元予備校講師の「ういおP」さんは、SNSやツイッター、ブログなどで情報発信しているトレーダーのトレード結果を分析し、成功しているトレーダーの取引を“分析”することで、FXトレードを始めてわずか1年で専業トレーダーになった強者。後編では、コロナ禍もあり、活動自粛で外出もままならなくなった今、普段の生活や健康管理などについても伺いました。
(この記事は2021年1月7日に掲載した記事名『元予備校講師から“トレーダー”になった「年間2万4,000回のトレード、疲れた心はロードバイクで気分転換」トップトレーダーに聞く!(後編)』を一部修正したものです)
ういおPさん プロフィール
年齢性別:30代男性
職業:専業トレーダー
収支:約6年間(2015年~2020年)で5,000万円超(外為どっとコムのみでのFX取引収支)
趣味:ロードバイク(愛車はSpecialized S-WORKS TARMAC SL7)
▼目次
1.予想はしないで相場に乗る
2.取引回数の多さが自信をもたらす
3.健康維持のためにロードバイク
4.“No Rule No Position”
5.FXが動かない時期に株をスタート
6.FXのノウハウで不動産投資もスタート
7.FXは仕事
8.成功しているトレーダーの成功パターンを分析し、自分のルールをつくる
投資本の見出しに惹かれて、予備校講師と兼業でスタート
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編集部: - 多くの人はルールを破って、トレードを間違ってしまうわけですが、ういおPさんがしっかり守れるのは精神力の強さでしょうか?
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ういおP: - う〜ん、精神力の強さというよりは、予想にこだわるほど損失を発生させてしまうケースが増えてしまうことを身をもって体験しているからこそ、自身で定めたルール「予想はしない」を徹底できているのだと思います。
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編集部: - それは「あくまでも相場に乗る」っていうことですか?
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ういおP: - 自分が相場は「上昇傾向だ」と思って、相場が「下落傾向」にあるにもかかわらず、それでも「上」で持ち続けるのは、自分が間違えているのであって、常に相場が正しいと思っています。
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編集部: - だから、ポジションは持ち越さないと?
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ういおP: - そうですね。すごく稀にですが、本当に「抜けたな」と思ったら、その時は「逆指」を入れて寝ます(笑)。
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編集部: - 通貨ペアを増やすつもりもないですか?
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ういおP: - そうですね、ルールが作れたら、広げていく可能性はあります。通貨ペアは基本的に米ドル/円なんですが、ただ、ポンドがあれだけ動くと、ポンドの取引も魅力的に感じています。
取引回数の多さが自信をもたらす
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編集部: - FXを始めて、わずか1年後に専業になられています。専業になることに不安はなかったですか?
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ういおP: - 1日100回以上のポジションを取っていました。それが20営業日だと2000回になります。1年なら2.4万回です。これだけの回数を重ねるならば、自分の手法の期待値は高いし、最終的にはプラスになるというのが分かるわけです。だから不安はなかったです。
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編集部: - おーっ、さすが!
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ういおP: - トレード回数が少ないと、たまたま利益が出ただけかもしれない。でも、2万回以上ポジションを取り、売買を繰り返し、結果として利益が出ているわけです。3回サイコロを振って、6が連続でたまたま出たのか、それとも2万回振った結果なのか、もう数学の確率論と一緒です。“期待値”的に不安はなかったですね。
健康維持のためにロードバイク
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編集部: - ここで質問を変えますね。平日はトレードで部屋の中に缶詰になられているトレーダーさんが多いと思いますが、何か健康維持のために実践している事柄はありますか?
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ういおP: - 新型コロナが発生してから、外出もままならず、人とのコミュニケーションも取りにくくなり、ジムに行って、トレーニングもしにくくなりました。そういうこともあって、健康の維持・管理も兼ねて、普段の移動手段としてもロードバイクを購入しました。Specialized(スペシャライズド)というブランドの“S-WORKS TARMAC SL7”というバイクです。7月末に売り出された最新モデルで、注文してから届くまでに1カ月以上待ちました。軽くて、速いですよ(笑)
健康維持のための運動を兼ねてロードバイクで移動するういおPさん
出先ではスマホで相場をチェックすることも
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編集部: - 普段、出かけられるときはロードバイクですか?
