ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)の活用方法「元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室」戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替ディーラーとして様々な失敗を経験してきた私が、どういった工夫をして少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人ディーラー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂きたいと考えています。

第5回目は「ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)の活用方法」です。早速みていきましょう。

【目次】

1.はじめに
2. SL(逆指値注文)の意義
3. SL(逆指値注文)のメリットとデメリット
4. SL(逆指値注文)狩りへの対抗策
5. おまけ

1.はじめに

みなさんは、自分が置いたストップ・ロス・オーダー(以後SLと略します)が約定してしまい、その後に相場が反転した経験はございませんか?私は特に初心者の頃に多く経験しましたし、隠さずに言えば今でも経験することはあります。

SLを置くことでリスクを限定することが出来るので、初心者のうちは必ずSLを置くことを徹底すべきと先輩ディーラーに教わりましたが、置いたら置いただけストップが約定になってしまう事態も過去には発生しました。

今日はこう言った事象について少し深堀してみようと思います。

2.SL(逆指値注文)の意義

念のため、SLの意味をさらっと振り返ります。以下のチャートをご参考ください。

ストップロスの水準

SLは例えばドル円を買いでエントリーした時に、今の水準よりも下に売り注文を置いて、リスクを限定するものです。現在のレベルを109.42(青い点線のレベル)と仮定し、109.00丁度(赤いライン)にSLを置けば、最大損失は概ね米ドル建ての取引金額×0.42円に限定されると言った具合に使います。

3.SL(逆指値注文)のメリットとデメリット

SL最大のメリットは前述の通り損失の限定にあります。これは異論の余地がないかと思います。

ではSLの問題点とはなんでしょうか?

それは、きちんとチャートを見て、直近の高値や安値など意識されているレジスタンスやサポートにSLを置くのですが、そのSLだけ綺麗に約定してしまい、その後に反転してしまうことです。具体例を以下のチャートを用いて解説してみようと思います。

ストップ狩りの例

こちらは直近のドル円の日足チャートです。概ね109.20~110.60のレンジで推移していますが、黄色い丸で囲っている箇所では上下に跳ねて、その後にレンジ内に戻ってきています。具体的には109.20(含む109.00)のSL売り、110.60のSL買いは綺麗に刈られて、その後に相場は反転していることが分かります。

ようは私たちがレジスタンスとか、サポートと考えてSLを置く場所は、逆にSLが執行されやすい可能性があるということです。これを巷では「SL狩り」などと呼ばれています。

ここで、短期トレーダーの心理になって考えてみましょう。

109.20を下抜ければ、売りが売りを呼ぶ展開になりそうだと考えます。従って、109.20より下までなんとか売りで攻めていって、売りが売りを呼ぶ展開になり急落したら、そこで利食いを入れよう。こう考える訳です。

くどいですが、110.60のSL買いも見ていきましょう。110.60にはSLの買いを入れている投資家が多そうだ。従って110.60のSLを誘発させた後に、そこで利食いを入れよう。こう考える短期トレーダーも少なくなさそうですよね。

こういった戦術を得意とするプロのディーラーもたくさん存在します。色々な思惑が行き交うのが外為市場です。

では私たちはこの「SL狩り」にどのように備えれば良いのでしょうか?

4. SL(逆指値注文)狩りへの対抗策

結論としては、SLを置くレベルに幅を持たせると言うことになります。前述の例で言えば109.20ではなく108円の後半にSLの売りを置いたり、110.60ではなく111.00などにSLの買いを置いたりすることで、SL狩りから身を守ることが出来る可能性がぐっと高まるのです。

えっ、それでは最大損失が大きくなってしまいますよね?という反論が聞こえてきそうです。それは、その通りです。

SLを刈られたくなければSLの置き場所に幅を持たせる、しかしそうすれば最大損失額は増える、リスクリワードが低くなる。ですから身の丈以上のトレードをすると、損失を限定したいばかりにすぐにSLが引っ掛かる、トレードとはそう言うものです。

ですからSLの置き方一つ、ポジション量一つでもトレードの実力差が現れるわけです。ここのレベルを上げるには日々鍛錬しかありません。適宜、状況を見極めて判断することで地力を養っていくべきと考えます。

5.おまけ

ところで、私の経験則ですが、凄腕のディーラーはSLの置き方にはとてもこだわっています。特に109.00丁度などキリの良い水準のSL売りを避け、108.97や108.95のSL売りとする方が多かったです。

これはなぜだと思いますか?

そこ(109.00丁度)が刈られやすいと考えているからです。具体的にはインターバンクでは110.00丁度のSLオーダーは109.98で2銭ずれ約定になることが多いので、そこを避けて109.97や109.95にSLを置く人も多かったように思います。

ドル円がどっちに動くか、上か下か、これを考える「戦略」も非常に大事です。一方で、本日のお題のようにどこで損切する、どこで利食いを入れる、この「オペレーション」も勝つためには非常に重要になってきます。

戦略とオペレーション、両方のスキルを磨いていくことで上級者への道は切り開かれると思います。引き続き一緒に学んでいきましょう。

本日はここまでとなります。

引き続き、みなさんのレベルアップに役立つ記事を作成してまいりますので、応援して頂けますと幸いです。

戸田裕大

<参考文献・ご留意事項>

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若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
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