読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

「FOMCでテーパリング開始宣言はあるか」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年9月

【外為総研 House View】

f:id:gaitamesk:20190814134002p:plain

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のドル/円ポジション動向
・9月の日・米注目イベント
・ドル/円 9月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のユーロ/円ポジション動向
・9月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 9月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

f:id:gaitamesk:20210901150252p:plain

ドル/円 8月の推移

8月のドル/円相場は108.721~110.797円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.3%上昇(ドル高・円安)した。

新型コロナウイルス・デルタ変異株の感染拡大などを背景に米経済の回復に頭打ち感が広がると、米長期金利の低下とともに108.72円前後までドル売り・円買いが先行した。しかし、ハト派と目されていたクラリダ米連邦準備制度理事会(FRB)副議長が早期利上げに前向きな発言をした他、米7月雇用統計が予想以上に良好な結果となった事からドルは反発。11日には110.80円付近まで上伸した。

日本のお盆休暇の期間中には再びドル安が進行する場面もあったが、FRBのテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)観測などを支えに米長期金利が底堅く推移する中、109円台前半で下げ渋った。

注目が集まったパウエルFRB議長のジャクソンホール講演はテーパリングの開始時期に踏み込んだ発言がなかった事でややドル売りに傾いたが決定打にはならなかった。

f:id:gaitamesk:20210901163124p:plainf:id:gaitamesk:20210901150759p:plain
出所:外為どっとコム

2日
米7月ISM製造業景況指数は59.5と市場予想(61.0)に反して前月(60.6)から低下。均衡点である50.0は上回ったものの2カ月連続で低下した事から米景気は回復のピークを越えたとの見方が広がり、米長期金利が低下するとドル売りが強まった。

4日
米7月ADP全国雇用者数は33.0万人増と、市場予想(69.0万人増)を大幅に下回った。これを受けてドル/円は5月26日以来の安値となる108.72円前後まで下落した。しかしその後は、米7月ISM非製造業景況指数が64.1と市場予想(60.5)を上回り統計開始以来最高を記録した事からドルが反発。

さらに、クラリダFRB副議長が「2023年に利上げを開始できる状況にある」との認識を示すと、米長期金利の急反発とともに109円台半ばまで大きく持ち直した。なお、クラリダ副議長は「年内のテーパリング発表を支持する」「利上げに必要な条件は2022年末までに達成されているだろう」などと述べた事も伝わった。

6日
米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が94.3万人増と市場予想(87.0万人増)を大幅に上回った上に、失業率は5.4%と予想(5.7%)を下回り前月(5.9%)から大幅に改善した。平均時給も前年比+4.0%と予想(+3.9%)を上回る伸びとなった。これを受けてドル/円は110円台を回復した。

9日
アトランタ連銀のボスティック総裁が「あと1、2カ月間雇用の力強い伸びが続けば、FRBは10-12月中にテーパリングを開始できる」との見解を示した事などからドルが続伸した。

11日
米7月消費者物価指数は前月比+0.5%、前年比+5.4%、コア前年比+4.3%と概ね予想通りの伸びとなった(予想+0.5%、+5.3%、+4.3%)。ただ、前月比の伸びが6月の+0.9%から大きく鈍化した事などから、米国のインフレはピークアウトしたとの見方が広がった模様で、米長期金利の低下とともにドルは売りが強まった。

18日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月会合の議事録を公表。「大半は年内のテーパリング開始が適切と判断」としつつも、「一部は来年の開始が適切と判断」「数人が当面テーパリングはないと予想」などとした。テーパリングの開始時期を巡るコンセンサスが形成されていない様子が明らかになった事でドルは上げ幅を縮小した。

20日
日本7月消費者物価指数・除生鮮食品は前年比-0.2%(予想-0.4%)であった。算出方法の見直しで、過去にさかのぼり指数が改定された事から12カ月連続での下落となった。