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ういおP: - そうですね。この後、ショップに注文していたサイクルコンピュータが届いたので、インタビューが終わったらロードバイクで取りに行きます(笑)。
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編集部: - ところで、どのような環境でFXトレードをされているのでしょうか?ロードバイク並みにハイスペックですか?
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ういおP: - 最初の頃はノートパソコン2台で片方にチャートを表示させて、もう片方で売買をしていました。ただ、今はデスクトップ複数モニターを活用しトレードしています。そこにはMT5や株式情報なども表示させています。
“No Rule No Position”
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編集部: - 振り返ってみて、予備校で教えていたときと、専業トレーダーになってからと、生活に変化はありましたか?
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ういおP: - 生活はほとんど変わらないですね。スーパーマーケットで値段を気にしなくなったくらいですね(笑)。投資で増えたお金は、また投資に投入するわけですしね。
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編集部: - 予備校から定期的な“定額収入”がなくなったので、投資用の資金、生活用の資金を、運用益から用意されていると思うのですが、資金管理はどうされていますか?
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ういおP: - ある程度の利益が出たら生活費に回すというやり方です。金額は運用成績で変わります。
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編集部: - 年間の収支目標額はありますか?
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ういおP: - 特にありません。“ルール”が使えるタイミングがきたときにポジションを取る。そのタイミングがこなかったら、一日中“ノーポジ”でも全然かまわない。このスタンスは始めたころから変わらないです。
FXが動かない時期に株をスタート
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編集部: - 株式投資はどういうきっかけで始めたのですか?
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ういおP: - 為替相場が全然動かなくなった時期がありましたよね。そのときに始めました。おかげさまで株もプラスです。
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編集部: - 株式投資の手法は?
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ういおP: - FXと同じですね。ニュースが流れてきて、材料が出たときに分析して、売買を決めます。長く保有はしないで、どんどん入れ替えるように売買する感じですね。例えば、“Go To Eat”が流行っていると思ったら、安い居酒屋の月次の結果がいいかもしれないと思い、そういうものを仕込むというスタイルですね。長期は運用が難しいから、あきらめています。
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編集部: - 一日の過ごし方を教えてください。
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ういおP: - 何も予定がない日は、起きている時間のすべてをトレードにあてています。ポジションを持たなくても朝8時から夜2時まで相場を見ています。MT4でアラートをかけていて、もし、相場が動いたら、いつでも飛び起きられるようにしていますが、これはいうほど楽じゃないです。専業なので、休もうと思ったら、まあ1年でも2年でも休めますよね。労働時間も自分の裁量でいいわけです。その点は専業のいいところだなと思います。最近は土、日に遊ぶようになりました。
FXのノウハウで不動産投資もスタート
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編集部: - 今は驚くべき好成績を収めているFXトレードですが、投資に絶対はありませんから、もしかするといつの日か、うまくいかなくなる日がくるかもしれません。そのときの準備はしていますか?
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ういおP: - そういうことも念頭にあります。ボラがまったくなくなったら、FXはどうしようもないですし、業者環境が悪くなったりする可能性だってゼロじゃない。利回りは厳しくても、不動産などの別の投資対象にまで手を広げることが必要かなと思います。私は専業トレーダーとなり無職の期間が長すぎるから、私には投資しかないです。正直に言えば、実は不動産投資はもう始めています。
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編集部: - そうなんですね。どんな物件を買いましたか?
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ういおP: - 友人の紹介で北陸に投資用不動産を買いました。利回りが高く、人口密度や空室率もそんな悪くなかったので、デモトレードみたいな感覚で運用をスタートさせました。不動産投資の実績をつくるまでは、金融機関からの融資が引けないので、法人を設立して事業化する計画を立てています。不動産投資でも、やっぱり、もうかっている人の“分析”です。FXでのノウハウを不動産投資でも使っています。
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編集部: - スポーツ選手が、目標とする選手をマネすることで一流になっていくのに似ています。最近、人気のある「暗号資産」などはいかがですか?
