総括
FX「是非はともかく固まってきた金融・為替政策、貿易赤字が弱点」トルコリラ見通し
(通貨7位(5位)、株価3位(首位))
予想レンジ トルコリラ/円 8.0-9.0
(ポイント)
*リラ相場は固定相場、管理相場のように安定している
*政府の経済政策は固まってきた。為替の安定と金融緩和での生産増加
*1月消費者物価は48%へ上昇
*ただ政府は5月がピークでその後低下を予想
*1月の貿易赤字は拡大
*リラ特別預金は拡大
*中銀の22年末のインフレ予想は23.2%
*観光収支は改善し、経常赤字を縮小させている
*大統領はウクライナ緊張緩和のために奔走していたがコロナに感染
*UAEとのスワップ協定締結
*トルコは依然EU加盟の意志あり
*JPモルガンは5月にインフレが55%まで上昇するとしている
*11月経常収支は4か月ぶりに赤字となった
*野党は早期解散を要求
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
*2021年成長見通しは9%
(是非はともかく固まってきた経済政策)
エルドアン大統領の経済政策が遂行されている。リラ相場の安定が最重要とし、為替差損をヘッジする特別預金制度、輸出代金の25%をリラに換える、大きく変動すれば介入で支えるとする。金融は緩和し成長生産を高め観光収入含め経常収支を黒字にする。中国の工場となり欧州へ製品を輸出して貿易収支を改善するなどだ。
(48%台となった1月消費者物価)
1月消費者物価は前年比48.69%上昇で、2002年以来約20年ぶりの大幅な上昇となったが、既にネバティ財務相が「インフレは1月時点で既に50%近いが加速度は今後落ち着いていく。大統領選が予定される23年半ばまでには1桁に減速する」と発言していたので市場の反応は小さかった。
1月の貿易赤字が前年比3倍になる観測や1月製造PMI悪化もあり不安は残る。
ウクライナ・ロシアの緊張を緩和するために奔走していたエルドアン大統領だがコロナ感染者となり、ウクライナ・ロシア首脳会談への期待は少し遠のいた。来週は政策金利の決定があり、今の所、14%で据え置き予想となっている。
(エルドアン大統領夫妻コロナ感染。プーチン大統領の訪問遅れるか)
エルドアン大統領は、先週、ウクライナを訪問し経済協定締結、ゼレンスキー大統領との会談を終えた。今週はそれを踏まえてアンカラでプーチン大統領との会談が予定されていたが、延期となる。
(リラ特別預金は増加)
リラ相場を安定させるための為替差損ヘッジ付きのリラ預金残高は漸く増加してきた。また外貨預金は減少。リラ相場安定に貢献している。
(1月貿易赤字、前年比241%も急増)
1月貿易収支は104億4000万ドルの赤字で、赤字額は前年比240.7%も増加した。エネルギー輸入が前年から4倍近く膨らんだことが響いた。
1月の輸出は17.3%増の175億9000万ドルで、鉄鉱石と鉄鋼製品がけん引した。一方輸入は55.2%増の280億3000万ドル。エネルギー輸入が消費増加と世界的なエネルギー価格高騰を受けて、前年の26億ドルから90億ドルに拡大した。
トルコは国内で消費するエネルギーの輸入をロシア、アゼルバイジャン、イランにほぼ全面的に依存している。ただ1月はイランからの天然ガス供給が技術的要因によって減少し、電力不足や工業地帯向けガス供給の下振れにつながった。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
固定相場、管理相場のようだ。ボリバンも狭い
日足、依然 固定相場のような動きが続く。ボリバンも狭い。管理相場みたいなのでトレンドが出ない。細かく言えば2月2日-3日の下降ラインを上抜く。1月27日-2月3日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足、依然横ばい。12月27日週-1月31日週の下降ラインを上抜く。1月17日週-31日週の上昇ラインがサポート。底堅いがまだボリバン下位。
月足、小動きの中、12月に続き1月も陽線。ただまだボリバン2σ下限。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線だが22年1月は陽線となった。2月はまた陰転。18年-20年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
中国・ロシアからの輸入急増
政治・経済でもトルコは中国との結びつきを深めている。グラフは2021年の中国からの輸入であり約16%増、対ロシアは20%増だ。中国から生産財を輸入しトルコで加工し欧州へ輸出する狙いがあるが、果たして上手くいくか。
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