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FX/為替予想「ウクライナ情勢が激化すると豪ドルが上昇する2つの理由」なっとく 豪ドル見通し 戸田裕大

なっとく豪ドル見通しタイトル

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。豪ドルの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第13回目は「ウクライナ情勢が激化すると豪ドルが上昇する2つの理由」です。

結論から申し上げますと、ウクライナ情勢が激化すると、豪ドルが買われる理由は以下の2点です。

① ユーラシア大陸の地政学リスクが高まり、相対的に安全なオセアニア地域、豪ドルが買われやすくなる。
② 欧米が資源国のロシアに対して制裁を課すことで、資源の流通が滞り、資源価格が高騰し、オーストラリアを含む資源国通貨が買われやすくなる。

順を追ってみていきましょう。

目次

1.豪ドル相場の定点観測
2.地理的に離れていることと資源価格の高騰が豪ドル上昇の要因
3.結局、豪ドルとどのように対峙すればよいか?

1.豪ドル相場の定点観測

まずは現在の豪ドル相場について、かんたんに状況を確認しましょう。

<豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足>
作成時点のAUD/USDレート:0.7403
豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足
前回報告が2月8日で、その作成時点のAUD/USD相場が0.7220でしたので、2週間で183ポイントの豪ドル高が進みました。ウクライナ情勢がますます激しくなる中、金融マーケットではリスクオフの雰囲気が漂っていますが、紛争地域からも離れていて且つ資源国であるオーストラリアの通貨、豪ドルは好んで買われている状況です。

<豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足>
作成時点のAUD/JPYレート:85.08
豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足
前回報告時点のAUD/JPY相場が83.05円でしたので、2週間で2.03円の豪ドル高が進みました。この間、USD/JPYの水準はほぼ変わっていませんので、AUD/USDの上昇に連れて、AUD/JPYも上昇したことになります。

2.地理的に離れていることと資源価格の高騰が豪ドル上昇の要因

さて前回も言及しましたが、なぜかウクライナ情勢が悪化すると、豪ドルが買われています。一見するとリスクオフで豪ドルが売られそうなものですが、実際にはそのような動きは見られていません。

そこで、今回も直近の2週間のデータを振り返ってヒントを得たいと思います。

添付画像は世界196ヶ国を対象に米ドルに対して下落すると赤色、上昇すると緑色に表示するように設計した通貨強弱表です。直近2週間も、ウクライナ周辺の通貨が下落し、オーストラリアやブラジルなど南半球の通貨が上昇していることがわかります。

対ドル通貨強弱


2月4週目の値動き
ユーラシア全域の通貨が売られ、東南アジア、オセアニア通貨が買われた

対ドル通貨強弱


3月1週目の値動き
ユーラシア全域の通貨が売られ、ブラジルを含む南半球の通貨が買われた

冒頭にも申しあげましたが豪ドル上昇の理由は大きく2つあると考えています。

1つは地政学リスクであるウクライナやロシア、欧州から遠く離れていることです。前述の通貨が売られていく中で、豪ドルやNZドルなどオセアニア通貨が相対的に選好されています。

もう1つが資源価格高騰の影響です。この2週間で上昇した豪ドルやブラジルレアルはそれぞれ一次産品の輸出が多い国として知られています。

資源と言うと原油や鉄鉱石と言ったところがぱっとイメージしやすいかも知れませんが、実は飼料や農作物価格も大きく上昇しています

本日はBCOM(ブルームバーグ・コモディティ・インデックス)と呼ばれるコモディティ指標を用いて解説します。以下に添付した画像がBCOMと呼ばれる指標ですが、2022年に入って大きく上昇していることが分かります。

BCOM(ブルームバーグ・コモディティ・インデックス)


BCOMのセクター別ウエート(2022年)は以下の通りです。
エネルギー 29.83%
農産物 29.61%
工業用金属 15.48%
貴金属 19.75%
畜産物 5.34%