27日
パウエルFRB議長はカンザスシティ連銀主催の経済イベントであるジャクソンホールシンポジウムで講演。テーパリングについては「経済がおおむね予想通りに回復すれば年内の開始が適切」としたものの、具体的な開始時期の見通しには踏み込まなかった。さらに、「この1カ月間は、力強い7月雇用統計という形で『一層の進展』が示されたが、一方でデルタ変異株の感染もさらに拡大した。今後入手するデータと変化するリスクを慎重に見極めていく」と述べた。

その上で「テーパリングの開始時期とペースは直接的に利上げの時期を示唆するものではない」と発言。議長の慎重姿勢が反映された講演と受け止められ、米長期金利が低下するとともにドルが下落した一方、米国株は上昇した。ドル/円は下落したものの、クロス円の上昇が支えとなり下げ渋った。

8月の各市場

f:id:gaitamesk:20210901150403p:plainf:id:gaitamesk:20210901150423p:plain

8月のドル/円ポジション動向

f:id:gaitamesk:20210901151715p:plain

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の日・米注目イベント

f:id:gaitamesk:20210901150541p:plain

ドル/円 9月の見通し

8月のドル/円は約2円という狭いレンジでもみ合った。終値ベースでも概ね横ばいと、方向感を掴みあぐねる相場展開であった。それだけに、9月相場の方向性は3日に発表される米8月雇用統計がカギを握る事になりそうだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、ジャクソンホール会議で年内のテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)開始に言及したが、その時期については明言を避けた。8月雇用統計が雇用情勢の一段の改善を示せば、21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング開始の宣言を行い、11月のFOMCから買い入れ縮小に着手するとの見方が広がるだろう。仮に、コロナ感染拡大の影響などで雇用の改善が大きく鈍るようなら、開始宣言が11月もしくは12月にずれ込む(着手は来年に)との見方に傾く可能性がある。

テーパリングが「遅かれ早かれ」始まる事は織り込み済みとの見方もあるが、テーパリングの先には利上げが控えている(パウエルFRB議長は直接的な関連性を否定したが、けん制に過ぎないと思われる)事を踏まえると、テーパリングが「いつ始まるか」は大きな意味を持つ事になるだろう。

こうした経緯から、9月のドル/円相場は3日の米8月雇用統計に対する反応が、少なくとも22日のFOMCまで続きやすいと考えられる。米8月雇用統計とFOMCが9月相場の最重要イベントになると見ている。
(予想レンジ:108.500~112.500円)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

f:id:gaitamesk:20210901161127p:plain

ユーロ/円 8月の推移

8月のユーロ/円相場は127.936~130.418円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.2%下落(ユーロ安・円高)した。

新型コロナウイルス・デルタ変異株の感染拡大などからリスク回避のユーロ売り・円買いが先行。129円台では下げ渋る動きも見られたが、15日にイスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの政権を掌握した事や、16日に中国の経済指標が同国景気の鈍化を示した事が重しとなり128円台へと下げ幅を拡大した。さらに19日には株価の世界的な下落を背景に127円台へと下げ足を速めた。ただ、その後は月末にかけて130円前後まで切り返した。

米国株がいち早く持ち直した事で市場心理が改善した他、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が早期のテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)に慎重な姿勢を示すと対ドルでユーロ高が進行した事からユーロは対円でも強含んだ。

f:id:gaitamesk:20210901161239p:plainf:id:gaitamesk:20210901161432p:plain
出所:外為どっとコム

3日
NY原油(WTI)が一時70ドルの大台を割り込んで下落。新型コロナウイルスのデルタ変異株の世界的な流行で需要が減少するとの懸念が広がった模様。これに連れてドイツ株(DAX指数)が下落に転じるなど、リスク回避の動きが強まると円が全面的に上昇した。

6日
米7月雇用統計が非農業部門雇用者数の大幅増と失業率の大幅低下を示す良好な結果になるとドル買いが進みユーロ/ドルが下落した。ユーロ/円もこれに連れて下落したが、ドル/円の上昇が支えとなり下げ幅は小さかった。

