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「円全面安の流れに変化見込めず」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2022年4月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のポンド/円ポジション動向
・4月の英国注目イベント
・ポンド/円 4月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月の豪ドル/円ポジション動向
・4月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 4月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 3月の推移

3月のポンド/円相場は150.982~164.626円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.7%上昇した(ポンド高・円安)。

上旬はウクライナ危機の影響で軟調に推移。8日に一時151円台を割り込んだものの、中旬にかけて持ち直した。その後、英中銀(BOE)が追加利上げに対する姿勢を弱めた事で軟化する場面もあったが、ウクライナとロシアの停戦交渉が続く中で地政学リスクを巡る過度な懸念が後退したため堅調に推移。下旬にかけては日銀の金融緩和を維持する姿勢が鮮明化する中、円が独歩安となった事で一段高となった。日銀が「連続指値オペ」を通告した28日には、2016年2月以来、約6年1カ月ぶりに164.63円前後まで上伸した。月末にかけては持ち高調整と見られる動きで上げ幅を縮小したが159円台を維持して3月の取引を終えた。

ポンド/円 3月の推移

3月のポンド/円4本値

出所:外為どっとコム

4日
ウクライナ南部のザポロジエ原発でロシア軍の砲撃による火災が発生したとの報道が伝わると、リスク回避の欧州通貨売 り・円買いが強まった。

8日
英政府はロシアへの制裁の一環としてロシア産原油の輸入を2022年末までに段階的に禁止する計画だと伝わった。これを 受けてNY原油(WTI)が1バレル=129ドル台へと上昇。世界的なスタグフレーションへの懸念からドルと円が強含むとクロス円に一時下落圧力がかかった。なお、その後バイデン米大統領は、石油を含むロシア産化石燃料の輸入を禁止すると発表。大統領は「ロシア経済最大の動脈を標的にする」「プーチンの戦争に我々は加担しない」と述べた。

11日
英1月国内総生産(GDP)は前月比+0.8%と予想(+0.1%)を大幅に上回った。英1月鉱工業生産は前月比+0.7%と予想 (+0.1%)を上回った。英1月貿易収支は264.99億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(126.00億ポンド)以上に膨らんだ。

15日
英2月失業率は4.4%に低下(前月4.5%)し、同失業保険申請件数は4.81万件減少した。国際労働機関(ILO)基準の11-1月失業率は3.9%に低下(10-12月4.1%)。11-1月の週平均賃金は前年比+4.8%だった(予想+4.6%、10-12月+4.6%)。

17日
BOEは大方の予想通りに政策金利を0.50%から0.75%に引き上げた。同時に発表した金融政策委員会(MPC)議事録では、カンリフ副総裁が利上げに反対票を投じ8対1で決まった事が明らかになった。また、今後の利上げについて「今後数カ月の間に追加引き締めが適切となる『可能性がある』」として、前回の「可能性が高い」からやや表現を弱めた。これを受けてポンドは下落した。

23日
英2月消費者物価指数(CPI)は前年比+6.2%と予想(+6.0%)を上回り、1992年3月以来ほぼ30年ぶりの高い伸びとなった。食品・アルコール・タバコを除いたコアCPIも前年比+5.2%に加速した(予想+5.0%、前回+4.4%)。ただ、スタグフレーション(不況下の物価高)への懸念からポンドは下落。ロシアのプーチン大統領が「敵対国家」にはルーブル建てで天然ガス代金を支払うよう要求する方針を示した事や、スナク英財務相が「ウクライナの紛争は景気回復のリスク」「インフレが急上昇し 成長が鈍化する可能性がある」との見解を示し、2年の成長率予測を従来の6.0%から3.8%に引き下げた事も重しとなった。

24日
英3月製造業PMI・速報値は55.5、同サービス業PMI・速報値は61.0だった(予想57.0、58.0)。製造業PMIは前月の58.0から低下した一方、サービス業PMIは前月の60.5から予想に反して上昇した。

