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FX「米国雇用統計の予想と戦略 2022年1月号」By 外為どっとコム総研

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更新日時:2022年01月07日 23時00分
執筆日時:2022年01月05日 13時00分
執筆者:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

1.はじめに
2.前回のおさらい
3.今回の見どころ
4.今回の戦略

1.はじめに

2022年1月7日(金)、日本時間22時30分に米国で12月雇用統計が発表されます。FRBが今年の利上げ回数見通しを大幅に引き上げ、政策転換したことが明らかとなっているため、今回の結果を過去のものとして切り捨てることは可能でしょう。しかし、利上げ開始時期を巡って未だ市場のコンセンサスは固まっておらず、今回の雇用統計がそうした部分にヒントを提示することも予想されるため警戒は怠れません。

2.前回のおさらい

昨年12月3日、米労働省が発表した11月の非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の55.0万人増を大きく下回る21.0万人増と、2020年12月以降で最も低い伸びとなりました。筆者も45-65万人増を見込んでいたため見立ては外れました。特に自動車、小売業、教職員の不調がヘッドラインの数字を引き下げました。かたや、失業率は4.2%と1年9カ月ぶりの低水準へ改善、さらに労働参加率は10月の61.6%から61.8%へ上昇するなど、全体的にはまだら模様の中にも労働市場の引き締まりを示唆する結果もありました。

想定外に低いNFPを受けたドル/円ですが、113.30円付近から瞬間112.98円近辺まで下押し後に113.61円前後へ切り返したものの、その後は米長期金利が1.34%へ低下するのにあわせて112.56円までレンジ下限を広げる格好になりました。株式市場はハイテク株中心に下落。一時370ドル超下落したダウ工業株30種平均は引けにかけて買い戻され、終値は前日比59.71ドル安い3万4580.08ドルでした。 もっとも、市場は雇用時計の結果よりも、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を巡る懸念への意識が高かったようです。

 

図表1.分野別新規雇用者数(千人) 

産業別 Nov-20 Sep-21 Oct-21 Nov-21
全体 264 379 546 210
製造分野 68 65 94 60
鉱業・林業 3 1 3 -2
建設業 24 35 43 31
製造 41 29 48 31
非製造業分野 291 359 534 175
倉庫 14.8 9.9 12.5 8.0
小売 -2.1 39.1 37.8 -20.4
運輸 123.6 63.4 59.8 49.7
公益(電気・ガス・水道) -0.6 -0.3 0.1 -0.4
情報 0 4 11 -2
金融・保険 10 12 26 13
専門・企業向け 95 111 121 90
医療・教育 43 16 59 4
レジャー・娯楽 10 108 170 23
その他のサービス -3 -4 36 10
政府分野 -95 -45 -82 -25

出所:米国労働省

結果を受けてドル/円は114.02円レベルまで上伸したが、前日のNY高値114.28円越えに失敗すると、113.30円レベルまで押し戻されて週の取引を終えました。金利市場は長短金利差が縮小。雇用統計を受けて早期引き締めが意識され債券は瞬間下落(金利は上昇)しましたが、テクニカルな要因から長期債中心に上昇(金利は低下)するなど、不安定な動きに。短期的にはより積極的に緩和策の巻き戻しの進展余地が示された様子でした。かたや米国株式市場では、ダウ工業株30種平均は景気回復への期待が広がり史上最高値を更新。ダウ平均は203.72p高い、36327.95ドルで終了しました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き

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出所:外為どっとコム「ネオチャート

3.今回の見どころ

テーパリング(段階的な資産購入額の圧縮)加速が決まり、「来年3回利上げ」が市場のコンセンサスとなるなかで、雇用統計への興味はやや低下しつつあります。しかし、利上げ開始時期を巡ってはまだ流動的ですので、同統計を完全に無視するのも危険と考えます。 新規失業保険申請件数は低水準をキープしており、雇用市場が悪化している様子は感じられません。また、足もと雇用の拡大ペース鈍化が懸念される状況ですが、俯瞰してみると今年の4-6月期にはコロナ前の水準へ戻すといった従来のペースは維持しており、雇用市場はなおも売り手市場であることは間違いなさそうです。

