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FX/為替「投資のゴールを定めるメリット」雨夜恒一郎 氏 FX特別インタビュー(後編)

投資のゴールを定めるメリット

以下の取材記事は個人の経験や考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。

全3回にわたり、2021年まで毎週火曜日に定期動画投稿をご担当いただいた、「マーケットの語り部」こと為替アナリストの雨夜恒一郎氏にインタビューいたしました。最終回となる今回は、これまでの相場で儲かった局面や失敗した局面、そして個人投資家に向けたメッセージについてもお話いただきました。

▼目次

1.これまでの相場で儲かった局面や失敗した局面について
2.個人投資家に向けたメッセージ

1.これまでの相場で儲かった、失敗した局面

編集部
編集部:
これまでで、一番利益を伸ばせた相場、逆にイマイチだった相場を教えてください
雨夜氏
雨夜:
2006年当時、豪ドルやNZドルを買って円を売る「円キャリートレード」が流行っていました。FX会社もそれで大きくなったと思います。当時は損切りしなくても変動利益やスワップポイントで利益が積みあがった。実は私も、結構な額のポジションを持っていて、損切り注文を入れずにいました。
編集部
編集部:
そうなんですね
雨夜氏
雨夜:
そうこうしているうちに、パリバ・ショック(2007年8月)やリーマン・ショック(2008年9月)が起き、かなり利益が積みあがっていましたが、その半分以上を失い、過去最大の損失となりました。・・・金額は、スポーツカー数台買えるくらいです。
編集部
編集部:
ひえっ
雨夜氏
雨夜:
当時を振り返ると、リーマンブラザーズが破綻するようなショックは起きない、と楽観的なところがあったと思います。しかし実際に相場が大きく下落すると、大きなポジションを持っているので「ここで損切りしたら利益がなくなってしまう」と感じました。金利の魔力は恐ろしいと思いましたね。個人投資家が金利差収入をあてに生活すると、どうしてもポジションを切れなくなる。
当時グローバルソブリンファンド(グロソブ)を多くの個人投資家が買っていて、私も大きな額を買っていました。毎月配当が入り、月10万円にもなりました。すると、「これで生活できる」と考える。お金を工面して、1億円分くらい買おうかとも思いました。しかし、元本がどんどん減っていくタコ足配当でした。
個人投資家になって初めて思ったのは、「フリーランチ」はないということです。世の中ほとんどがロングだと初めに言いました。ショートにするとスワップポイントの支払いになる場合、ネガティブキャリーになるので、普通はロングでポジションを作ります。新興国通貨をショートすれば利益が出ると思っても、なかなかできない。みんなキャリートレードの魔力に負けちゃう。トルコリラを売り続けたら儲かったと思いますが、買って損している方も多い。ですので、「フリーランチ」はないものと思って投資をしないと見誤ると思います。グロソブは、いい教訓になりました。
編集部
編集部:
言葉の重みが違います・・・。
雨夜氏
雨夜:
純粋に相場を見るのであれば、配当やキャリーを無視しないといけません。むしろキャリーを払ってくれるポジションは、みんなトレードしているのでロングの相場に他ならない。ロングしかいないのであれば暴落するリスクが高い、と考えなければいけません。
編集部
編集部:
暴落は、マーケットの構造上、不可避なんですね。よくわかりました。
雨夜氏
雨夜:
ちょっと話は変わりますが、暴落したときのトレードについてお伝えしたいです。要は「下がったときに買わないでいつ買うの」ということです。
編集部
編集部:
なるほど。基本相場はロングだから、いずれ他の投資家が買い始める、ということですか?
雨夜氏
雨夜:
暴落したときに買ったポジションが、いずれ大台まで持ち直すこともあります。暴落時に買ったポジションが私の資産を増やすのに効いている。CFD、インデックス投信など、確かなものでないとダメですけど。もちろん、暴落してそのまま・・・という金融商品もあります。