28日
日銀が「連続指値オペ」を通告して長期金利の上昇を抑え込む姿勢を強調すると円売りが活発化。日英金利差拡大の思惑 からポンド高・円安が進み、2016年2月以来の高値となる164.63円前後まで急伸した。ただ、その後ベイリーBOE総裁が「英国の実質所得は歴史的な打撃に直面している」「これが需要と成長を圧迫し、国内に起因するインフレを押し下げ始めるだろう」などと発言した事や急落した円を買い戻す動きが強まった事から上げ幅を縮小した。

3月の各市場

3月の日経平均、FTSE100

3月の英2・10年債利回り

3月のポンド/円ポジション動向

3月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

4月の英国注目イベント

4月の英国注目イベント

ポンド/円 4月の見通し

3月のポンド/円相場は一時164円台へ上伸して2016年の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票以前の水準を回復する場面もあった。日足チャートは、奇麗な上昇トレンドを描いており、4月もポンド高・円安の流れが継続する事を示唆していよう。

ただ、3月のポンドは対ドルでは軟調で、ポンド/円相場の上昇はポンド高ではなく円安が主因であった。英中銀(BOE)は3月の金融政策委員会(MPC)で、ウクライナ情勢を踏まえて追加利上げへのスタンスを弱めた。ベイリー総裁はこうしたスタンス修正の背景を「英経済の高い不透明性を反映させた結果だ」と説明している。物価はさらに上昇が加速すると見られる一方、実質所得(物価調整後の所得)の減少で、需要と成長が圧迫される可能性があるとの見通しも示している。BOEは、物価上昇と景気減速の両睨みで、引き締め姿勢をやや後退させた模様だ。利上げ一時停止の可能性も浮上した次回5月のMPCまでいくぶん時間がある事から、市場は英国の経済指標などから、追加利上げの有無を推し量る事になりそうだ。

4月のポンド相場は12日の英3月雇用統計や、13日の英3月消費者物価指数、22日の英4月購買担当者景気指数(PMI)などの結果に一喜一憂しやすい展開が見込まれるため、予想レンジはやや広めにとっておきたい。ベイリー総裁以下、BOEメンバーの発言にも注目が集まりそ うだ。
(予想レンジ:154.500~165.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 3月の推移

3月の豪ドル/円相場は83.099~94.310円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約9.0%の大幅高(豪ドル高・円安)となった。

前月に起きたロシアとウクライナの軍事衝突を受けて原油などのエネルギー価格の上昇が続く中、紛争地から遠い南半球の資源国通貨である豪ドルも上旬から強含みの推移が続いた。中旬には中国が景気のテコ入れ策を講じるとの期待が浮上した事や、豪2月雇用統計の好結果を受けて豪中銀(RBA)の早期利上げ期待が高まった事から一段高となった。さらに、日銀が大規模な金融緩和を維持する姿勢を示した事で円売りが強まる中、下旬にかけても上昇が継続。日銀が「連続指値オペ」を通告した28日には2015年7月以来、約6年8カ月ぶりに94.31円前後まで上値を伸ばした。

月末にかけては、大幅高の反動で調整含みとなったが、90円台後半で下げ 渋った。

豪ドル/円 3月の推移

豪ドル/円 3月の4本値

出所:外為どっとコム

1日
RBAは大方の予想通りに政策金利を0.10%に据え置いた。声明では「ウクライナでの戦争が世界経済の主要な不確実性の 要因となっている」と指摘。「今後、ガソリン価格高騰で豪州の消費者物価指数(CPI)が急上昇する可能性がある」との見解も示した。利上げについては「インフレ率が持続的に2~3%の範囲内に届くまで行わない」「インフレ率は上向いているが、目標範囲内に持続的に収まったと結論付けるには時期尚早だ」とする従来の主張を繰り返した。

2日
豪10-12月期国内総生産(GDP)は前期比+3.4%となり、7-9月期の-1.9%から持ち直したものの、市場予想(+3.5%)には届かなかった。なお、前年比では+4.2%と予想(+4.1%)を上回った。