前月は夏場の増加から楽観的な数字(50-60万人)を予想した筆者の見方は修正する必要はありますが、それでも数十万人規模の雇用増は見込めるのではないでしょうか。ただし、足もと予想とのかい離が広がりやすい環境のようで、上振れ材料、下振れ材料もみておく必要はあります。先ずは上振れ材料ですが、2020年12月のNFPが14.0万人減だったため、季節調整の数字が低めに誘導されている点です。つまり低い数字には反応しづらくなっていますので、ヘッドラインの数字が強めに出る危険があります。かたや下振れ材料ですが、「オミクロン株」の流行で職探しをあきらめた失業者がいそうなほか、企業が採用を先送りしたケースが考えられることです。とはいえ、先日発表されたISM製造業景況指数の雇用の底堅さを見ればトレンド変化はなく、NFP単独では利上げ時期の判断材料としては力不足かもしれません。

図表3.米国の労働者数

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データ:米労働省、作成:外為どっとコム総研

では、利上げ時期を巡る市場の思惑に影響を与える材料は何かといえば、それは時間給の動向ではないでしょうか。原油価格の上昇が一服し、若干ながら物価の上昇圧力は緩和していますが、供給混乱や人手不足による物価押し上げは続いています。時給の上昇ペース再加速ともなれば、物価押し上げへの影響が米金融当局の早期利上げ志向を高め、市場が3月利上を織り込みだす危険はありそうです。そのため、今回の雇用統計はNFPよりも賃金の変化に軸足を置きたいと考えます。NFPは20-30万人程度を軸に時間給が前月比で0.5-0.6%へ加速すれば、早期利上げ期待からドル高(※パターンA)。0.3-0.4%と前月並みにとどまればドルはもみ合い(※パターンB)、0.0-0.2%と横ばい推移ならドルは小幅安(※パターンC)の展開を予想します。はたしてどうか。

 

☆想定するシナリオ

パターン 時間給(前月比) 想定される値動き
0.5-0.6% 3月利上げ開始でドル高
0.3-0.4% 6月利上げ開始で、ドルもみ合い
0.0-0.2% 利上げ後ろ倒し観測で、ドル安

 

図表4.[雇用統計の実績と予想]

年月

非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 実績値 修正値 予想値 実績値 修正値
2021年  12月 40.0 19.9   4.1 3.9  
2021年  11月 55.0 21.0 24.9 4.5 4.2
2021年  10月 45.0 53.1 54.6 4.7 4.6
2021年  9月 50.0 19.4 31.2 5.1 4.8
2021年  8月 75 23.5 36.6 5.2 5.2
2021年  7月 87 94.3 105.3 5.7 5.4

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 実績値 実績値
2021年  12月 0.4 0.6 61.9
2021年  11月 0.4 0.3 61.8
2021年  10月 0.4 0.6 61.6
2021年  9月 0.3 0.6 61.7
2021年  8月 0.3 0.4 61.7
2021年  7月 0.4 0.3 61.6

 

◇関連の経済データ実績

年月 ADP雇用統計(万人)
予想値 実績値 修正値
2021年  12月 40.0 80.7  
2021年  11月 52.5 53.4 50.5
2021年  10月 40.0 57.1 57.0
2021年  9月 43.0 56.8 52.3
2021年  8月 63.8 37.4 34.0
2021年  7月 68.3 33 32.6


出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

4.今回の戦略

押し目買いスタンス堅持か

ドル円は、日足、週足、月足ベースの一目均衡表がそれぞれ三役好転となっており、トレンドは非常に強い状況で下手に立ち向かうのは危険です。まだ、直近高値の115.516円(2021年11月24日)を越え、ボリンジャーバンドが再び拡大期に突入したため、しばらくは底堅さを維持するでしょう。115.516円を抜け短期的には目立った抵抗帯が見あたらず、115.516から112.533円(2021年11月30日)の下落幅の倍返しとなる118.499円を目指す展開も期待出来そうです。
このセッションでは買いスタンスで臨むべきでしょう。直近高値の115.516円割れからの115.00円付近の底堅さを確認後に115.20-30円付近の押し目買いを狙いたいところです。ただ、115円を割るようなら、115円前半で買ったポジションは早めに調整して、114円半ば付近の押し目買いへ頭を切り替えたい。

図表5.ドル/円チャート-日足

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出所:外為どっとコム「ネオチャート

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