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FX「凄腕ディーラーがユーロドルを取引の選択肢に入れる理由」元大手邦銀ディーラーが教える  FX実力アップ教室 戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替ディーラーとして様々な失敗を経験してきた私が、どのように工夫して少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人ディーラー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂きたいと考えています。

第12回目は「凄腕ディーラーがユーロドルを取引の選択肢に入れる理由」です。早速みていきましょう。

目次

1.ユーロを取引するメリットとデメリット
2.実際にチャートをみてみよう
3.そうは言っても謙虚に臨むべき

1.ユーロを取引するメリットとデメリット

以前に「ドル円を好んで取引する凄腕ディーラーたち」というお話をしました。

なぜ凄腕ディーラーがドル円を好むのか?その理由として、日本語話者である私たちは日本円に関する情報にアドバンテージがあり、かつ米ドルに関しては基軸通貨でもあり豊富に情報が取得できるため、ドル円の取引において十分な情報をもとに戦えるとお伝えしました。

ですが、凄腕ディーラーたちも、必ずしもドル円ばかりを取引しているわけではありません。ドル円が、今みたいにレンジ感が強まっている時には、ほかの通貨を取引することも検討してよいでしょう。

ではどういった通貨を検討すべきか?真っ先に検討したいのがユーロドルだと思います。

なぜユーロドルかと言いますと、米国の経済指標や金融政策、政治イベントなどはドル円を取引する過程の中ですでに頭に入っていると言う前提で、日本円の次に情報が取りやすい通貨がユーロだからです。欧州の経済指標や金融政策、政治イベントなどは日本語での情報が多いですし、それに世界中の人たちが取引するので参考にできるチャート分析なども豊富にあります。

2.実際にチャートをみてみよう

以下は先週の月曜日から執筆時点(2021年11月15日20:30頃)にかけてのドル円とユーロドルを比較した時間足チャートです。ローソク足がドル円、紫のエリアがユーロドルの値動きを示しています。
USDJPY_EURUSD_比較
対象期間における変動率は以下の通り
ドル円:+0.46%
ユーロドル:▲1.05%

先週は中国とアメリカのインフレ圧力の高まりを背景に米金利が上昇し、ドルが大きく買われた1週間でした。ドルが買われたのでドル円も上昇していますし、ユーロドルも下落しています(ユーロに対してドルが買われています)が、ドル買いがよりビビッドに反映されているのはユーロドルです。私の記憶では日本円に何か大きな材料があったわけではないですし、ユーロ単体で何か材料があったわけではないです。ですからこの結果はドル高に対する現時点の感応度の違いと考えています。

前にもお伝えしましたが日本人は逆張り傾向が強いのでドル円が上昇したタイミングで売りを行う特性があります。一方でユーロを取引する方の多くは順張り傾向で、ゆえにドル買いで追随するのかもしれません。
※経験則に基づく仮説です

実はドル円が動かない時にユーロドルを取引するトレードアイデアの着想は、私が編み出したものでもなくて、前に所属していた会社で凄腕ディーラーの方が、どうもドル円にトレンドが出ない時にユーロドルの取引を行っていたことを思い出して、それにヒントを得ています。ドル買い相場の中でどちらの感応度が高いのか、これを意識して取引することでパフォーマンスを改善することができるのではないかと考えました。

3.そうは言っても謙虚に臨むべき

ここで一点だけ注意事項があります。それは、私たちはユーロ(ユーロ圏)のことをよく知らないということです。ユーロのオーダーも、ヨーロッパに多く入っているはずですから日本で取れる情報量は、ユーロ圏と比べて少ないと思います。それから例えばユーロ圏において選挙が行われた際に、ユーロ圏の国民の感覚、またその選挙が経済に与える影響を測ることが難しいと思います。したがってユーロ1本で取引するというよりは、ドル円を主軸に据えながら時としてユーロを活用して行く、こういったスタンスで臨むのが良いと思います。

これは豪ドルやカナダドルについても同じことが言えると思います。英ポンドはさておき、豪ドルやカナダドルについては、そもそも人口も三千万人前後の国で、どちらかといえばマイナー通貨に位置づけられると思います。したがって値動きも荒いですし、世の中に出てくる情報もそう多くはありません。このあたりの通貨にフルロットで臨むよりは、ドル円やユーロドルを主軸として戦っていく中で、ポジションの一部を豪ドルやカナダドルに振り分けていくとほうが無難だと思います。

色々なトレードスタイルがあって然るべきですから、何が何でも本日お伝えをしたように取引をしてほしいという意図があるわけではないです。ですが、もしいま、なかなか上手く相場に乗れないということがあれば、試してみる価値はあると思っています。

ぜひ色々と試してみて、自分に合ったトレードスタイルを確立されてください。


それでは本日はここまでとなります。
引き続き一緒に学んでいきましょう。


戸田裕大

<参考資料>
ドル円チャート:Investing.com

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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