以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
フリーアナウンサーとして、為替アナリストや個人投資家とのつながりもある大橋さんに、ポジション管理のポイントや、トレーダーとして「鍛えられた」過去についてお聞きしました。
▼目次
1.「資金管理」=「ポジション管理」
2.レバレッジが高いときは、含み益の時
3.デイトレードは逆張り
4.エントリーポイントは15分足で決める
5.アンチに鍛えられたトレードセンス
「資金管理」=「ポジション管理」
編集部:- 本日はよろしくお願いいたします。
大橋:- よろしくお願いします♪
編集部:- さっそくなんですが、大橋さんが重要視している「資金管理」についてお聞きしたいと思います。
大橋:- ずばり「資金管理」というのは「ポジション管理」とイコールであると思っています。
編集部:- おお。もっと難しいお話をされるのかと思っていましたが意外です。ではもう少し具体的に教えてください。
大橋:- 利益を狙ってポジションを持ってみたものの、なかなか自分の思惑通りに為替レートがいかないことってあると思います。
編集部:- はい。持ったポジションの反対方向に行ってしまう経験、よくあります(泣)。
大橋:- これはトレードしていれば当然起きることです。 なので思惑と反対方向に行ったら、(損失を)恐れずにどんどん損切りを行うことです。 これが「資金管理」につながります。
編集部:- どんどん、ですか・・・。 逆にナンピン買いなどをしたくなる状況かと思いますが。
大橋:- ナンピンは絶対ダメです。 もしご自身のトレード方針に自信があったとしても、含み損になったポジションは一度カットして、相場が思惑通りになってきたら新たにエントリーすることを心がけてください。結局同じ方向のポジションだったとしても、です。
編集部:- ・・・正論過ぎてグウの音も出ない・・・。ただ、大事だと分かっていても実行できないのが人のサガなのです・・・。
大橋:- 「結局同じ方向にポジションを持つのだから、我慢すればいいじゃないか」とか「一回カットしてから再エントリーすると、スプレッドのコストがかかるので嫌だ」という方もいらっしゃるんですが、一度カットすることは投資で利益を上げるための「必要なコスト」だと考えてください。
編集部:- 「コスト」という発想は、新鮮に聞こえます。
大橋:- はい。 私は、これまで様々な個人投資家やディーラーの方々とお会いしてきましたが、いわゆる「勝ち組」の方は早めの損切りをしっかりやっていますね。 なので、ポジションをコントロールする意味で、カットすべきポジションはどんどんカットすること。含み損が拡大し、決してレートが戻らないこともあるんです。含み損が拡大するリスクと、そのリスクを抱え続ける精神的苦痛のほうが損失として甚大です。健全なトレードを繰り返すことが重要ですので、ひとつのポジションで粘らないことですね。
編集部:- 「コスト」という考え方は、納得はするのですがなんだか後ろ向きに聞こえてしまいます。 もうすこし前向きに考えられると良いのですが・・・。
大橋:- ではこう言い変えましょう。 なにか事業を始めるときは、なんでも「初期投資」「初期費用」がかかりますよね。 それと同じで、将来自分がマーケットから利益を得るための「先行投資」と思いましょう。
編集部:- 「先行投資」と捉える。うん、だいぶポジティブに感じられるようになりました。
大橋:- 外為どっとコムさんは、ほとんどの通貨ペアが1000通貨から取引できるので、まずは小さくポジションを持ちましょう。ポジションが小さければ、損失を怖がりすぎることもないと思います。 まとめると、資金管理はポジション管理。相場が思惑の逆にいったらすぐ損切り、です。 このように決めて売買を繰り返し、たくさん経験して自分に合ったトレード方法をみつけ、FXのマイルールを構築していきましょう。
レバレッジが高いときは、含み益の時
編集部:- 含み損のときにナンピンは絶対しないとのことですが、反対に含み益の時にポジションを増やす、増し玉をすることはありますか。
大橋:- とても強いトレンドが出ているときは、あります。 利益を伸ばせるとき、いかに大きく取るかということが重要です。 ですから私は、含み益が増えるほどポジションを増やしていくので、証拠金リスクが上がっていくということになります。 リスクをとっている状態が、利益が乗っている状態でもあるので、精神的にも安定しています。 強いトレンドが出ている分かりやすい相場になったのに、ポジション量がいつもと変わらなければ、利益をふくらませることができません。
編集部:- 比較的ハイレバレッジのときは、含み益の時なのですね。なるほど。
大橋:- 初心者の方で証拠金比率が高まるときって、ナンピンして含み損が多いときなんですよね。これでは投資資金に危険が及びます。 個人投資家にとって一番悪い状況だと思いますので、読者の皆さんはぜひ見直してみてください。
デイトレードは逆張り
編集部:- 大橋さんのトレード期間についてお聞きします。
大橋:- 基本は数日、数週間での値動きを狙うスイングで、ときどきデイトレードですね。
編集部:- 取引期間の切り替えは、どのようにして決めているのですか?
