【豪ドル】短期は上昇継続を想定、中期はインフレ次第「なっとく 豪ドル見通し」戸田裕大

なっとく豪ドル見通しタイトル

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。またオーストラリアと中国の関係、豪ドルと人民元の関係についても折を見て触れていきたいと考えています。豪ドルの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

なおこれまで毎月1回の寄稿でしたが、今後しばらくは毎月2回(隔週)の寄稿へと切り替わります。さらにみなさまのお役に立つ「豪ドル情報」をご提供できるよう努めてまいります。

第8回目は「【豪ドル】短期は上昇継続を想定、中期はインフレ次第」です。

目次

1.現在の豪ドル相場の確認
2.金利のアプローチ
3.今後の注目材料
4.相場の見通し

1.現在の豪ドル相場の確認

まずは現在の豪ドル相場を確認していきましょう。

<豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足>
作成時点のAUD/USDレート:0.7226

豪ドル/米ドル(AUD/USD)チャート、日足


前回のご報告が12月14日で、その時点のAUD/USD相場が0.7171でしたので、2週間でおおよそ55ポイント上昇したことになります。年末ですので大きな動きには繋がっていませんが、12月16日に発表された11月のオーストラリア雇用統計も強い結果となり、底堅い展開が続いています。

<豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足>
作成時点のAUD/JPYレート:82.78

豪ドル/日本円(AUD/JPY)チャート、日足


前回報告が81.44ですのでAUD/JPYは2週間で1.34円上昇したことになります。これはAUD/USDが底堅い展開となったことに加えて、オミクロン株に対するワクチンの有効性が示され、全体的にリスクオン地合いになったことでドル/円が上昇したことも影響しています。

2.金利のアプローチ

個人的に注目しているのが豪10年債利回りと、米10年債利回りの差です。以下にチャートを添付しました。

豪米10年債利回り

現在は豪10年債の利回りが、米10年債利回りより10bps(0.10%)高いのですが、黄色に囲んでいる箇所はその逆の現象が発生していました。そしてその間にAUD/JPYは77.89の年初来安値を記録しています。

ですから豪10年債に着目し、利回りが伸びていること、米10年債利回りとの差が拡大していることが確認できるとAUD/JPYの買いがワークしやすいと思います。長期金利(10年債利回り)はその国の経済成長予測とも関係しますので、豪10年債利回りが上昇していれば、素直に豪州経済に持ち直しの動きが見られていると捉えて良いと思います。このように考えると、すっとAUD/JPYを買っていくことが出来ると思います。

3.今後の注目材料

今後の注目材料をお伝えします。

まず1点目は、オーストラリアは年明け4日が祝日明けとなります。4日以降に動意付く可能性が高いので、この点は押さえておきましょう。

2点目は1月20日(木)に発表予定の12月オーストラリア雇用統計です。11月の雇用統計は新規雇用者数増減が+36.61万人、失業率が6ポイント改善の4.6%と非常に強い結果となりました。12月も強い数値となれば、早期テーパリングの完了、利上げに動く可能性も高まるものと思われます。

3点目は1月25日(火)に発表予定の10~12月期消費者物価指数です。直近は前年同月比で3.0%の上昇率を記録していますが、今回さらに消費者物価が上昇してくれば、強い雇用環境と合わせて、金融当局が早期に動いてくる可能性が高まります。

なお、次回のRBA金融政策決定会合は2月1日を予定しています。雇用、物価ともに強い結果となれば、非常に注目度の高い会合となるはずです。

4.相場の見通し

AUD/USDについて目先は0.72、それから0.71台ミドルを維持出来れば上を目指す展開になると考えています。

AUD/USD 日足

背景には前述の通りオーストラリアの強い雇用環境と、それを受けた早期の緩和縮小、ならびに利上げ観測が挙げられます。しかもAUD/USDが一時0.69台を記録するなどここまでかなり売られてきたことから割安感も感じられます。

ポイントはインフレが高まるかどうかです。直近は3%ですので、RBAはこの程度のインフレならむしろ緩和的な環境を長く続けたいと思っています。長く金融緩和が続きそうな場合は、金融引き締めに転じ掛けている米ドルとのコントラストは明確で、豪ドルの買いも長くは続かないと思います。そう言う意味で、今後はオーストラリアのインフレには要注目と言えます。

AUD/JPYについては、リスクオン地合いの中で少なくとも短期的には買いから入っていきたいと考えています。

AUD/JPY 日足

執筆段階で83円手前の水準ですが、83円台がしっかり定着してくれば、リスクオンの地合いにも支えられて短期的に上昇していく展開を想定しています。そのため、まずは現在のリスクオン地合いがどこまで続くかがポイントと言えます。

もう一点はやはりAUD/USDの動きです。それはつまりオーストラリアのインフレが上がってくるかどうかに掛かっていると思うので、基本に忠実に雇用統計や物価指数を追っていくべきでしょう。


本日はここまでとなります。

引き続き、みなさんのお役に立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。

戸田裕大


<参考文献・ご留意事項>
The Sydney Morning Herald:The race to end the pandemic
https://www.smh.com.au/national/covid-19-global-vaccine-tracker-and-data-centre-20210128-p56xht.html

各種チャート:
外貨ネクストネオ
Investing.com

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若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
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