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「コロナ変異株出現の影響は?」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年12月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のドル/円ポジション動向
・12月の日・米注目イベント
・ドル/円 12月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のユーロ/円ポジション動向
・12月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 12月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 11月の推移

11月のドル/円相場は112.533~115.516円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.7%下落(ドル安・円高)した。

上旬は米連邦公開市場委員会(FOMC)がハト派姿勢を維持した事などから弱含みで推移。9日には113円台を割り込んで下落する場面もあった。ただ、10日に発表された米10月消費者物価指数が31年ぶりの高い伸びとなった事で米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて想定より早く利上げに動くとの見方が台頭すると反発。中旬は、節目の115.00円を前に伸び悩んだが、パウエルFRB議長の再任が決まった23日に115円の壁を突破し、翌24日には115.52円前後まで上伸して2017年1月以来、約4年10カ月ぶりの高値を付けた。

しかし、25日に南アフリカで新たな新型コロナウイルスの変異株が見つかり、26日には欧州の一部でも感染が確認された事からリスク回避の動きが強まると一気に113.00円前後まで下落。30日には112.53円前後まで下値を切り下げて10月11日以来の安値を付けた。

ドル/円 11月の推移

ドル/円 11月の4本値
出所:外為どっとコム

1日
前日に投開票された本邦衆議院総選挙で与党・自民党が絶対安定多数(261議席)を獲得した事で日本株の上昇期待が強まる中、為替市場では取引開始から円売りが優勢となったた。しかし、10月に付けた年初来高値114.70円前後には届かず失速した。なお、米10月ISM製造業景況指数は60.8と市場予想(60.5)を僅かに上回ったが、前月(61.1)からやや低下した。

3日
FOMCは予想通りに政策金利の据え置きと、テーパリング(量的緩和の段階的な縮小)の開始を決定。声明では、11月後半から、ひと月あたり150億ドルのペースで買い入れを減額する方針を示した。一方で、インフレ高進は「一時的」との判断を維持してハト派姿勢を滲ませた。その後の会見でパウエルFRB議長は、利上げについて「我々は辛抱強くなれると考えている」と発言。その上で「現在は利上げに適した時期とは考えていない。労働市場の一段の回復を目にしたいからだ」と述べた。

5日
米10月雇用統計は、非農業部門雇用者数が53.1万人増と予想(45.0万人増)を上回る伸びとなった。失業率も4.6%と前月から0.2%ポイント低下して予想(4.7%)を下回った。ただ、労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は61.6%にとどまった(予想61.7%、前月61.6%)。平均時給は前月比+0.4%、前年比+4.9%と予想通りの伸び率だった。

10日
米10月消費者物価指数は前年比+6.2%と予想(+5.9%)を上回り、約31年ぶりの高い伸びを記録。食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+4.6%と予想(+4.3%)を上回り伸びが加速した。これを受けて米長期金利が上昇するとドルも強含んだ。

16日
米10月小売売上高は前月比+1.7%と予想(+1.4%)を上回る伸びとなり、自動車を除いた売上高も前月比+1.7%と高い伸びとなった(予想+1.0%)。物価が上昇する中でも米国の消費が着実に伸びた事が示され、ドル買いが優勢となった。その後、米10月鉱工業生産も前月比+1.6%と予想(+0.9%)を上回る好結果となった。

22日
米ホワイトハウスは「パウエル氏を次期FRB議長に再指名、ブレイナード氏は副議長に指名する」と発表。パウエル議長の続投決定を受けてFRBの利上げ期待が高まりドルが上昇した。

24日
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が「これまでの状況が続けば、テーパリングのペース加速を全面的に支持するだろう」と発言。ハト派のデイリー総裁のタカ派発言でドルが上昇した。また、米10月個人消費価格指数(PCEデフレーター)は前年比+5.0%と市場予想(+5.1%)は下回ったが、1990年以来の高い伸びを記録した。

26日
前日終盤に、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が発見された事で世界経済への悪影響が懸念され、世界的に株価が急落。世界保健機関(WHO)は、南アフリカで見つかった新変異株について「懸念すべき変異株」に指定した。円は全面的に上昇しドル/円の下げ幅は2020年3月以来の大きさとなった。

