総括
米国と似た状況、インフレ6%でも政策金利は据え置き、Too slow、Too steady
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント)
*政策金利は据え置き
*4月のインフレは6%のせ
*昨日は5.497の高値をつけた後、原油安で5.47へ下落
*3月は貿易赤字
*1Q・GDPは弱かった
*USMCAでメキシコの労働争議が問題となる
*コロナ感染者数は日本を下回る
*外需は強いが内需は弱い
*対米貿易依存度が頗る高い
*米国は大型インフラ整備計画の財源として大型増税も案も表明
*財務省は2021年成長見通しを上方修正
*国営電力業者保護法案が民間業者や米加の不満を生む
*大麻を解禁へ 世界最大の市場に
*海外のメキシコ人労働者からの国内送金は増加し続けている
*経常収支は3Qに史上最大黒字に
(政策金利は4%で据え置き、インフレは6%でも)
中銀は、政策金利を4.0%に据え置くことを全会一致で決定した。据え置きは予想通り。中銀は不確実性が極めて高いことが金融政策に対する大きな課題になっているとの認識を示した。
中銀は2月に0.25%の利下げを実施した後、2会合連続で金利据え置きを決定。声明で「不確実性が極めて高い環境下で、インフレ、経済活動、金融市場に対するリスクが金融政策に対する主要な課題になっている」とした。
メキシコのインフレ率は中銀が目標とする2-4%を大きく超えている。
(米国より先に4月消費者物価が急騰)
4月消費者物価は目標の上限である4%を超える6.08%となった。2017年12月以来の上昇率だ。ただ前年同月の原油先物価格がマイナスになるほど大きく下落していたからで、今後は低下するものとみられる。
新型コロナウイルスの感染拡大で、ビジネス活動の制限が強まり、1Q・GDPは、前年同期比で3.8%減となったこともあり、5月13日の会合では政策金利4.0%で据え置きとなった。一時観測された国内需要の弱さから政策金利を引き下げる可能性がなくなったのは、米国の6兆ドルにのぼる経済対策の恩恵をメキシコ経済が大きく受けることもある。それに関連して、米国のメキシコ人労働者からのメキシコへの家族への送金が年間で400億ドルにまで伸びて、貿易黒字レベルになっていることはペソ相場を支えている。堅調な原油価格も同じくペソを支えている。
(ネガティブなニュース)
ネガティブなニュースとしては米国の大手労働団体などが、米政府に対して、メキシコ企業による労働者の権利侵害について不服を申し立てたことだ。自動車部品会社トリドネックスの労働者が独立的な労組結成を試みたところ、不当な扱いを受けたり、解雇された。USMCAでは労働規定の違反が認められた場合、特恵関税の停止や輸出禁止といった措置が科される可能性がある。
(3月の貿易赤字は29億ドル、半導体不足で自動車輸出が不振)
3月の貿易収支は、29億600万ドルの赤字になった。世界的な半導体不足の影響などで、自動車輸出が不振となったことが主な要因。2-3月の自動車輸出の低調さは、米国とメキシコの一部でガス供給に制約があったことと半導体の品薄に伴うサプライチェーンの混乱をある程度反映している。自動車輸出は製造業輸出のほぼ3分の1を占め、3月に前年比で5.2%減少。
(GMのEV生産へ)
米GMは、メキシコで2023年から電気自動車(EV)を生産すると表明した。
メキシコ北部コアウイラ州の工場施設に10億ドルを投資する計画の一環。「シボレー・エクイノックス」「ブレイザー」などの内燃機関自動車の組み立てやエンジン、変速機の製造が行われている。
メキシコ現地法人のガルサ社長は「この投資はメキシコの製造業の拡大に寄与し続けるとともに、地域や業界、国家の発展をもたらすと確信している」と述べた。
(中国初のmRNAコロナワクチンで後期治験へ)
エブラルド外相は、中国の雲南沃森生物技術が開発した新型コロナウイルスワクチンの後期臨床試験(第3段階)に入ると明らかにした。このワクチンは、米モデルナとファイザーが採用したメッセンジャーRNAに類似した技術を使用、中国初のmRNAワクチンの後期臨床試験となる。メキシコは既に、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)とカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)からワクチンの供給を受けているほか、中国国有製薬大手、中国医薬集団(シノファーム)製ワクチンを発注する計画。
テクニカル分析
狭いボリバンの2σ上限へ
日足、横ばい続く。5月6日-13日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σまで上昇。5日線上向き。
週足、雲の上に出てボリバン2σ上限近辺。4月26日週-5月10日週のラインがダブルトップ5.47を上抜く。3月8日週-5月3日週の上昇ラインがサポート。
月足、雲下での推移が長い(2016年1月以来)。ボリバン中位は上に抜ける。20年2月-21年4月の下降ラインを上抜く。20年11月-21年3月の上昇ラインがサポート。
年足、陽転。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
米と組んで移民流入抑止と支援
ハリス米副大統領はロペスオブラドール大統領とビデオ会談を行い、中米諸国からの移民流入抑止に向け、中米の汚職を撲滅し経済を支援する必要があるとの考えを示した。
バイデン政権は、移民抑制には法の支配、司法の独立、汚職撲滅が重要な要素になるとし、メキシコとの連携を表明している。
バイデン大統領は3月、メキシコからの不法移民が急増している問題について、ハリス氏が政府の対応を率い、メキシコや中米各国と連携して対策に当たると発表した。 ハリス氏は、移民増加は両国にとって深刻な問題で、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの3カ国に対して早急に支援を行う必要があると述べた。
エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの3カ国は、新型コロナウイルスやハリケーンによる景気悪化を受け、昨年以降、何十万もの人が祖国を離れている。
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