総括
FX「トルコ中銀からのリラ相場について回答あり。次の焦点は1月消費者物価。予想は40.7%」トルコリラ見通し
(通貨6位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円 8.0-9.0
(ポイント)
*トルコ中銀から為替相場についての回答があり
*政策金利は予想通り据え置かれた
*次の焦点は1月消費者物価で予想は40%
*UAEとのスワップ協定締結
*最近の為替相場の安定で大統領支持率2ポイント上昇
*ウクライナ問題についてはトルコは仲介しようとしている
*リラは下げ止まっている
*株価はウクライナリスクで1月24日は急落
*長期金利は高値から2%低下
*トルコはEU加盟の意志あり
*財務相は一桁インフレの見通しを協調
*JPモルガンは5月にインフレが55%まで上昇するとしている
*外貨準備は介入で減少
*介入、特別預金、金からリラへの転換要請、輸出業者へリラ買い要請も効果が出ていない
*11月経常収支は4か月ぶりに赤字となった
*野党は早期解散を要求
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
*トルコは外貨預金残高が国内リラ預金を上回る
*2021年成長見通しは9%
(為替相場についてトルコ中銀からの回答あり)
トルコ中銀にリラ相場について、また協調介入について尋ねたところ回答がありました。G7、G20の為替政策に基づいたものでした。回答は以下の通りです。ただトルコ国民に対して特別預金の創設などでインフレヘッジをしたが、長期的に投資している日本などの海外投資家の為替差損についてどう思うかには、まだ回答がありません。尚、回答者の氏名は伏せさせて頂きます。
「変動相場制では、需給バランスに応じて為替レートが決定されます。 CBRTには、名目為替レートまたは実質為替レートの目標はありません。外国為替の需給を決定する主な要因は、金融政策と財政政策、経常収支と資本収支、そして経済的信頼感と期待です。一方、外国為替市場が適切に機能するためには、外国為替の需給動向を綿密にフォローし、為替レートの変動が大きすぎる場合は、CBRTが売買の方向に介入する可能性があります」
(リラは落ち着き、株価は上昇幅縮小)
12月の乱高下を終えて、1月は対円で8.40-50を中心に小動きとなっている。今年のリラは12通貨中6位で落ち着いた動きとなっている。昨日の安値は8.358、高値は8.517。現在8.45。一方、イスタンブール株価指数は、トルコがウクライナに近いこともあって昨日は5.02%下落、年初来2.83%高と上昇幅を大きく縮小した。
(政策金利は据え置き。次の焦点は)
トルコ中銀は予想通り1月20日の政策決定会合で、政策金利を14%に据え置いた。リラ急落を引き起こし、昨年末にインフレ率を19年ぶりの高水準に押し上げた異例かつ大幅な緩和サイクルを停止した。
中銀は12月の政策決定会合で、利下げの一時停止を示唆。1Qに利下げの影響を監視するとしていたが、この日の声明ではその期間が削除され利下げ再開時期が遠のいたとの見方を示した。ただ大統領は依然、利下げの可能性を示唆している。1月消費者物価は2月3日に発表され、現在の予想は40.7%なっている。先ずは数字よりも市場の信頼感を取り戻すことがリラの安定となる。
(トルコ、ウクライナ巡る緊張緩和に関与へ 首脳会談提案も)
トルコ外交筋は1月20日、同国が昨年11月にロシアとウクライナを巡る緊張緩和に関与する考えを表明したことについて、両国が前向きだという考えを示した。
また、欧米やロシアなどでつくるOSCE(欧州安保協力機構)ミンスク・グループの会合開催についても協議しており、ウクライナ東部ドンバス地域について議論される予定だと明かした。
イスタンブールで予定される会合の日程は決まっていないが、ロシアやウクライナ、OSCEミンスクグループ、ドンバスの代表者が参加する見通しで、会合は「頻繁に」開かれる計画だという。
一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、こうした会議が準備されていないとロシア通信に述べた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは、ロシアとウクライナ双方と良好な関係を築いているが、シリアとリビアにおけるロシアの政策、2014年のロシアによるクリミア併合には反対している。エルドアン大統領は、2月にウクライナを訪問する考えを示し、「この地域で戦争が起きるという考えは、両国に関係を持つ国としてトルコへの動揺につながる。われわれの願いは、プーチン大統領とゼレンスキー大統領をできるだけ早く引き合わせることだ」と述べた。
(数々のリラ防衛策は)
介入、インフレヘッジ付きリラ特別預金、輸出業者は輸出代金の25%をリラに換えること、スワップ協定の強化など、次から次へと手を打ってくるので、投機筋も売りから攻めることは出来ない。かといって政策の効果が出ているわけでもないので上昇もしない。3か月続いた経常黒字も維持できず需給的には不安が残る。リラを安定させるためのインフレヘッジ付き預金も国内預金からのシフトはあるものの、外貨預金からのシフトは目立って見られない。
(トルコ、UAEと通貨スワップ協定締結)
トルコは1月19日、アラブ首長国連邦(UAE)と640億リラ分の通貨スワップ協定を結んだと発表した。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
8.40-50で膠着
日足、 昨年末から動きが鈍い。8.40-50近辺で推移。ボリバン中位以下、雲中。5日線下向く。12月20日-1月24日の上昇ラインがサポート。1月13日-20日の下降ラインが上値抵抗。
週足、12月27日週-1月17日週の下降ラインを上抜く。一方、12月20日週-1月17日週の下降ラインを下抜く。3週連続で8.40近辺で揉みあう。ボリバン下位。
月足、12月は波乱相場ながら4か月ぶり陽線。ただまだボリバン2σ下限以下。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線。21年は僅かながらも陽線スタート。18年-20年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
トルコ金融政策の見通し、大手金融機関の見方分かれる
トルコ中銀の今後の金融政策の見通しについて、大手金融機関の見方が分かれている。JPモルガンは年内の金利据え置きを予想。ゴールドマン・サックスは2Qの利上げを予測している。
JPモルガンは、当局がインフレ高進でも方針を変えないだろうと予測。数カ月以内に金融が引き締められる可能性は非常に低いとの見方を示した。
一方、ゴールドマン・サックスは、実質金利が大幅なマイナスであり、現在のポリシーミックスは維持できないと指摘。リラが一段の圧力に見舞われるとの見方を示した。このため、金融政策を180度転換して利上げに踏み切ると引き続き予想している、とした。
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