4日
ウクライナのザポロジエ原発でロシア軍の砲撃による火災が発生したとの報道が伝わると、リスク回避の円買いが強まっ た。ただ、ウクライナ情勢緊迫化を受けて原油等エネルギー価格が上昇する中、資源国通貨の豪ドルにも買いが入った。

11日
ロウRBA総裁は「インフレ率が目標レンジの範囲内に持続的にとどまっていると結論づけることはまだできない」として、利上げ開始までにはまだ時間的な余裕があるとの認識を示しつつ、「資金の借り手は金利上昇に備えるべきだ」と指摘。ロウ総裁の発言は「利上げの地ならし」との見方も出ていた。

15日
RBAは3月理事会の議事録を公表。「豪州のインフレは勢いを増したが、なおも他の多くの国々より低い。だが、ウクライナでの戦争とそれに伴うエネルギー価格上昇によりインフレ見通しにさらなる不確実性が生じている」「理事会は豪国内のインフレに影響するさまざまな要因がどう推移するか注視しながら、忍耐強くある用意ができている」とした。なお、同時に発表された豪10-12月期住宅価格指数は前期比+4.7%と市場予想(+3.5%)を上回った。

16日
中国の劉鶴副首相は「資本市場に好ましい政策措置」を取ると表明。「第1四半期に景気浮揚策を講じる」とも発言した。これを受けて中国上海総合株価指数や香港ハンセン株価指数が大幅に反発。人民元相場も上昇した。こうした中、豪ドル買いが優勢となった。

17日
豪2月雇用統計は、失業率が2008年8月以来13年半ぶりに4.0%へ低下(予想4.1%)し、新規雇用者数が前月比7.74万人増 (予想3.70万人増)となる好結果だった。これを受けて豪ドル/円は2018年2月以来の87円台へと上昇した。その後はいったん反落したものの、RBAの利上げ期待が強まる中で豪ドルの下値は堅かった。

28日
日銀が「連続指値オペ」を通告して長期金利の上昇を抑え込む姿勢を強調すると円売りが活発化。早ければ6月にも利上げに踏み切るとの期待が根強いRBAとの金融政策の方向性の違いが意識された。一時2015年7月以来の高値となる94.31円前後まで豪ドル高・円安が進んだ。

3月の各市場

3月の日経平均、NYダウ平均

3月の上海株、豪10年債利回り

3月の豪ドル/円ポジション動向

3月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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4月の豪州・中国注目イベント

4月の豪州・中国注目のイベント

豪ドル/円 4月の見通し

3月の主要通貨の騰落率を見ると、ロシアルーブル、ブラジルレアル、南アフリカランド、メキシコペソ、豪ドル、と資源国通貨が上位に並んだ(ロシアルーブルについてはウクライナ侵攻への経済制裁に対して当局が介入したことが急騰の背景と見られる)。先進国通貨の中では豪ドルが最強だった。

豪ドルの強みは、
①資源高による交易条件の改善
②豪中銀(RBA)の利上げ期待
③ウクライナから遠く離れた地政学上の優位性
などが挙げられる。

①に関しては、豪州の主要輸出品である鉄鉱石や天然ガスなどの価格が高止まりしている事から、当面は貿易黒字の拡大が続く見込みだ。4月7日に発表される豪2月貿易収支にも注目したい。②に関しては、ロウRBA総裁の利上げに対する発言に微妙な変化が見られる。2月には7月に発表される4-6月期のインフレ率を確認したい(利上げは最短で8月)としていたが、3月の講演では早期の利上げシナリオもあり得るとして6月の利上げ開始を見込む市場観測を否定しなかった。5日のRBA声明にも注目が集まりそうだ。③については、豪州は紛争地の東欧から物理的に距離がある南半球の資源国として評価されている。

ロシアがウクライナに侵攻した2月後半以降、豪ドルはさながら「避難通貨」の様相で買い進まれた。ウクライナ情勢に対する市場の感応度がやや低下しているため、豪ドル相場は3月ほどの伸びは期待しにくいが、堅調地合いは維持する公算が大きいと見る。
(予想レンジ:88.000~96.500円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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