少は割り引いてみないといけなくて、とは言え悲惨な状況と言いますか、鬱憤が溜まっているように見えますので、やはり経済活動も良くないのだろうと言う気がします。

それからもう2点目が資源高一服の影響です。

現在も資源高が続いているとはいえ、戦局が東部に限定されるなどウクライナ戦争の状況に変化があり、ある程度、市場の反応は落ち着いてきたようにも見えます。これ以上の資源高がないのであれば、オーストラリア経済のさらなるアップサイドは望みづらいでしょう。

BCOM(ブルームバーグ・コモディティ・インデックス)と呼ばれる資源価格の総合的な価格を示すチャートも、足元はやや反落しています。

BCOM(ブルームバーグ・コモディティ・インデックス)

資源の高騰が豪ドル高を支えていた面も大いにあると考えますので、資源高が一服し、豪ドル高が一服するシナリオは想定しておいて良さそうです。

5.AUD/USDは売り目線、AUD/JPYは買い目線

<AUD/USD 4時間足>

AUD/USD 4時間足

AUD/USDは下目線です。

オーストラリア経済が非常によいので勢いよく下落する相場にはならないと思うのですが、米利上げとバランスシートの縮小に圧されて米ドル高が進みやすいことから、AUD/USDはじり安の展開を想定します。

前回のRBA以降、反落している点にも留意が必要です。RBAは流れを変える傾向があり、そのタイミングで高値をつけて反転している点も、個人的に買いでついていきたくなくなる、心に引っ掛かるポイントです。

もしかするとサイトにアップされる前に割れてしまうかもしれませんが、0.7420(上昇の始まった起点)で支えられるかどうかは注目です。ここで支えられている限りは引き続き上を目指すかも知れませんので、買い持ちで攻めたい方にとって注目のチャートポイントとなります。


<AUD/JPY4時間足>

AUD/JPY4時間足

AUD/JPYについては、前回も述べた通り、円安の勢いが強く、押し目が形成されにくい状況にあります。こちらはまずは買いでついていき、浅めにストップオーダーを置いて攻めていくのが良いでしょう。

USD/JPY次第の展開にはなると思いますが、ドル円が2015年の最高値125.86円付近を超えていけばAUD/JPYもさらに上値を試す展開になると思います。

私的にはUSD/JPYを上で見ていますので、AUD/JPYも買い目線でみていますが、前述の通り米ドルの方が短期的に上がりやすいと考えているので、USD/JPYで攻めるつもりです。AUD/JPYで攻める一つのメリットはドル円対比で証拠金が少なくて済むことなので、この辺りはご自身の証拠金と相談してきめるとよいかも知れません。

ただウクライナ情勢がある程度消化されて、先週から米ドルが値動きの中心に戻ってきていますので、仮にドル高になった場合には、AUD/JPYは売られやすい、または伸びにくい点にご留意ください


本日はここまでとなります。

引き続き、みなさんのお役に立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。

戸田裕大

<参考文献>
豪ドルチャート、IMM通貨ポジション:外為どっとコム
BCOMチャート:Investing.com
オーストラリアの経済指標:Investing.com, 世界銀行よりデータ取得し、戸田が作成

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若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
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