ここ2年は米株、ビットコインで利益を伸ばしました。基本的に暴落している途中で何回か買い、上がっているときには買わないようにしています。ビットコインは、仕組みを完全には理解していないですし資産として信用もしていないですが、時代が変わるんだなと感じて投資対象にしました。中央銀行の権威ではなく分散が始まったと感じたので。
あと、新型コロナの世界的な蔓延で、市場は一瞬暴落しましたが、その場面で買ったのもよかったです。個別株ではなく、インデックスの買いを行った。こういう時こそアメリカが強いと思い、積極的に動きました。
編集部
編集部:
コロナショックで、ドル/円も下落後にドル不足ということで一気に上昇しましたよね。
雨夜氏
雨夜:
為替は株と違い無限大に上がることもないし、ゼロになることもない。その時々の波を見続ける必要があります。なので、仮にFXトレードしなくても情報は毎日とらなきゃならないと思っています。

2.投資しない人はリスクが高いのでは?個人投資家へのメッセージ

編集部
編集部:
ロングインタビューになりました。投資について、あらためてまとめていただければと思います。
雨夜氏
雨夜:
いま私は58歳で、23歳からマーケットに携わっているから、この道35年になります。先ほど(※中編)言いましたが、投資の目標や目的を設定してほしいです。トレードが大好きでなければ、勝ち逃げすることを考えましょう。1円でも利益が出たら十分です。月の前半にプラスに出来たなら月の後半はトレードしなくてもよい、くらいの気持ちで行きましょう。自分の得意な型でトレードすべきです。スキャルピングはマーケットの中で一番特殊なタイムスパンであり、才能のある人が取り組むものです。ファンダメンタルズは大事。もちろんチャートも見ます。ファンダメンタルズや相場の息吹でトレンドを判断して、売買ポイントはチャートで判断するのがよいでしょう。
編集部
編集部:
それでは、投資をまだ始められないひとに、ひとことお願いします。
雨夜氏
雨夜:
誤解を恐れずに言えば、投資していない人って、お金について真剣に考えていないのではないかと思います。金融業界以外の人に、金融用語で話をしても通じない、用語を何も知らない。こんなことだから、お金持ちが怪しげな投資話に簡単に騙されるんだなと思ってしまう。
昔は原野商法や和牛商法などあって、驚くような利回りが出るわけがないのに簡単に何十億円と集めていました。
まず、「フリーランチはない」というのが大前提である。そこをわかっていれば投資詐欺に遭わないはずだと感じます。
編集部
編集部:
金融リテラシーを高めるのは、生きていくうえでの課題ですね。
雨夜氏
雨夜:
節約して生きるのも一つの考えです。断捨離でお金が貯まるかもしれないです。しかし、老後になって突然預金封鎖になったり、デノミレーションやハイパーインフレが来るというリスクには全く無防備ですよね。投資しない人、金融を理解しようとしない人、あえて遠ざけている人は、むしろリスクが高いと思います。日本円だけ、定期預金だけの人のリスクは結構高いと思います。投資を始めれば自然と金融リテラシーが身につくし、損をすればマーケットに対して謙虚であるべきだと理解できる。私の子供には、ひと月に1,000円でもよいので投資をすればと言っています。
積立で運用していると無意識のうちに貯まっているものです。毎月少額でよいので余剰資金で買ってみる。そんな考えを若いうちから持っていたら、苦労しなくてもしっかり資産が増えると思いました。
編集部
編集部:
時間を味方につけるという発想でしょうか。
雨夜氏
雨夜:
仮に、日本が財政破綻して、日本円が暴落したらタダで済まないです。外貨建て資産を持っていればある程度カバーできるし、暗号資産やゴールド(金)も役に立つでしょう。余剰資金で行っているので、今いくらになっているかはあまり考えない。そんな資産が、この1年で1.5倍くらいになったりしています。
編集部
編集部:
様々な金言を頂きました。本日は長時間、ありがとうございました。
雨夜氏
雨夜:
ありがとうございました。

PickUp編集部より

後編では、これまでの相場で印象深かった局面について伺ったほか、個人投資家へのメッセージとして「投資を行うことのメリットや必要性」についてもお話をいただきました。3回にわたるロングインタビューを最後までご覧いただき、ありがとうございました。皆様の投資のお役に立てれば幸いです。

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media.gaitame.com

amaya_96_130.jpg 雨夜恒一郎 氏
為替アナリスト スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。
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