30日
米医薬品モデルナの最高経営責任者(CEO)が、南アフリカで発見された新たな新型コロナ変異株「オミクロン」に対して、既存ワクチンの効果が低いとする見解を示した事が伝わるとリスク回避の円高が進行。112.53円前後まで下落して月初来安値を更新した。パウエルFRB議長が12月のFOMCでテーパリングのペースを加速させる可能性に言及した事で一時持ち直したが、米国株が大幅安となったため上値は重かった。

11月の各市場

11月の米2年、10年債利回り

11月の日経平均、NYダウ平均4本値

11月のドル/円ポジション動向

11月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

12月の日・米注目イベント

12月の日・米注目イベント

ドル/円 12月の見通し

ドル/円の11月の月足は4年10カ月ぶり高値へと上ヒゲを伸ばした陰線引けとなった。上値の重さを彷彿させる足型であり、年内の高値更新に対する黄信号と考えられる。投機筋の円先物に対する売りポジションが高水準にある事から、年末(年度末)に向けて上値では戻り売りが出やすくなりそうだ。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が11月30日の議会証言で、テーパリング(量的緩和の段階的な縮小)の加速を示唆しており、来年6月と見られていたテーパリングの終了時期が数カ月早まる可能性が高まっている点がドルの下値を支えよう。テーパリングの早期終了は、利上げ開始の前倒しに繋がる公算が大きい事から、現時点でドルを手放す根拠は薄いと言わざるを得ない。10月に上抜けるまでレジスタンス(上値抵抗)となっていた112.00円付近はサポート(下値支持)として機能すると見る。

材料面では12月14—15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の注目イベントだろう。声明と同時に発表される政策金利見通しの「ドットチャート」では、早期利上げが示唆される可能性が高い。9月見通しで1.75%としていた政策金利の最高到達点見通しがどこまで引き上げられるかにも注目したい。

12月のドル/円相場は、115.50円台の突破こそ難しいものの、112円台前半の下値は堅いと見ているが、波乱要因は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」だろう。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は 「オミクロン」株について明確な情報を得るには約2週間かかるとの認識を示したとされる。詳細が徐々に明らかになるにつけて金融市場は落ち着きを取り戻すと見ているが、仮に既存ワクチンの有効性が低下するなどの悲観的な報告が相次げば、円売りポジション手仕舞いの動きが加速する可能性もあろう。
(予想レンジ:112.000~115.500円)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円相場は127.487~132.561円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.6%下落(ユーロ安・円高)した。

上旬こそ132.00円を挟んで底堅く推移したものの、中旬以降は下値を切り下げる展開となり、欧州中銀(ECB)のラガルド総裁が議会証言でハト派姿勢を強調した15日には130円台を割り込んだ。19日には、オーストリアが新型コロナの感染再拡大に伴いロックダウン(都市封鎖)を再導入した事で一時127円台に下落。その後も、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対応で利上げを前倒しにするとの観測が高まった一方、ECBは利上げを後ずれさせるとの思惑が広がり、ドル高・ユーロ安が進んだ事からユーロ/円も上値の重い展開が続いた。

29日には、南アフリカで新たに見つかった新型コロナ変異株「オミクロン」に対する懸念が深まり127.49円前後まで下値を拡大。2月18日以来、約9か月半ぶりの安値を付けた。

ユーロ/円 11月の推移

ユーロ/円 11月の4本値
出所:外為どっとコム

1日
ユーロ/ポンドが約3週間ぶりの水準に上昇する中、ユーロ/円は堅調を維持。英仏間の漁業権を巡る対立が対ユーロでポンドの重しになった模様。なお、ジョンソン英首相とマクロン仏大統領は前日、G20首脳会議の合間に両国間の懸案である漁業権について協議したが溝は埋まらなかったと報じられた。

5日
独9月鉱工業生産は、前月比-1.1%と予想(+1.0%)に反して落ち込んだが、8月分は-4.0%から-3.5%へと上方修正された。ユーロ圏9月小売売上高も前月比-0.3%と予想(+0.2%)を下回ったが、8月分は前月比+0.3%から+1.0%に大きく上方修正された。

