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「米景気回復期待強い」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年4月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のドル/円ポジション動向
・4月の日・米注目イベント
・ドル/円 4月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のユーロ/円ポジション動向
・4月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 4月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 3月の推移

3月のドル/円相場は106.367~110.963円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約3.9%上昇した (ドル高・円安)。米国で新型コロナウイルスワクチンの接種が急ピッチで進み、景気回復期待が高まった事からドルが全面的に上昇。インフレ高進観測も相まって米10年債利回りも大幅に上昇した。

中旬に差し掛かると、ドル/円が109円台で伸び悩むなどドル高の勢いは一時的に鈍ったが、下旬にかけて再び上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が、長期金利の上昇を黙認する構えを示した一方で、日銀は長期金利の過度な上昇を容認しない姿勢を示した事もドル高・円安基調を支えた。

29 日にはバイデン米大統領が「4月19日までに成人の90%が新型コロナワクチンの接種対象になる」 と表明。米10年債利回りが1.77%台まで上昇した30日には心理的節目の110.00円を突破した。翌31 日には期末絡みのフローも手伝って110.96円前後まで上値を伸ばし、2020年3月26日以来の高値を付けた。

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出所:外為どっとコム

1日
米2月ISM製造業景況指数は60.8と市場予想(58.9)を上回り3年ぶりの高水準となった。構成指数では、新規受注が64.8、雇用が54.4となり、いずれも前月(61.1、52.6)から上昇。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁が、長期金利の上昇について「見通しに対する自然な反応」との認識を示した事もあって、米10年債利回りの上昇と共にドル買いが優勢となった。

5日
日銀の黒田総裁は「長期金利の変動幅を拡大する必要があるとは考えていない」と発言した事で次第に円売りが優勢となった。市場では3月18-19日の金融政策決定会合で日銀が金融政策の点検を行い、現状-0.2~0.2%としている10年債利回りの許容変動幅を拡大するとの観測が広がっていた。

その後、米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が37.9万人増と市場予想(20.0万人増)を上回り、失業率も6.2%と予想(6.3%)以上に改善。これを受けてドル買いが強まった。

11日
バイデン米大統領は、議会を通過済みの1.9兆ドル規模の追加経済対策法案に署名。大統領報道官は「追加経済対策による個人への直接給付は早ければ今週末にも始まる」との見通しを示した。

16日
米2月小売売上高は前月比-3.0%と予想(-0.5%)を超える減少となった。自動車を除いた売上高も前月比-2.7%と、予想(+0.1%)に反して落ち込んだ。その後、米2月鉱工業生産も前月比-2.2%と予想外の減少となった(予想+0.3%)。

17日
FOMCは、予想通りに政策金利(0.00-0.25%)と資産買い入れ(月1200億ドルペース)の現状維持を決定。経済見通しでは2021年の成長率見通しを+4.2%から+6.5%へと大幅に上方修正。失業率やインフレ率についても2021年の見通しを改善方向に修正した。

一方で、政策金利見通しでは2023年末の政策金利が0.00-0.25%に留まるとの予測を示し、ゼロ金利政策の長期化を改めて示唆。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見でも「一時的にインフレ率が2%を超えたとしても利上げの要件を満たさない」「資産買い入れ縮小(テーパリング)の議論を始める時ではない」などと、ハト派的な発言が目立った。

19日
日銀は金融政策決定会合で前年12月に表明した金融政策の点検を実施。0.00%を目標とする長期金利(10年債利回り)の許容変動幅を「±0.25%」と明記した。同時に、大幅な金利上昇を抑制するため、無制限買い入れを一定期間連続して行う「連続指値オペ」を導入する事も発表した。上場投資信託(ETF)の買い入れについては、原則年間6兆円の買い入れ額のメドを撤廃した。

黒田日銀総裁はその後の会見で「金利が上方に行って緩和効果に影響してしまうのは絶対に避けなければならない」「現時点で緩和政策の出口を議論するのは時期尚早」などとの見解を示した。

23日
パウエルFRB議長は下院で議会証言を行い「状況は大幅に改善されているが、経済回復は完了には程遠い」「FRBはあらゆる手段を使い経済を支援することを約束」などと発言。質疑応答では「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想している」「インフレの影響は特に大きくなく持続的でもないだろう」との見通しを示した。

30日
バイデン米大統領のインフラ投資計画の詳細発表を翌日に控え米国債売りが活発化。欧州債利回りの上昇もあって米10年債利回りは約14か月ぶりに1.77%台へと上昇した。これを受けてドル/円は心理的節目の110.00円を約1年ぶりに突破した。

3月の各市場

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3月のドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

4月の日・米注目イベント

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ドル/円 4月の見通し

ドル/円は「米長期金利睨み」の展開が続いており、4月相場でも米10年債利回りの動向がカギとなりそうだ。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は3月に発表した経済見通しで、2021年の国内総生産(GDP)成長率を+6.5%、インフレ率(PCEデフレー ター)を+2.4%と予測したが、一部の民間予測ではGDP成長率が7%台後半に達するとの見方もある。米10年債利回りが2%の節目を目指して続伸する可能性は十分にあるだろう。

米国内でワクチンの接種が進んだにもかかわらず新型コロナウイルスの感染が再拡大するなどの不測の事態が起きなければ、米長期金利の上昇と共にドル/円も2020年高値112.22円前後を目指す展開となりそうだ。 2日の米3月雇用統計や、15日の米小売売上高などを中心に、米景気指標の結果が注目されよう。ただ、 長期金利の上昇が米国株の値崩れに繋がればドル/円の上伸力は鈍る事になろう。