大橋:- そこははっきりしていて、デイトレ―ドにする取引は「逆張り」です。 スイングはトレンドフォローが基本で「順張り」ですが、例えば上昇トレンドが強すぎて1回押し目を作りそうだなってとき、あるじゃないですか? そのわずかな戻り幅で利益を取ろうとするときにデイトレ―ドにしますね。
編集部:- トレンド判断のなかで、期間を決めているのですね。 あと、損切りのタイミングはどのように決めているのですか?
大橋:- エントリータイミングはチャートを見て決めています。 なので、損切りのタイミングもチャートで決めていますね。 直近の高値や安値を割ったらすぐに損切りするようにしています。
エントリーポイントは15分足で決める
編集部:- 大橋さんがローソク足で見ている足種はなんですか?
大橋:- 基本は日足です。そのうえで、4時間足、1時間足、15分足の順番で見ています。 FX初心者の方は、まず日足チャートを見るようにしましょう。
編集部:- スイングトレードがメインなのに、15分足を見ているのはなぜでしょう。
大橋:- より有利なレートでエントリーするためですね。 日足など期間が大きい足では、足が確定するまで値動きがあった際に、有利なレートで注文が出せないかもしれない。 わずかなロスをなくすために、エントリーポイントだけは15分足を活用しています。
編集部:- やはりチャートの値動き分析って重要なのですね。
大橋:- 慣れてくるとチャートから距離を保っていてもトレードができるようになりますが、最初のうちはある程度見る時間が必要だと思います。
アンチに鍛えられたトレードセンス
編集部:- ここまでお話を聞き、大橋さんが「損小利大」のトレードを徹底されていることが分かりました。 これって、トレードを初めたころから出来ていたのでしょうか。
大橋:- いやー、最初からじゃないですよ(笑)。 私は、投資ブログを10年以上続けているのですが、投資を始めたころ、ブログへ相場にアゲインストなポジションを持っていることを公開していたんです。 そうしたら、そのブログ記事に辛辣なレスが届くようになりまして・・・。
編集部:- きつ・・・。っていうか、大橋さんにもアンチがいるんですか!?
大橋:- います、います(笑)。 それで、嫌味なコメントを見るのは気分が悪いのですが、考え直して「ポジションをさらして結果が出ていない以上は、自分の手法を見直さなければならない」と思うことにしました。
編集部:- ある種、アンチに気づかされた、みたいなところもあるんですね(笑)。
大橋:- ええ。初めのころは、ほんとヘタクソだったので(笑)。 あとインターネットは様々なコメントが来るので怖いなぁと思うこともありました。 ただ自分のトレード手法が定まっていなかった時期だったで、今思えばありがたかったですね。 上手く利益が出せていない時は、どこかでスイッチを切り替えなければいけないと思いますので。
編集部:- そんな、イヤな想いをされたインターネットですけど、その後はしっかり活用をされ、大橋さんはTwitterのフォロワーが5万人を超えていらっしゃいますね。 FX初心者の方々には、SNSの情報が多すぎて活用しきれていない方もいると思いますが、このあたりについて アドバイスをいただければと思います。
大橋:- 例えば、Twitterで「今、***を買った」「今、***を売った」など、特定の通貨ペアや銘柄の取引情報をたくさんツイートしている人は、あまりアテにならないと思っています。
編集部:- え、そうなんですか!?分かりやすくて良いと思っていましたけど・・・。
大橋:- 売買に関しての情報は、完全にコピートレードができなければ利益追求の再現性は低いですし、もし、とてもすごい情報を発信してくれる人がいても、その人が情報発信をやめてしまったらお終いです。 自分でトレードのスキルを身に着けないと本当の勝ち組にはなれません。
私は、ニュースを引用しそれに対しての自身の意見を発信するアカウントを参考にしていますね。 同じニュースでも、私と受け止め方が違う、とか。こんな考え方あったんだ!とヒントになります。 そして、自分のトレードにどう織り込むか考える。結局は投資は自己判断です。 誰かに言われてトレードするものではないですね。
ためらいなく損切りを行う必要性について、熱く語っていただけました。長期間個人投資家として成果をだされていた大橋さんの言葉は説得力が強かったです。
(中編へ続く)
【過去出演動画】
大橋 ひろこ氏
フリーアナウンサー/ナレーター/個人投資家。福島県出身。アナウンサーとして経済番組を担当したことをきっかけに自身も投資を始め、現在では個別株、インデックス投資、投資信託、FX、商品先物と幅広く投資している。個人投資家目線のインタビューに定評があり、経済講演会ではモデレーターとして活躍する。自身のトレードの記録はブログで赤裸々に公表しておりSNSでの情報発信も人気。一時期は海外映画やドラマの吹き替えなど声優としても活動していたが、現在は経済番組に専念。現在ラジオNIKKEIなどで経済番組レギュラーを多数抱え、キャスターとしても多忙な日々を送っている。