総括
中銀の低金利維持示唆でランド下落、株価は安定
通貨5位、株価8位
予想レンジ 南アランド円 7.2-7.7
(ポイント)
*中銀がコロナ感染拡大と暴動で景気回復の恐れを指摘した
*政策金利は3.5%で据え置き
*6月CPIは4.9%上昇
*21年インフレ見通しは4.3%
*21年と22年の経済成長率予想をそれぞれ4.2%と、2.3%に据え置いた(中銀)
*ズマ前大統領、汚職疑惑巡る審理の再延長要請
*暴動を扇動したとみられる人物を治安当局が特定
*暴動に関しての格付け評価はマチマチ
*賃金交渉開始
*米中対立激化、FRB利上げ予想前倒しで南アランドは急落した
*対円8.15-20の売りも下落を誘った
*貿易・経常収支の黒字が南アランドを支える
*弱点は雇用と停電
*中銀総総裁=南ア国債の利回りの高さが海外投資家をひきつける
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
(中銀発言でランド下落)
ランドは対円で7月は3.35%下落しているが、南ア株価指数は0.42%の上昇だ。日経平均は7月4.32%下落している。
中銀が改めて新型コロナウイルス禍からの景気回復が遅れる恐れがあると警告し、低金利維持を示唆したことがランドには引き続き重しとなった。暴動・略奪で経済活動が停滞し、財政赤字の改善も遅れ格付けにも影響すると言う考えは為替に悪影響となるも、株価には大きな影響がない。コロナ感染拡大によるロックダウンはまだ解除されていない。学校は再開しそうだが。また電力不足で停電も続いている。さらに悪いことは ケープタウン港で、サイバー攻撃によって港湾コンテナ作業に支障が生じていることだ。港や鉄道は先週すでに、一部で数日間続いている暴動によって大きな影響を受けている。悪いことに対しては為替は株より敏感だ。ただ暴動の首謀者も判明し軍隊で抑制もしており、格付け会社が経済的影響の規模も算出しているのでこれ以上ランドも大きくは売られない。最悪は週足のボリバン下限の7.2までか。
(政策金利据え置き 暴動による回復頓挫も警戒)
南ア中銀政策金利を3.5%に据え置くことを全会一致で決定した。前大統領の収監に抗議するデモを発端として今月発生した暴動で、新型コロナウイルス禍からの景気回復が遅れる恐れがあると警告した。据え置きは6会合連続。中銀は2021年と22年の経済成長率予想をそれぞれ4.2%と、2.3%に据え置いた。
クガニャゴ総裁は「このほど発生した暴動で、投資家信頼感と雇用創出に長期的な影響が及ぶ可能性がある」と指摘。暴動によるマイナスの影響で1Qの力強い成長が相殺される恐れがあると警告した。
暴動を受けたパニック買いや供給不足などでインフレ率が短期的に急上昇する可能性があるとの市場の見方も出てきた。
ただ中銀は、今年後半から来年にかけて物価圧力は緩和する公算が大きいと予想。21年のインフレ率見通しを4.3%と、従来の4.2%からやや引き上げたものの、22年については4.2%と、4.4%から引き下げた。
中銀はインフレ目標を3-6%に設定。このところの物価上昇を受け、近く利上げが実施されるとの見方も出ている。
(6月消費者物価)
前年比で4.9%上昇、5月の5.2%上昇を下回った。輸送コストが12.3%、アルコール飲料・タバコが5.3%上昇した。コアインフレは3.2%上昇で5月の3.1%上昇を上回った。
(ズマ前大統領、汚職疑惑巡る審理の再延長要請)
ズマ前大統領は、法廷にビデオ中継で出廷し、在任中の汚職疑惑を巡る審理の再延期を求めた。同氏は法廷侮辱罪で有罪判決を受けており、今月収監されたことから各地で暴動が発生した。暴動はおおむね沈静化したが、ズマ氏の出廷によって同氏の支持層による激しい抗議活動が再び触発される可能性が懸念されていた。しかし、これまでのところデモは起きていない。ズマ氏には1990年代後半に20億ドル相当の軍事装備品の契約に絡みリベートを受け取った疑いが持たれている。同氏は汚職や詐欺、資金洗浄(マネロン)の疑惑について無罪を主張し、自分は政治的動機に基づく魔女狩りの犠牲者だと訴え、10年以上も起訴を逃れてきた。ズマ氏はビデオ中継で何も語らず、弁護団のダリ・ムポフ弁護士がズマ氏が対面で出廷できるまで審理を延期するべきだと主張した。
テクニカル分析(ランド/円)
再びボリバン2σ下限へ
日足、再びボリバン2σ下限へ。7月22日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲の下。20日線下向き。
週足、7月12日週の長い下ヒゲ効果なくボリバン中位割る。1月11日週-7月19日週の上昇ラインがサポート。7月12週-19日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、5か月連続陽線とならず反落。雲の下へ。21年2月-3月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
暴動による死者数
南ア政府高官は、今月に入って東部のクワズールー・ナタール州や最大都市ヨハネスブルクがあるハウテン州などで発生した大規模暴動による死者が337人になったと明らかにした。ズマ前大統領が汚職疑惑をめぐる法廷侮辱罪で収監されたことに端を発し、各地で略奪や放火が多発。アパルトヘイト(人種隔離)以降で、最悪規模の暴動に発展した。これまでの経済損失は現時点で約34億ドルに上ると試算されている。
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