総括
政策金利決定の前の消費者物価に注目
「通貨最下位、株価2位」
「予想レンジ 南アランド円 6.5-7.0」
(ポイント)
*今週は消費者物価、小売売上、政策金利の発表がある
*世銀の成長見通しは3.3%
*今年は資源価格が下落している
*12月アブサ製造業PMIは悪化
*従来のワクチンが南ア変異種に効くかどうかは意見が分かれる
*人口の約6割にコロナワクチン接種へ
*11月貿易収支は367.2億ランドの黒字
*3Q・GDPは前期比66.1%増
*南アへの投資は順調
*予想通り格下げされる
*南アの財政赤字は対GDP比62.2%
*すべての国との往来を解禁
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8%に据え置く
*中銀の20年インフレ見通しは3.84%
*コロナ感染者数は世界12位
*電力供給は不安定
(市況、下げ止まり)
依然、通貨は安く株価は強い。ただランドも週初に対円最安値の6.65をつけたあとは6.80台へ戻している。南ア発のコロナ変異種の世界拡散で売られてきた動きも一服した。テクニカルでもボリンジャーバンド下限から反発した。
今週は政策金利の決定があり3.5%で据え置きの見方が多い。ただ会合の前に消費者物価と小売売上の発表があり、これが弱ければ、利下げ観測が強まる。
(政策金利)
今週は南ア中銀の政策決定会合がある。ロイター調査ではエコノミスト30人中17人が政策金利の据え置きを予想。3人は0.25%の引き下げを予想した。
新車販売台数や製造業生産など、最近発表された指標は4Q経済が振るわなかったことを示している。
今年の消費者物価指数上昇率の予想平均は3.8%で、中銀が望ましいとするレンジ(3-6%)の中央値を下回った。
政策金利の長期予想は、来年が4.0%、2023年が4.5%となった。
(12月消費者物価)
予想は前年比3.1%で、11月の3.2%を下回る。コロナ感染拡大前の2月は4.6%であった。
(11月小売売上)
予想は前年比3.9%減少。10月は1.8%減少であった。現在7か月連続前年比で減少中である
(ワクチン)
ラマポーザ大統領は1月11日、2000万回分の新型コロナウイルスワクチンを確保したと表明し、市場心理が一時改善したが、ワクチンの到着時期などに関する情報は依然として乏しい。南アの過去1週間の1日当たりの新型コロナ感染者数は2万人に増大、流行第一波の水準を上回り、医療体制はひっ迫している。新型コロナ禍からの景気回復が難航すれば中銀の姿勢が変わるとの見方から、数カ月以内の利下げを予想する声もある。
(資源下落)
今年は昨年と異なり資源価格の上昇がない。南ア関連の資源価格推移は以下の通り
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン上限から下限へ下落して反発
日足。かろうじて雲の上。ボリバン下限より反発。1月12日-15日の上昇ラインがサポート。1月5日-15日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く。
週足。雲の上に出るも12月21日週-28日週の上昇ラインを下抜き下落。9月28日週-1月11日週の上昇ラインがサポート。かろうじて雲の上。
月足。5か月連続陽線だがまだ中位を越えたところから下落。11月-12月の上昇ラインを下抜く。20年1月-12月の下降ラインが上値抵抗。10月-11月の上昇ラインがサポート。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
世銀のサブサハラと南アの成長見通し
世界銀行は2021年のサブサハラ・アフリカ地域(以下、サブサハラ)の実質GDP成長率見通しを2.7%とし、2020年6月の前回発表の3.1%から下方修正した。2020年の成長率についても、前回発表より0.9ポイント低いマイナス3.7%とした。2022年については、2021年を上回る3.3%との予測を示した。
下方修正の理由として、現在も一部の国では新型コロナウイルスの感染拡大が収束していないことが、経済活動の回復に遅れをもたらすとした。また、世界的な資源価格の低迷を受け、特に産油国であるナイジェリアや南アなど資源輸出国で経済回復が遅れるとの見通しを示した。さらなる押し下げリスクとして、中国以外のアフリカの主要貿易相手国が、新型コロナのワクチン投与の遅れにより収束に時間を要し、経済再生に時間がかかる恐れがあることを指摘した。サブサハラ域内においても、脆弱なインフラや物流面などは、大規模なワクチン投与の障壁になるとした。
サブサハラ域内経済規模2位の南アは、新型コロナの感染拡大が依然として続き、2021年は、前回発表より0.7ポイント低い3.3%の回復にとどまるとした。
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