9日
独11月ZEW景況指数は31.7と市場予想(20.0)を上回り前月(22.3)から上昇。ZEW(欧州経済センター)は、2022年1-3月期にインフレ圧力が弱まり景気が再び上向くとの楽観的な見通しが指数上昇の背景だと説明した。

15日
ラガルドECB総裁は欧州議会で証言を行い「景気が引き続き回復し、供給の目詰まりが解消されるにつれ、財とサービスに対する物価上昇圧力は正常化すると期待できる」などと発言。「想定されているパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の終了後も、適切な資産購入を含めた金融政策がユーロ圏全域の回復や中銀目標に向けた持続的なインフレ率低下を支えることが引き続き重要になる」と指摘した。

19日
オーストリア政府は新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、完全なロックダウンを再導入すると発表。欧州経済の先行き不透明感から欧州株や原油価格が下落する中、ユーロは下げ足を速めた。

23日
独11月製造業PMI・速報値は57.6(予想56.9)、同サービス業PMI・速報値は53.4(予想51.5)であった。その後に発表されたユーロ圏11月製造業PMI・速報値は58.6(予想57.4)、同サービス業PMI・速報値は56.6(予想53.5)と良好だった。

24日
ドイツの社会民主党(SPD)は、約2カ月の協議を経て緑の党と自由民主党(FDP)との3党連立合意をまとめた。これにより、SPD党首で現財務相のショルツ氏がメルケル氏の後任としてドイツ首相に就任する見通しとなった。独11月IFO企業景況感指数は96.5と予想(96.7)に届かず、5カ月連続で低下した。

25日
ECBは10月理事会の議事録を公表。「インフレ高進はおおむね一過性のものと見なされる」「ただ、物価の急伸はこれまでの予想よりも根強いものになり、賃金がこれに調整し始め、インフレ高進が継続するリスクが高まる」との見方が示された。その上で「12月までに入手されるデータで、中期的なインフレ見通しを巡る全ての不確実性が解消するわけではない」とし、「12月の理事会以降も含め、将来的な金融政策措置を可能にする十分な選択肢を維持することが重要になる」とした。

26日
前日終盤に、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が発見された事で世界経済への悪影響が懸念され、世界的に株価が急落。世界保健機関(WHO)は、南アフリカで見つかった新変異株について「懸念すべき変異株」に指定した。円は全面的に上昇しユーロ/円は一時128円台を割り込んで下落した。なお、この日ドイツでは新型コロナ感染者が7万6000人を超え過去最多を記録。また、ドイツ政府は変異株の対応として、南アフリカからの入国はドイツ人だけに限るとした。

11月の各市場

11月の日経平均、DAX4本値

11月の独2年、10年債利回り

11月のユーロ/円ポジション動向

11月のユーロ/円ポジション動向

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12月のユーロ圏注目イベント

12月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 12月の見通し

11月のユーロ/円相場は軟調な展開が続き、29日には127.49円前後まで下落して約9か月半ぶりの安値を付けた。主なユーロ売り材料は、欧州中銀(ECB)のハト派姿勢と新型コロナウイルスの感染再拡大であった。12月もECBの政策スタンスと、南アフリカで見つかった新たな新型コロナ変異株「オミクロン」を巡る動向がユーロ相場のカギとなりそうだ。

ECBは12月16日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を予定通り来年3月に終了すると発表する見込みである。ただ、PEPPの後継策として通常の資産買い入れプログラム(APP、ひと月あたり200億ユーロ)を増額する公算が大きい。ただし、APPを増額しても総額1.85兆ユーロに上るPEPPが終了する事で、毎月の買い入れ額の減少は避けられない見通しだ。ハト派のラガルド総裁が、PEPPの終了を緩和縮小と受け止められない「工夫」を凝らすのか注目したい。

他方、11月末に南アフリカで新たな新型コロナ変異株「オミクロン」が発見された直後のユーロは対ドルで強含んだが、これは持ち高調整の意味合いが強かったと見られる。「オミクロン」は、発生源である南アフリカとの距離感や、現状の感染者数の多さから見て、本質的にはユーロ売り材料と考えるべきだろう。もっとも、「オミクロン」が今後市場に与える影響を論じるには現時点でデータが少なすぎる。分析結果がある程度出揃うまでは様子を見たいところであろう。
(予想レンジ:126.000~131.000円)

 

神田 卓也

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