総括
リスク回避でもかつての脆さはない、9か月連続貿易黒字で支える
「通貨10位、株価首位」
「予想レンジ 南アランド円 6.9-7.4」
（ポイント）
＊予算教書は好感された
＊先週は世界的リスク回避の流れで南アランドが売られた
＊南ア株価指数も売られたが依然世界最強
＊4Q失業率は過去最悪となった
＊今週はアブさとマークイットのPMIの発表がある
＊南ア初の中国系大臣と国会議員が誕生
＊貿易収支は9か月連続黒字
＊エスコム社は計画停電を実施する
＊政策金利は3.5％で据え置かれた
＊南ア発のコロナウィルス変異種が世界に拡散している
＊従来のワクチンが南ア変異種に効くかどうかは意見が分かれる
＊世銀の21年成長見通しは3.3％
＊南アへの投資は順調
＊南アの財政赤字は対GDP比62.2％
＊経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
＊IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8％に据え置く
＊中銀の20年インフレ見通しは3.84％
(世界的リスク回避で売られるも貿易黒字で支える）
南ア自体の本来の中味は変わっていない（強弱材料双方あり）が2月中旬からの新興国のトルコの下落や、先週の世界の株の全面安で外部要因からのリスク回避の流れに勝てず、反落した。ただ2月は一時最強通貨となったこともあり月足陽線は維持した。南ア株式市場も下落したが年初来11％高で世界で最強だ。
外部要因としてのリスク回避で売られたが、貿易黒字は1月で9か月連続の黒字。かつての貿易・財政の双子の赤字からは解き放たれ、通貨・株価ともに暴落のイメージは小さくなっている。今週はアブサ製造業PMI、マークイトのPMIが発表される。
＝チャートは南アの貿易収支＝
（予算教書は好感された）
注目の予算教書では、ムボウェニ財務相は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年3月末に開始したロックダウンによる経済の打撃からの急回復を挙げた。
2021年の実質GDP成長率は、2020年のマイナス7.2％から、3.3％のプラス成長に回復するとの予測を示した。財政状況は、新型コロナウイルスの影響を受けて、2020／2021年度の財政赤字は過去最悪となるGDP比14.0％に悪化する。2021／2022年度以降は主に公務員賃金上昇の抑制などを通じて歳出拡大を抑えていく。また、個人所得税の5％引き上げ、たばこや酒類にかかる物品税の8％引き上げなどの増税策を発表した。これで公的債務のGDP比のピークが前回の中期予算方針の予測より減少すると発表されたことは、さらなる格下げを遅れさせる効果をもたらすだろうと見られている。
（予算教書評価）
フィッチは、南アが財政健全化に向けなお「厳しい課題」に直面していると指摘。
コメルツバンクは「成長見通しが脆弱な中、公的財政が引き続き極めて厳しい状況に置かれていることは看過できない」とした。
（失業率、20年4Qは32.5％ コロナ禍で過去最悪）
2020年4Qの失業率は32.5％と、前四半期の30.8％から上昇し、08年の統計開始以来最悪となった。新型コロナウイルス感染拡大による影響で、失業者数は720万人に達した。統計局は、労働者を吸収できるほど十分な雇用が創出されていないとしている。
総雇用者数は前年同期比で140万人減。一方、経済的に活動していない人の数は150万人増加した。
テクニカル分析（ランド/円）
ボリバン2σ上限から急落し下位へ
日足、ボリバン2σ上限から急落し下位へ。1月28日-2月26日の上昇ラインがサポート。2月25日-26日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、2週連続陰線、2週とも2σ上限から反落、長い上ヒゲ。2月1日週-22日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上位。
月足、2月は陽線も上ヒゲ長い。21年1月-2月の上昇ラインがサポート。20年1月-21年2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。今年はここまでほぼ寄り引き同時。
喜望峰
中国系国会議員の誕生
ラマポーザ大統領の新たな大統領府大臣と国会議員に中国出身の帰化女性党員であるシァオメイ・ヂャン・ハヴァードを指名された。外国、とりわけ中国出身者の国政参入を嫌う国民から、激しい反発の声が挙がっている。
前任大臣で国会の院内総務を務めたジャクソン・ムセンブ議員は新型コロナウイルス感染症で1月21日に急逝。シァオメイ・ヂャン・ハヴァードは次期議員の有力候補で、党執行部の指名により、1月27日、故ムセンブ氏の議席と大臣職を同時に引き継いだ。彼女は華人初の南アフリカ国会議員となり、健康ポートフォリオ委員会の委員として、新型コロナウイルス感染症対策などに取り組む。
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