総括
週足切り返す、GDP・需給改善、株式は依然最強の14.81％高
「通貨8位、株価首位」
「予想レンジ 南アランド円 7.0-7.5」
（ポイント）
＊貿易収支は9か月連続黒字 経常収支は2四半期連続黒字
＊20年4Q・GDPは予想を上回る
＊南ア株式市場は世界で独歩高
＊2月製造業PMIは改善
＊2月民間部門製造業PMIは低下
＊米投資銀行は新興国売りを助言するものが出てきた
＊コロナ警戒レベル1に引き下げ
＊予算教書は好感された
＊4Q失業率は過去最悪となった
＊＊エスコム社は計画停電を実施する
＊政策金利は3.5％で据え置かれた
＊世銀の21年成長見通しは3.3％
＊南アへの投資は順調
＊南アの財政赤字は対GDP比62.2％
＊経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
＊IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8％に据え置く
＊中銀の20年インフレ見通しは3.84％
(週足切り返す)
ランド円が前週まで3週連続上ヒゲが長く下押ししていたが、7円台割れから切り返し週のボリバン2σ上限へ切り返した。経済指標も好感された。今週は小売売上、企業信頼感、消費者信頼感などの発表がある。
(9か月連続の貿易黒字、2四半期連続の経常黒字)
1月で9か月連続の貿易黒字に続き、経常収支も20年4Qは2四半期連続で黒字となった。
4Qは1978億ランドの黒字。予想の1565ランドの黒字を上回った。経常黒字のGDP比は3.7％で前期の5.9％から縮小した。2020年通年では1080億ランドの黒字、2019年の1530億ランドの赤字から大きく改善した。
(強い4Q・GDP）
4QGDPは前期比6.3％増加した。予想は5.0％増加。製造業、建設業、卸売り・小売り業が拡大した。ロックダウンは緩和されたが、欧米に比べてワクチン接種が遅れており、感染再拡大や封鎖措置再導入のリスクは残されている。
2020年のGDPは、前年比7.0％減。マイナス成長は12年ぶりで、落ち込み幅は戦後最悪となった。新型コロナウイルス対策による厳しい行動制限の影響で、2Qの経済活動が激しく落ち込んだことが影響したと分析している。
（最強の株価）
南アの株式指数は絶好調で年初来14.81％高。コロナ禍から世界景気の回復、とりわけ貿易依存度が高い中国の高い経済成長に恩恵を受けている。ただ金の下落を始め昨年ほどの資源価格の上昇はない。一方原油価格は上昇しているので非産油国の南アのインフレは上昇するだろう。
(大手投資銀、新興国市場エクスポージャー縮小助言も南ア市場は回復）
複数の大手投資銀行が新興国市場へのエクスポージャーを減らしていると表明。モルガン・スタンレーは通貨・債券への見方をこの2週間で2度引き下げ、通貨は4-5％下落するとしたほか、債券については投資適格級債券への資金移転を勧めた。米国債利回り上昇に伴う小幅な許容誤差に触れ、新興国通貨・債券に対するニュートラルな見方に「ダウンサイドリスク」があると警告した。
ゴールドマン・サックスは米国債利回り上昇に伴う圧力が続くとし、商品市況の影響を受けやすい通貨の保有を警戒した。
しかし実際のところは新興国の金利は上昇したが、通貨は安定、株価は強い。
テクニカル分析（ランド/円）
ボリバン2σ下限から上限へ反発
日足、ボリバン2σ下限から上限へ反発。3月11日-12日の上昇ラインがサポート。2月24日-3月12日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足、3週連続で上ヒゲが長かったが7円を完全に下抜けず2月22日週-3月1日週の下降ラインを上抜いてボリバン2σ迄上伸。1月25日週-3月8日週の上昇ラインがサポート。
月足、21年1月-2月の上昇ラインがサポート。20年1月-21年2月の下降ラインが上値抵抗。そこまで上伸してきた。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。今年は陽転。
喜望峰
ワクチン変異型への対応急ぐ、「南ア型」を危惧
新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に向けて、変異型の対応が焦点になってきた。変異により現在接種が始まったワクチンの効果が弱まる可能性があるからだ。最も感染力が高いとされるのが南ア型だ。この変異型はワクチンの有効性を弱める可能性がある。
南ア型の流行前に治験を終えた米モデルナや米ファイザーなどのワクチンも、南ア型では防御効果が下がるとの実験結果が出ている。
英オックスフォード大学と英アストラゼネカが開発したワクチンも、南ア型には効果が低いという研究報告が出た。緊急使用許可を出した世界保健機関（WHO）は一定の効果はあるとして使用を推奨するものの、南ア政府は購入済みの同ワクチンを使用しない方針を決めた。
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