総括
FX「年初来最高値更新、最強通貨、追加利上げ観測あり」南アランド見通し
通貨首位、株価4位
予想レンジ 南アランド円 7.6-8.1
(ポイント)
*コロナ禍でのサプライチェーン問題とウクライナ危機で資源価格が上昇
*南アランドは年初来高値を更新、最強通貨
*2021年4Q・GDPは前期比1.2%増で、3Qの1.7%減からプラスに転じた
*次の焦点は3月23日の消費者物価と24日の政策金利決定
*3月30日に大統領と内閣不信任投票がある予定
*貿易・経常黒字が続く
*南アは棄権、ロシアのウクライナ侵攻を非難決議案
*ズマ前大統領の汚職調査は続いている
*1月CPIは5.7%と12月の5.9%から低下
*小売売上は4か月連続増加
*不安材料は低成長と与党ANCの支持率低下
*インフレは目標圏内に収まっている
*来年は1%のVAT引き上げが予想されている
*財政は改善している
*IMF成長見通し下方修正
*中国景気指標に左右される南ア経済である
(年初来高値を更新)
南アランドは年初来高値を更新した。先週は円安によるところも大きいが、対ドルでも強く、年初来最強通貨だ。コロナ感染禍によるサプライチェーン問題に加え、ウクライナ危機で資源価格が急騰し南アランドを押し上げている。
(21年4Q・GDPは改善)
2021年4Q・GDPは前期比1.2%増で、3Qの1.7%減からプラスに転じた。農業が12.2%増、製造業が2.8%増、小売りが2.9%増となり、プラス成長復帰に寄与した。一方で鉱業は3.1%減、建設は2.2%減、金融は0.8%減だった。2021年通年のGDPは4.9%増で、20年の6.4%減から持ち直した。オミクロン感染者数も激減し、ウクライナ危機からも地理的に遠いことから影響も少なく、今後の景気回復も期待できるだろう。緊縮気味の予算案も格付け会社に評価される。
(次の焦点は)
次の焦点は3月23日の消費者物価と24日の政策金利決定となる。インフレは現在5.7%で目標の3-6%内に収まっているが、中銀はタカ派で、今後の物価上昇も鑑み0.5%の利上げを行うと見られている。
(計画停電)
国営電力会社エスコムは3月9日、計画停電の規模を2倍にすると表明した。老朽化している石炭火力発電所で故障が相次いでいるため。
1日当たり6時間以上、停電が実施されることになる。
(2022/2023年度予算案表、財政赤字の縮小と公的債務の安定化を目指す)
ゴドングワナ財務相は、2022/2023年度予算案を発表。予算案では、財政赤字の削減と公的債務の安定化に重点を置いており、ゴドングワナ財務相は「投資の促進、雇用の創出などを通して、財政の健全化に向けて軌道修正しつつ、経済的弱者に対する政府の支援を拡充する」と述べた。
「今は、増税して景気回復を危うくする時期ではない」と強調し、個人所得税はインフレ分のみの引き上げ、燃料税は据え置きとした。法人税は2023年から、一部条件付きで28%から27%に引き下げられる予定だ。ただし、酒税とたばこ税は前年に続き増税し、4.5~6.5%の引き上げとなった。
(大統領と内閣不信任投票)
3月30日に行われる予定。野党ATMとDAが提出する。理由は大統領が解雇されるべき政府大臣の任務を外部委託したことなど。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ上限上抜く
日足、ボリバン2σ上限上抜く。5日線上向き、20日線を上抜く。3月10日-11日の上昇ラインがサポート。ボリバン3σ上限は7.87。
週足、雲中から一気にボリバン2σ上限へ上昇。2月28日週-3月7日週の上昇ラインがサポート。21年10月18日週-3月7日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、雲の上に上昇。21年10月-22年2月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。
年足、21年はかろうじて陽線。22年も陽線スタート。18年-21年の下降ラインが上値抵抗。20年-21年の上昇ラインがサポート。
喜望峰
ウクライナ問題の調停
ラマポーザ大統領は3月10日、南アがロシアとウクライナの紛争の調停を依頼されたと述べ、ロシアのプーチン大統領に電話し交渉によって解決すべきと伝えたと明らかにした。
ただ、誰が要請したのか、どのように双方と協力する計画なのか、詳細は明らかにしなかった。
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