10日
独8月ZEW景況感調査(期待指数)は40.4と市場予想(55.0)を下回り、前月(63.3)から大幅に低下した。欧州株の上昇を受けて強含んでいたユーロ/円は、これを受けて反落した。なお、ドイツの民間調査会社であるZEWは「景気に対するリスクが高まっている」との見解を示した。

16日
中国の7月小売売上高や鉱工業生産が悪化した事や、豪州や中国で新型コロナウイルス・デルタ変異株の感染が拡大した事などからリスク回避の円買いが強まると、ユーロ/円は129.00円を下抜けて下落した。イスラム主義組織タリバンによる支配で混乱が深まったアフガニスタン情勢を巡る懸念もユーロ/円の重しとなった。

19日
日経平均株価が304円安、独DAX指数が200ポイント安などと、アジア市場から欧州市場にかけて株価が軒並み下落。デルタ変異株の感染拡大などで世界経済の回復鈍化への懸念が高まった。リスク回避の動きが強まる中、ユーロ/円はほぼ半年ぶりに128円台を割り込んだ。

23日
独8月製造業PMI・速報値は62.7、同サービス業PMI・速報値は61.5(予想65.0、61.0)となり、いずれも前月から小幅に低下したが高水準を維持した。その後に発表されたユーロ圏8月PMI・速報値も製造業61.5、サービス業59.7(予想62.0、59.5)と、高止まりした。これらを受けてユーロは上昇した。

25日
独8月Ifo景況感指数は99.4と市場予想(100.4)を下回り、2カ月連続で低下した。しかし、ユーロ売りの反応はほとんど見られず、むしろ独長期金利の上昇などを眺めてユーロ買いが優勢となった。

26日
欧州中銀(ECB)は7月理事会の議事録を公表。インフレ率が持続的に2%に達する見通しとなるまでは利上げしないとしたフォワードガイダンスについて「その意図通りに、最終的にインフレ期待を目標付近に固定する事に成功すれば、必ずしも『より低い金利をより長期化』させる事を意味しない」との見解を示した。

30日
独8月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+3.9%と予想通りに前月(+3.8%)から伸びが加速。欧州連合(EU)基準のCPIは前年比+3.4%と2008年7月以来の高い伸びとなった。ロンドン休場の影響もあってユーロ相場に目立った反応はなかった。なお、仏中銀のビルロワドガロー総裁はこの日、ECBの量的緩和策であるパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について「来週の会合で(縮小を)決定する緊急性はない」と発言した。

8月の各市場

f:id:gaitamesk:20210901161544p:plainf:id:gaitamesk:20210901161602p:plain

8月のユーロ/円ポジション動向

f:id:gaitamesk:20210901151753p:plain

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月のユーロ圏注目イベント

f:id:gaitamesk:20210901161948p:plain

ユーロ/円 9月の見通し

9月26日にドイツで行われる総選挙が市場の関心を集める事になりそうだ。選挙の結果、4期16年に渡り首相を務めたメルケル氏の後継に誰が選ばれるのかにも注目が集まるだろう。

選挙はきわめて混戦模様で、現与党第1党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)の支持率が低下している一方、一時は政権奪取もあり得ると見られていた緑の党もベアボック党首のスキャンダルなどで失速。代わりに支持率を伸ばしたのが現与党第2党の社会民主党(SPD)だ。中道リベラル派の自由民主党(FDP)も交えて、選挙戦を見通すのは困難な状況にある。

現在の連立与党(CDU/CSU+SPD)の枠組みを維持できるかさえ不透明と言わざるを得ない。このまま混戦模様が続けば、連立政権の樹立に長い時間がかかり、政治空白が生まれるとの懸念に繋がりかねない。そうなると、選挙前にユーロが崩れる可能性も捨てきれないだろう。

9月のユーロ相場は、ドイツの政党支持率を睨みつつ上値の重い展開となりそうだ。
(予想レンジ:127.750~131.750円)


神田卓也

●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。