総括
FX「リラ特別預金増加も貿易赤字は改善せず小緩む、来週は4Q・GDPの発表」トルコリラ見通し
通貨最下位(11位)、株価首位
予想レンジ トルコリラ/円 8.0-9.0
(ポイント)
*政策金利は14.0%で据え置き
*リラは最弱、株価指数は最強
*リラ特別預金は増加している
*ウクライナ危機での地政学的リスクはある
*次の焦点は2月28日週の21年4QGDP
*エルドアン大統領はウクライナ危機での仲介役を果たしたかった
*フィッチが格下げ
*トルコの経済モデルは為替相場の安定ということでは進んでいる
*主要食品の付加価値税を1%に引き下げ
*1月消費者物価は48%へ上昇
*ただ政府は5月がピークでその後低下を予想
*1月の貿易赤字は拡大
*観光収支は改善し、経常赤字を縮小させている
*JPモルガンは5月にインフレが55%まで上昇するとしている
*野党は早期解散を要求
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
*2021年成長見通しは9%
(リラは最弱、トルコ株価指数は最強)
リラは最弱、トルコ株価指数は最強。高インフレは、リラの為替相場の安定
を通じて抑制する方針でリラ相場は安定していたが、先週から小幅だが弱含んでいる。対円で8.40を割り込んだ。対円で年初来3.78%安で最弱通貨だ。
(リラ特別預金の影響は)
リラ特別預金創設で外貨預金が減少し、リラ預金が増加している。ただリラ相場が安定しても上昇しないのは貿易・経常赤字が続いているからだろう。
また、このままリラ相場が下落すると、政府はリラ特別預金の為替差損を補填することとなり、それは財政の悪化に繋がり、フィッチのような格下げに繋がってくるのだろう。
(ウクライナ・リスクも影響)
ウクライナ危機というトルコの地政学的リスクはある。エルドアン大統領はウクライナ・トルコの首脳会談をアンカラで開催するとしていたが自らのコロナ感染で開催の目途は立っていない。NATO加盟国でありながらロシアからS400ミサイルを購入、ウクライナには軍事用ドローンを売却する微妙な位置にいるこ%からとがメリットとなるかデメリットとなるか。
(政策金利は14%で据え置き)
政策金利は高インフレにも拘わらず14%に据え置かれた。来年には一桁インフレを目指すという。
中銀は「強力な指標がインフレの恒久的な低下を示し、物価の安定という主要な目的を追求して中期的な5%の目標が達成されるまで、リラリゼーション戦略の枠組みの中で利用可能なすべての手段を断固として使用し続ける。一般的な物価水準の安定は、国のリスクプレミアムの低下、通貨代替の逆転と外貨準備の上昇傾向の継続、および資金調達コストの永続的な低下を通じて、マクロ経済の安定と金融の安定を促進する。これは、健全で持続可能な方法で成長し続けるための投資、生産、雇用のための実行可能な基盤を作成する」とした。
(次の焦点はGDP)
次の焦点は2月28日週の21年4QGDP、1月貿易収支、2月製造業PMI 、2月消費者物価となる。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
微妙に安い
日足、微妙に安い。円高のせいもあるが、リラは対ドルでも小安い。12月20日-2月21日の上昇ラインがサポート。12月23日-2月18日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲に入れず。
週足、依然横ばい。12月20日週-2月14日週の下降ラインを上抜く。一方12月20日週-2月14日週の上昇ラインを下抜く。底堅いがまだボリバン下位。
月足、小動きの中、12月に続き1月も陽線。ただまだボリバン2σ下限。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線だが22年1月は陽線となった。2月はまた陰転。18年-20年の下降ラインが上値抵抗
メルハバ
果たせない、ウクライナ危機の仲介役
ウクライナ危機で、エルドアン大統領が両国の仲介に意欲を見せていた。トルコは経済や軍事面で両国と関係が深く、軍事衝突に発展すれば自国への影響は必至。地域の不安定化で国内経済が悪化すれば、自身の支持率低下にもつながりかねない。
ただエルドアン大統領はコロナに感染しリモートワークとなり、仲介の役を果たせなかった。
昨年末の世論調査では、同氏の不支持率が57.2%に達し、支持率38.6%を大きく上回った。経済がさらに悪化すれば国民の反発は必至で、こうした不満の高まりを受け、政権交代を狙う野党は2023年の総選挙と大統領選の前倒しを訴えている。
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