総括
FX「政策金利引き上げも成長見通し弱く、年初来最強のランドは下落基調」南アランド見通し
通貨首位、株価5位
予想レンジ 南アランド円 7.1-7.6
(ポイント)
*政策金利は4%へ引き上げられた
*株・為替ともに年初来の勢いを失ってきた
*それでも為替は年初来最強
*IMF成長見通し下方修正
*今週は12月貿易収支、1月アブサ製造業PMI、マークイト製造業PMIなどの発表あり
*オミクロン感染者数は急減も依然2千から3千人の新規感染者あり
*南ア産出の資源価格が高い
*懸念は電力不足、与党の支持率低下、ズマ前大統領の汚職裁判に反発が起きていること、土地収用問題など
*経常・貿易黒字は維持している
*中国景気指標に左右される南ア経済である
(為替、株ともに年初の勢いを失う)
先週は最弱通貨(1.86%安)であったが、年初来ではまだ最強通貨(2.35%高)だ。ただ1月の上昇基調は崩れてきた。南ア全株価指数も先週は3.57%安で年初来ではマイナス圏(0.35%)へ落ち込んだ
(政策金利は引き上げも、全員一致ではない)
南ア中銀は政策金利を0.25%引き上げ、4.0%とした。インフレリスクに対処するため。利上げは昨年11月に続き2会合連続。利上げは4対1で決定した。1人は据え置きを提案した。
中銀は「予想されるインフレの動向と上方リスクを考慮すると、インフレ期待を十分に固定し将来の金利の動きを緩やかにするためには、レポレートの段階的な引き上げで十分だと考えている。0.25%以上の利上げについては議論しなかった。11月から現在までに行った決定は慎重なものであり、新たなインフレリスクに対処すると同時に、家計と企業への支援を継続するものだと考えている」と述べた。2022年の消費者物価の上昇率を4.9%と予想。11月時点の4.3%から引き上げた。中銀はインフレ率が6%を超えることは想定していない。声明では、食料品や燃料、電気料金を起因とするインフレリスクを指摘した。また、世界の金利が現在の予測より早く上昇することもリスクとして挙げた。12月インフレは5.9%だったので中銀は今後のインフレの低下を見込んでいるのだろうか。それもランドが先週弱含んだ要因だ。
(IMF成長見通し下方修正)
またIMFは、2021年の下半期の成長が予想を下回ったことと、企業のセンチメントや投資の見通しが弱かったことを背景に、2022年の成長予測を1.9%へ10月の予測2.2%から引き下げた。2023年にはさらに1.4%に減速すると予想している。
(地方選挙惨敗とANC)
2021年の地方選挙におけるANCの不振は、国の成長と財政軌道の両方に影響を与える可能性がある。一部の政治評論家は、与党が亡命した有権者を取り戻そうとするため、結果がよりポピュリストな政策の導入を誘惑する可能性があると警告している。
また2022年12月のANCの党首選挙も焦点となる。
(今週の焦点)
12月貿易収支、1月アブサ製造業PMI、マークイト製造業PMIなどである
(オミクロン感染者数)
オミクロン株を最初に発見した南アだが欧米に比べピークからの
感染者減少も速かったが、依然2千から4千人の新規感染者は発生している
テクニカル分析(ランド/円)
5日線下向き雲中へ下落
日足、ボリバン中位割り込む。1月24日-25日の上昇ラインを下抜き雲中へ下落。1月27日-28日の下降ラインが上値抵抗。1月3日-28日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足、一時ボリバン中位越えるも、また中位へ下落。1月3日週-24日週の上昇ラインがサポート。10月18日週-1月24日週の下降ラインが上値抵抗。雲中。
月足、10月の長い上ヒゲから弱いがボリバン中位で反発。21年11月-12月の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。11月-12月の上昇ラインがサポート。21年6月-10月の下降ラインが上値抵抗。
年足、21年はかろうじて陽線。22年も陽線スタート。18年-21年の下降ラインが上値抵抗。20年-21年の上昇ラインがサポート。
喜望峰
南アのリスク
一度、南アに旅行しようと思って、南ア政府観光局に治安状況を尋ねたら、観光ツアーに乗っている限り大丈夫という返事があった。ただ道路向こうのレストランに行くときは必ずタクシーを使って下さいと言われたことがあった。
南アにある日本大使館のリポートを読むと、時々危険なお知らせがある。
① 邦人が、ヨハネスブルグ・イロボ地区の飲食店前路上にてUberの到着を待っていたところ、スマートフォンをひったくられる盗難被害にあった。スマートフォンを見える形で携行しないなどの安全対策が必要である。
②邦人2名が、ダーバン・グレイビル地区にて交通渋滞により停車中、4人組の男が車に近づいてき、車の窓ガラスを破壊、割れ窓からロックを解錠して後部座席に乗り込み、助手席足下にあった鞄を奪おうしたが邦人が防御、同時に別の男が運転席側からスマホを奪うという強盗(スマッシュアンドグラブ)被害にあった。邦人は、割れたガラス片で指をそれぞれ負傷(軽傷)。
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