総括
大統領復活。通貨最弱脱出。原油高と貿易黒字で支える
予想レンジ 5.0-5.5
(ポイント)
*政策金利は0.25%引き下げられ4.0%へ
*原油価格上昇と貿易黒字でペソを支える
*コロナ感染は深刻で死者数はインドを抜いて3位となった
*12月で鉱工業資産は21か月連続減少
*政府の国営電力事業保護でUSMCAと国内から不満
*2020年国内総生産(GDP)暫定値は前年比8.5%減
*12月貿易収支は62.62億ドルの黒字、7か月連続の黒字
*2020年の海外からのメキシコ国内への送金は過去最高
*12小売売上は前月比で改善も前年比では悪化
*消費者物価、1月前半は3.54%上昇
*ロシアからコロナワクチン2400万回分供給受ける計画
*バイデン新政権で移民規制が緩和される
*外部要因が強い(貿易、被仕向送金、原油高など)が国内は脆弱
*対米貿易依存度が頗る高い
*経常収支は3Qに史上最大に
*国内要因は弱い
(政策金利引き下げ、昨年9月以来の利下げ)
メキシコ中銀行、政策金利を4.25%から4.00%に引き下げた。利下げは昨年9月以来。同国で新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で経済見通しの不透明感が続いている。予想通りの引き下げでペソ相場に影響はなかった。
中銀は、国内のインフレを巡るリスクバランスは経済活動の見通しと同様に不透明だと指摘。一方、経済のリスクは下向きに傾いているとした。
声明では「コロナの感染増加、ワクチンの生産・流通の遅れ、財政刺激策の規模、その他の緊張関係など、世界的にリスクが広がっている」との認識を示した。
(大統領復活。原油高と貿易黒字で支える)
コロナウィルスに感染していたロペスオブラドール大統領が回復し記者会見を行った。21年の実質経済成長率について「5%伸びると思う」との見方を示した。ただ、民間の見通しは3.74%になっておりギャップがある。2月のペソ回復は安定要因ではないが、米国個人投資家(ロビンフッド)の買いで銀価格が2月1日に9%高と8年ぶりの高値を付けたことを受けた(2月2日は急落、米国個人投資家の動きでボォラティリティーが高いので注意したい)。メキシコは世界最大の銀生産国である。また在庫減少や世界的な需要継続への期待を背景に原油価格が上昇したこともペソを支援した。
さらに、外国からメキシコへの2020年の送金額が19年比11%増の406億660万ドルとなったことも好感された。増加は7年連続で、過去最高を更新した。
(1月消費者物価)
1月消費者物価は前年比3.54%の上昇で前月の3.15%や予想の3.46%を上回った。食料品とエネルギー価格が上昇した。
(12月鉱工業生産)
12月鉱工業生産は前年比で2.1%減少、前月は3.7%減。これで21か月連続で前年比減少。
(1月消費者信頼感)
1月消費者信頼感指数は38.4と12月の38.1から上昇。ただ景気回復の目安の50を大きく下回っている。
(1月の車生産、輸出、販売減少 コロナ感染と半導体不足)
1月の自動車生産台数は27万8711台と、前年同月比15%減少した。前年の水準を下回るのは4カ月ぶりとなった。世界的な半導体不足が原因で、独アウディなどが減産を余儀なくされた。
1月の輸出台数は22万3533台と、前年同月比6%減少した。4カ月ぶりに前年の水準を下回った。
1月の国内新車販売台数が前年同月比23%減の8万1203台だったと発表した。11カ月連続で前年同月を下回った。新型コロナウイルスの感染の勢いが強まり、首都圏を中心に自動車販売店が営業を停止した影響が出た。
(米国、メキシコの電力産業法改正法案の撤回要求)
米国商工会議所は、メキシコ政府が国会に提出した電力産業法改正法案への懸念を伝えた。電力改革法案は非常に懸念される内容であり、この劇的な変更は電力セクターにおける独占復活への道を開くものとなり、メキシコが米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で約束した内容に直接的に背くものだと批判。さらに、法改正は「メキシコの電力コストを大幅に引き上げ、クリーンエネルギーへのアクセスを閉ざすものだ。とした。
(メキシコ、中国シノバックとカンシノ製コロナワクチンの緊急使用承認)
メキシコ保健省は、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)とカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認したと発表した。コロナワクチンが世界的に不足し、各国で争奪戦となる中、メキシコは中国製ワクチンの投入により接種を加速させる方針だ。
テクニカル分析
雲とボリバン下限から反発ボリバン上位へ
日足、2月8日-10日の下降ラインを上抜く。2月10日-11日の上昇ラインがサポート。ボリバン中位を越える。雲の上。
2月3日-4日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。2月1日-4日の上昇ラインがサポート。ボリバン下位。かろうじて雲の上。
週足、雲上。ボリバン上位、かろうじて雲の上。1月25日週-2月1日週の上昇ラインがサポート。1月18日週-2月1日週の下降ラインが上値抵抗だが現在ライン上。
月足、雲下での推移が長い(2016年1月以来)。ボリバン中位での揉みあい。20年2月-1月の下降ラインが上値抵抗。20年9月-10月の上昇ラインがサポート。
年足。15年-20年の上昇ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲは長く21年は僅かに陽転。
VAMOS MEXICO
ソフトバンクGの中南米ファンド、今年は10億ドルの投資目指す
ソフトバンクグループは今年、中南米に特化したファンドから約10億ドルの投資を目指す。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、中南米のテクノロジー企業では成長が加速している。 中南米ファンドのマネジングパートナー、パッソニ氏は「現在は数多くの機会に目を向けており、農業技術関連の企業も含まれる」と説明した。
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