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ういおP: - 数年前のブームのときにやりました。相場に関しては、トレーダーたちのTwitterをたくさんフォローしていて、「この投資商品が今“おいしい”」という情報がいっぱい入ってきます。実際に利益をあげている人たちがいるので、しっかりと分析すれば似たような好成績を追求できると思います。これはFXで勝っている人のパターンを分析するのと同じことです。
FXは仕事
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編集部: - どこまでやったら、引退しようというのはありますか?
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ういおP: - 利益追求できる限りは続けていきたいですね。金額目標を立てて、それを達成したら終わりにするのではなくて。ただ、年々相場に向かう時間は減っていくんじゃないかな。
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編集部: - FXのボラティリティ減少の可能性と、相場が動かなくなったときに代替する投資商品を選び、運用を始めて次の準備をしている人は、なかなか少ないかもしれないです。ういおPさんはFXトレードが楽しいですか?FXのボラティリティ減少の可能性と、相場が動かなくなったときに代替する投資商品を選び、運用を始めて次の準備をしている人は、なかなか少ないかもしれないです。ういおPさんはFXトレードが楽しいですか?
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ういおP: - いや、楽しくないです。本当に自分のルール通りのものが出てきたら、ルール通りにポジションを持つだけですから。それを何年も続けていると、さすがに楽しくなくなってきます。パソコンのモニターに表示されたチャートに張り付いているより、みんなでお酒を飲んでいるほうが絶対に楽しいですからね(笑)。
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編集部: - つまり、「FXは仕事である」と割り切っているわけですか?
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ういおP: - 私にとっては、お金もうけの手段ということです。だから本当は、株でも、FXでも、暗号通貨でも、不動産でも、なんでもいいのです。
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編集部: - 「何億円の豪邸を建てよう」なんていう野望もないのでしょうか?
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ういおP: - 正直、自分には物欲がないみたいで、特に欲しいものはないんです。洋服も1,000円のTシャツに短パンですからね(笑)。ただ、ロードバイクだけは、かなり高額のものを買ってしまいました。それと、今は稼いだお金は、株に投資していますからね。
成功しているトレーダーの成功パターンを分析し、自分のルールをつくる
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編集部: - 最後になりますが、25歳のサラリーマンから「専業トレーダーになりたいです」と相談されたらなんと答えますか?
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ういおP: - 儲かっている“風”を装っている人がたくさんいます。そういう人たちに惑わされないようにすることは大事です。「チャートをずっと見ていたら成功しますよ」みたいな言葉を“真に受ける”と、本当に大切な時間をムダにしてしまう可能性が高いです。「戦略を持って、こう戦うのだ」というマイルールを決めて投資することが大事です。教科書通りにチャートを見て、ただMACDやRSIの数値だけを見て売買のタイミングを決めていたら、きっと上手くはいかないでしょう。そうではなくて、本当に勝っている人の勝ち方を分析したほうが効果的です。もっと言えば、自力で勝つ手法を発明するよりも、すでに発明した人たちの勝つ方法を活用するんです。設計図はネット上に無料で転がっていますから自分で図面を引く必要はないんですよ。
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編集部: - なるほど、そして、それを続けられるかですね?
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ういおP: - 自分はたまたまFX投資が上手くいったから、こうやって、インタビューを受けていろいろと言っていますが、万人の人にお勧めできるかというと、正直「どうかな」と思っています。いくらやっていても、何のスキルも身に付かないことがありますから。厳しい言い方になりますが、自分にも言い聞かせる意味でやっぱり投資は利益を出さないと意味がありません。例えば、家族との大切な時間を犠牲にしていながら、損失ばかりが増えていったのでは目も当てられません。確かにFX投資には夢がありますし、自分の場合は思い描いていた収支を実現することが現状はできています。だから後悔はありません。ただ、他人に勧めるかどうかと問われた場合には「お金もうけの手段としては、よくよく考えたうえで覚悟をもって決めたほうがいい」と伝えたいと思います。
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編集部: - 今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
(本文ここまで)
FXで素晴らしい成績を収めながら、「もし収入の良い仕事に就いていたら投資は始めなかった」という「ういおP」さん。その言葉の裏側には、独自の投資ルールを確立するために、懸命に情報を収集、分析し、使えそうなルールのシミュレーションを繰り返すという、途方もない努力があったからではないでしょうか。ういおPさんから、しっかりと学習し、それを実践することの大切さをおしえられたように思います。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】