目次
▼ドル円は一時113.95円まで反発
▼米FOMCへの思惑が相場を主導か
▼BOE、ECB、中国警戒も忘れずに
▼112.50-114.50円のレンジプレイを予想
▼12/13 週のイベント:
▼一言コメント
120円目指すのはまだ先!?、マジックナンバーは"2"
ドル円は一時113.95円まで反発
コロナ変異種「オミクロン株」を巡り、「一部ワクチンが3回接種で効果がある」と報じられたことで、投資家のリスク回避ムードを薄めたことが支援材料となりました。113円前半で推移していたドル円は、米長期金利の1.5%台回復を横目にみながら、114.00円回復にあと一歩のところまで下値を切り上げました。
米FOMCへの思惑が相場を主導か
投資家を憂鬱にさせていたオミクロン株を巡って、デルタ株の時よりも重篤化は避けられそう、米ファイザー製ワクチンは3回接種でオミクロン株への感染予防を高められるとの調査報告を受けて、投資家の目線は再び米金融当局の動向へ遷移しています。このままコロナウイルスによるネガティブショックがなければ、14-15日の米FOMCでは資産購入額の減速(テーパリング)拡大や早期利上げに対し前向きな議論が活性する期待が持てます。その会合ではテーパリング加速を決定するのかも焦点の一つですが、それ以上に、来年2回の利上げ支持がどこまで広がるかが最重要ポイントでしょう。
具体的には、9月に来年2回利上げを見越していた当局者3名のうち、タカ派のダラス連銀総裁が金融取引を巡りすでに辞任しているため当時のタカ派は実質2名とみられます。今回はこの数字を超えて強気な見通しを示す参加者がどのぐらいになるかが注目です。倍増するようなら、米金利上昇に伴ってドル円は中長期で120円程度まで目線が上がる可能性はあります。もっとも、短期では株・債券・暗号資産などの他のアセット市場に対する調整圧力の高まりで、ドル高期待と同時にリスク回避の円高進行が混在する状態となる危険もあり、油断は禁物です。
FOMC参加者のFF金利見通し
2021 | 2022 | 2023 | ||||
レンジ | 6月 | 9月 | 6月 | 9月 | 6月 | 9月 |
0.13 - 0.37(据え置き) |
18 | 18 | 11 | 9 | 5 | 1 |
0.38 - 0.62(1回利上げ) |
5 | 6 | 2 | 4 | ||
0.63 - 0.87(2回利上げ) |
2 | 3 | 3 | 3 | ||
0.88 - 1.12 |
3 | 1 | ||||
1.13 - 1.37 |
3 | 6 | ||||
1.38 - 1.62 |
||||||
1.63 - 1.87 |
2 | 3 | ||||
1.88 - 2.12 |
出所:FED
BOE、ECB、中国警戒も忘れずに
そのほか、来週はBOE(イングランド銀行)金融政策委員会、ECB(欧州中央銀行)理事会も開催されます。こちらは米国とは対照的に短期的に混乱気味です。BOEは今月の利上げが約束されていた時期もありましたが、ここにきて後ろ倒しになるとみられ予断を許しません。またECBも、来年4月以降は資産購入額を圧縮する見込みとしながらも、従来の資産購入プログラム(APP)を時限的に拡大する方向と伝わるなど、こちらも直近の思惑に若干の修正が入る格好になっています。
これらの銀行もいずれは金利正常化へ動き出すとみられ長期的な円安圧力は不変と考えますが、局所的なタカ派・ハト派の判断が難しくなっており、思惑が外れればドルの振幅を大きくする可能性もあります。また、中国は不動産業界に対する不透明感や主要国との政治的な対立と、何かと不透明感が残っています。これらの点まで踏まえると、米国の金利先高観だけでドル円を買い進む状況にはないのではないでしょうか。見通しが不鮮明な状況下で、ドル円は中程度に振幅しながらも上値も下値も限定的に留まりそうです。
112.50-114.50円のレンジプレイを予想
ドル円は9月22日安値を起点とするフィボナッチファンの38.2%-50%ラインに挟まれて上下に動きづらい雰囲気です。この上下のラインを抜ければ少し相場が走るかもしれませんが、短期の移動平均線が横ばい状態でトレンドが直ちに形成される様子は見受けられません。そのためレンジブレイクに追随して順張りで超短期取引を手掛けるのもありでしょうが、ここは焦らずに伸びきった点や深押しした場面を丁寧に逆張りで攻めたいと考えます。買いは112.70円付近、売りは114.30円付近からでしょうか。
図表2.ドル/円-日足、テクニカル-ボリンジャーバンド(21)、フィボナッチファン、MACD(12、26、9)-下;出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:
USD/JPY:112.50-114.50
12/13 週のイベント:
12/13(月) 08:50 日本 10-12月期日銀短観
12/13(月) 08:50 日本 10月機械受注
12/14(火) 13:30 日本 10月鉱工業生産・確報値
12/14(火) 13:30 日本 10月設備稼働率
12/14(火) 22:30 米国 11月卸売物価指数(PPI)
12/15(水) 13:30 日本 10月第三次産業活動指数
12/15(水) 22:30 米国 12月ニューヨーク連銀製造業景気指数
12/15(水) 22:30 米国 11月 小売売上高
12/16(木) 04:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
12/16(木) 04:30 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
12/16(木) 06:00 米国 10月対米証券投資
12/16(木) 08:50 日本 11月貿易統計(通関ベース)
12/16(木) 22:30 米国 11月住宅着工件数
12/16(木) 22:30 米国 11月建設許可件数
12/16(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
12/16(木) 22:30 米国 12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
12/16(木) 23:15 米国 11月鉱工業生産
12/16(木) 23:15 米国 11月設備稼働率
12/17(金) 未定 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
12/17(金) 15:30 日本 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
(執筆:小野 直人)
一言コメント:
少しずつ気温が低下して冬の到来を感じる今日この頃ですが、オフィス周辺のイチョウの木は色づいてこそいるものの、まだ8割程度は残っている状態。イチョウの木にしてみれば、まだ晩秋といったところなのかもしれませんね。12月中旬にもかかわらず、こうした風景を見ると地球温暖化が頭をよぎります。
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