農作物と畜産物を合わせて1/3を超えるように設計されているので、ちょうどオーストラリアやブラジルを測るのに良いと考えました。

オーストラリアの輸出は1次産品が2/3を占めています。こちらは先週ご紹介させて頂きました外為どっとコムの動画で解説されています。

参考URL:https://youtu.be/Bh4-0iG9RbQ?t=305&t=0s
5分:05秒~

オーストラリアの財別輸出内訳


またブラジルについては輸出のおおよそ1/2が1次産品です。
※外務省HPより

つまりウクライナにおける紛争が激化し、資源国であるロシアへの制裁が強まる中、資源価格(一次産品)が高騰し、オーストラリアやブラジルなどの資源国通貨が買われる展開ということです

シンプルですが、トレードに活かせそうですよね。

したがって目先は引き続きウクライナ情勢を追っていくことが大切になりますし、状況がさらに悪化するようなら、豪ドルなどロシア以外の資源国通貨が買われる展開になりやすいと思いますので、この点にご留意ください

3.結局、豪ドルとどのように対峙すればよいか?

<AUD/USD 日足>
AUD/USD 日足
AUD/USDは昨年末より0.7000~0.7315でのレンジ相場が継続していましたが、レンジを上にブレイクし、上昇に勢いが出てきました。

目先はウクライナ情勢の緊迫化でオーストラリアを含む南半球の通貨が買われていますから、まずは買いでついていくのが望ましいでしょう。利食いの目安としては昨年9月の高値0.7477あたりや、10月の高値0.7554周辺が検討出来ると思います。

基本的にオーストラリアの経済も堅調ですし、ウクライナ情勢が緊迫化し、EUとロシアの対立が深まれば深まるほどに豪ドルは買われやすくなると思いますので、売りで攻めていく局面ではないと思います。どうしても短期逆張りで入りたい場合にはRSIなどオシレーター系のテクニカル指標をみると良いと思います。

<AUD/JPY日足>
AUD/JPY日足
AUD/JPYについては、前回は押し目買い方針とお伝えしていて、実際に押し目の局面があったと思うのですが、今回はなかなか押し目が形成されづらい状況に見えます。押し目を待つと言うよりは金額を抑えて、買いでついていくのが良いと思います。

利食いや逆張りで入る際の一つの目安として昨年10月の高値86.25を挙げておきたいと思います。ただし、ファンダメンタル的に今回の上昇はさらに力強くなる可能性も十分にあるため、逆張りの際は、リスク管理を徹底した方がよいでしょう

<ウクライナ情勢について>
最後にウクライナ情勢の見通しについてお伝えしたいと思います。

近々3度目の停戦交渉が行われる予定ですが、両者の溝は深く、3度目とは言え、合意形成には至らないと見るのが無難かと思います。そこで、どういうシナリオでウクライナ情勢が落ち着くのか、考えてみます。

1つはウクライナが降伏するか、ロシアが十分と判断する都市や軍事施設を制圧するシナリオです。もっとも時間が長引きそうなシナリオですので、この際にはユーロやロシアルーブルがますます売られ、豪ドルが買われやすくなるかもしれません。

もう1つはアメリカや中国などが停戦交渉に乗り出す場合です。現在までにフランスのマクロン大統領やイスラエルのベネット首相が停戦交渉に動いていますが、なかなか前に進みそうな雰囲気はありません。ですが超大国である中国、またはアメリカが動けば、もしかすると状況は変化するかも知れません。アメリカでも派兵を支持する声が挙がりはじめており、ロシアも警戒しているはずです。2つの大国が落としどころを見つけられるか?注目に値すると思います


本日はここまでとなります。

引き続き、みなさんのお役に立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。

戸田裕大


<参考文献>
豪ドルチャート:外貨ネクストネオ

RBA:Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision
https://www.rba.gov.au/media-releases/2022/mr-22-05.html

Bloomberg Commodity Index 2022 Target Weights Announced
https://www.bloomberg.com/company/press/bloomberg-commodity-index-2022-target-weights-announced/

外務省:ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/brazil/data.html

<用語解説>
RBA:Reserve Bank of Australia、オーストラリアの中央銀行の略称で、中央銀行や、その金融政策決定会合そのものを指すこともあります。

FRB:Federal Reserve Board、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関

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戸田裕大氏レポート

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。
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