3月後半に発生した米ヘッジファンドの株取引に絡む大手金融機関の損失問題や、バイデン米大統領が示した法人増税計画なども株価の下落圧力となり得るため、続報には目配りが必要だろう。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 3月の推移

3月のユーロ/円相場は128.186~130.663円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.9%上昇(ユーロ高・円安)した。もっとも、ユーロ/ドルは月間で約2.8%下落しており、ユーロ/円の上昇はドル/円の上昇に支えられたものだった事がわかる。つまり、ユーロ安以上の円安が進行した格好だ。

新型コロナウイルスの感染拡大が下火となり世界的に景気回復期待が高まる中、リスクオンの流れに乗ったユーロ/円は18日に2018年10月以来の高値となる130.66円前後まで上昇した。しかし、ユーロ圏各国のワクチン接種の遅れや、感染再拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)の再延長などから域内景気の回復期待が後退。24日には再び128円台前半へと押し戻された。

その後、月末にかけてはドル/円が110円台に上昇した動きに連れて持ち直し、31日には130円台を回復する場面もあった。

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出所:外為どっとコム

8日
前週末6日に米上院はバイデン大統領が掲げる1.9兆ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案を民主党議員の賛成のみで可決。法案成立の見通しとなった事を受けて取引開始からリスク選好の円売りが優勢となった。ただ、独1月鉱工業生産が前月比-2.5%と予想(-0.4%)を超える落ち込みとなった事などからユーロの上値は重かった。

11日
欧州中銀(ECB)は主要政策金利(0.00%)や預金ファシリティ金利(-0.50%)の据え置きを発表。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模も1.85兆ユーロに維持した。

ただ、声明で「PEPPの債券購入ペースを次の四半期で大きく加速させる」と表明。ラガルドECB総裁はその後の会見で「中期のインフレ見通しはほぼ変わっていない」とした上で「市場の状況に従って調達環境のタイト化を防ぐ事を目的に、柔軟に債券を購入する」と説明した。ECBの声明発表後にユーロは一時下落したものの、欧州株が上昇する中で円やドルが売られたため底堅かった。

16日
独3月ZEW景気期待指数は76.6と市場予想(74.0)を上回り前月(71.2)から上昇。これを受けて一時ユーロが買われたが、新型コロナワクチン接種の遅れなどからユーロ圏の景気回復に不透明感が広がる中、NY市場に入るとユーロ売りに傾いた。

なお、レーンECB専務理事は、「ECBの目標は、全般的な金利環境を決定する上で重要な役割を果たす利回り曲線が、経済の動向に先回りしないようにすることだ」と述べて長期金利の上昇を容認しない姿勢を改めて示した。

18日
カステックス仏首相は、新型コロナウイルス感染第3波を受け、パリとその近郊を含む16の県で、19日から1カ月間のロックダウン(都市封鎖)措置を再導入すると発表。これを受けてユーロは軟化した。

23日
ドイツのロックダウン(都市封鎖)延長などでユーロ圏景気の先行きに懸念が広がる中、欧州株安と共にユーロが下落。

なお、ドイツのメルケル首相は、イースター期間中(4月1日-5日)を「社会的接触が少ない静かな日」として自宅待機するよう国民に呼びかけた。ただ、ロックダウン延長に対する反対の多さから、メルケル首相は翌日には延長計画を撤廃した。

24日
独3月製造業PMI・速報値は66.6と、予想(60.5)を上回り、過去最高を記録した。独3月サービス業PMI・速報値も50.8と、予想(46.5)を上回り、6カ月ぶりに景況拡大/縮小の分岐点である50.0を上回った。

その後に発表されたユーロ圏3月製造業PMI・速報値は62.4(予想57.6)、同サービス業PMI・速報値は48.8(予想46.0)であった。ただ、景気先行きに対する不透明感が広がる中、PMIの好結果を受けたユーロ買いは一時的だった。

26日
独3月Ifo企業景況感指数は96.6と予想(93.2)を上回り、2019年6月以来の高水準を記録。製造業主導の改善ではあったが、Ifoによるとサービス業もコロナ禍のダメージから回復する兆候が見られたとの事。

29日
欧州市場に入り、ユーロ/ポンドがストップロスを巻き込んで急落。これに連れてユーロ/円は下落した。新型コロナウイルスの感染拡大が続くユーロ圏と、ワクチン接種の進捗でロックダウンの緩和計画が進行中の英国との対比でユーロ売り・ポンド買いの動きが強まった模様。

3月の各市場

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3月のユーロ/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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4月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 4月の見通し

ユーロ/円相場は4月も方向感を欠く展開が見込まれる。景況感の格差などからユーロ安・ドル高が進みやすい半面、ドル高・円安にも振れやすい地合いの中では、ユーロ安と円安の綱引きになりがちなためだ。

ユーロ安の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、ワクチン接種のペースも上がらない中、ユーロ圏の景気回復が後ずれするのではとの懸念がある。そうした状況にもかかわらず、欧州連合(EU)が昨年末に決めた7500億ユーロ規模の復興基金の執行が遅れそうな事が景気回復期待を一段と削ぐ結果になっている。

ブルームバーグによれば、基金からの資金支援を受けるため加盟国がこれまでに提出した支出計画の大半は修正なしに承認できる内容ではないと、EUの行政執行機関である欧州委員会は判断している模様。計画通り今年半ばに資金を配布するには、4月に欧州委員会が計画を承認する必要があるが、一部の国はこの期限に間に合わない恐れがあるとの事だ。ドイツ、フランス、イタリアなどの中核国でロックダウン(都市封鎖)が続く中、復興基金の配布遅れはユーロの重しになる公算が大きい。

EU復興基金承認の行方次第では、円安よりもユーロ安が進みやすくなる可能性もありそうだ。(神田)