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FX「底堅さ増すも、物価見通しは高まらず上値も限定的か」週間為替レポート ハロンズ ドル 2021年10月1日

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底堅さ増すも、物価見通しは高まらず上値も限定的か

ドル円は続伸。

世界的な供給抑制から商品価格が上昇するなか、貿易決済通貨としてのドルの需要増や、米国と主要国との金利差拡大がドルを押し上げ。ドル円は112.07円レベルと昨年2月21日以来の高水準をつけました。さすがに久しぶりの高値圏とあって同水準からは戻り売りのほか、月末・四半期末フローから111円前半へ押し戻されましたが、押し目を拾う動きも相応に強く下値は広がりませんでした。

米金融政策へのヒントを探ることになりそう。

来週は9月ISM非製造業景況指数、民間調査の9月ADP雇用統計、政府が公表する9月雇用統計と重要指標が目白押しで、投資家は金融政策へのヒントを掴もうと集中力を高めています。特に、11月テーパリング着手でコンセンサスが出来ていますので、指標結果が利上げの時期を巡る思惑にどう影響してくるかが、ドルの振幅を大きくさせそうです。気になるNFP(非農業部門雇用者数)ですが、市場予想は30-50万人程度増と8月の23.5万人増からは回復が見込まれています。このレンジをどこまで放れるかが着目点です。レンジを上放れすれば、米金融政策の次のステップとみられる利上げ前倒し観測が膨らみ、米10年債利回りが1.7%を目指しドル円は112円半ばから後半へ下値を切り上げても不思議はないでしょう。加えて、ブレークイーブンインフレ率(BEI)の動向も気になります。市場が予想する期待インフレ率を示すBEIですが、金融政策のすう勢を反映しやすいとされる5年物をみると、直近、2.5%付近で伸び悩む様子がはっきりしています。つまり、インフレ上昇は想定よりも長期間続くことになりそうですが、市場は加速ペースが一気に速まるとも捉えてない様子です。そのため、ドル円が上を目指したとしても、113円手前では上向きの勢いはいったん押さえられると考えています。

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データ;Bloomberg

中国経済の動向も注視。

逆に大きく下振れたときは、テーパリングが僅かながら後ろ倒しとなる可能性が市場で共有されて、米金利・ドルともに調整ムードが高まりそうです。ただし、ワクチン普及やコロナ市販薬開発で大規模な金融緩和の必要性は低くなるなか、遅かれ早かれテーパリングが実施されることになるのは間違いなく、ドルの下値も限定されるでしょう。また、雇用統計以外の数字も重要となりますが、上で述べたようにコロナ対応策が今後なくなることを前提とすれば、ドル円は雇用指標と同様に弱い指標結果で下押したところを丁寧に拾っていくスタンスが賢いのではないかと考えています。ただし、中国の電力不足問題や恒大問題などで経済成長の減速懸念が強まれば、投資家心理を冷やしリスク回避に伴う円への逃避行動が強まる危険はあります。また、暫定予算成立で米政府機関の閉鎖は回避されましたが、債務上限引き上げや米デフォルトへの心配は燻ったままで、安易に警戒レベルを下げるわけにもいかないようです。

目線は上向きも、焦らず押し目を待ちたい。

2016年12月高値(118.667円)からの長期レジスタンスラインを抜けてきて底堅さが増し、110.10-20円を駆け上がる21日移動平均線を支えに、113.00円台乗せも期待できる格好になっています。111円台の値固めから再び下値切り上げの流れへ持ち込めるか注目。とはいえ、200日移動平均線とのかい離はかなりいいレベルまでプラスサイドへ放れしていて調整的な売りも出やすいとみられるため、押し目買い水準を110.70-80円付近へ少し下げ焦らずに待ち構えたいです。かたや戻り売りを仕掛けるなら、112.50円を超えたあたりを丁寧にさばきたいと考えます。

予想レンジ:
USD/JPY:110.50-112.50

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ドル円-日足、出所;外為どっとコム「ネオチャート」

10/4 週のイベント:

10/4(月) 08:50 日本 9月 マネタリーベース
10/4(月) 23:00 米国 8月 製造業新規受注
10/5(火) 08:30 日本 9月 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
10/5(火) 21:30 米国 8月 貿易収支
10/5(火) 22:45 米国 9月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
10/5(火) 22:45 米国 9月 総合購買担当者景気指数(PMI、改定値)
10/5(火) 23:00 米国 9月 ISM非製造業景況指数(総合)
10/6(水) 21:15 米国 9月 ADP雇用統計
10/7(木) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
10/7(木) 14:00 日本 8月 景気先行指数(CI)・速報値
10/7(木) 20:30 米国 9月 チャレンジャー人員削減数
10/7(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
10/8(金) - 日本 9月 景気ウオッチャー調査
10/8(金) 08:50 日本 8月 国際収支・貿易収支
10/8(金) 21:30 米国 9月 非農業部門雇用者数変化
10/8(金) 21:30 米国 9月 失業率
10/8(金) 21:30 米国 9月 平均時給
10/8(金) 23:00 米国 8月 卸売在庫
10/8(金) 23:00 米国 8月 卸売売上高


(執筆:小野 直人)

一言コメント:

国際オリンピック委員会(IOC)は29日、来年開催される北京冬季五輪について、新型コロナウイルス流行を理由に、海外からの観客受け入れを見送ることを決めました。ウイグル人への強制労働問題や香港での人権活動から外国人を遠ざけることができ、中国政府は一先ず胸をなでおろしているのではないでしょうか。しかし、反面、外貨獲得のチャンスを失い成長への不安が払しょくされにくくなった側面もあるでしょう。今後、政府がどういった手段で経済を立て直すのか注目です。

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