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「ドル全面安の流れに変化はあるか」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年12月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のドル/円ポジション動向
・12月の日・米注目イベント
・ドル/円 12月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のユーロ/円ポジション動向
・12月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 12月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 11月の推移

11月のドル/円相場は103.175~105.671円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.3%下落(ドル安・円高)した。

3日の米大統領選挙でバイデン氏が優勢との見方が広がるにつけドル安が進行。バイデン政権下での財政赤字拡大の思惑や、米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策が長期化するとの観測からドルに下落圧力がかかった。6日には103.175円前後まで下落して約8カ月ぶり安値を更新。

新型コロナウイルスワクチンが早期に実用化される見込みとなった事を受けて、9日にはリスク選好の円売りで105円台を回復したが、リスク選好のドル売り圧力も強く、18日には再び103円台へと押し戻された。

その後も米11月PMIの好結果などでドルが買い戻される場面があったが上値の重さは拭えず、104.354円前後で11月の取引を終えた。

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2日
米10月ISM製造業景況指数は59.3と市場予想(56.0)を上回り、前月(55.4)から上昇。内訳の雇用指数も前回(49.6)から53.2へと上昇した。

4日
米大統領選の開票作業が順次始まり、重要州に位置付けられていたフロリダ州でトランプ氏が優勢となると、米国株先物が一時マイナス圏に転落するとともにドルが急伸。前日のバイデン氏勝利を見越した株高・ドル安の反動と見られる。

ただその後は、激戦州のひとつであるウィスコンシン州でバイデン氏がリードするなど接戦の中でもバイデン氏がやや優位との見方から再びドル売りに傾いた。なお、米10月ISM非製造業景況指数は56.6と予想(57.5)を下回り、前回(57.8)から低下。米10月ADP全国雇用者数も、36.5万人増と市場予想(64.3万人増)に届かなかった。

5日
米大統領選は開票作業が遅れているもののバイデン氏優位との見方から、人民元高・ドル安の進行とともにドルが全面的に下落。ドル/円はストップロスを巻き込みながら103円台へと下落した。

その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに金融政策の据え置きを発表。資産購入額も月1200億ドルで維持した。声明では「経済活動と雇用はここ数カ月で持ち直したが、年初の水準を大きく下回ったまま」、「経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右されるだろう」とした。

6日
米10月雇用統計は、非農業部門雇用者数が63.8万人増、失業率が6.9%と、予想(58.0万人増、7.6%)より良好だった。労働参加率も61.7%と予想(61.5%)以上に上昇した。ただ、米大統領選の結果が投票から3日を過ぎても確定しない異例の事態の中でドルの反応は限定的だった。

9日
米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、数万人が参加した治験において90%を超える予防効果があったとの暫定結果を発表。欧州株や米株先物が急騰する中で円売りが活発化した。

16日
日本7-9月期国内総生産(GDP)・一次速報は前期比年率+21.4%と過去最大の伸びを記録。市場予想(+18.9%)も上回り、4-6月期(-28.8%)から急回復した。

その後、米バイオ医薬大手モデルナは、新型コロナウイルスワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られたと発表。数週間以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するとした。これを受けて欧州株や米国株先物が上昇すると一時105円台を回復したが、一巡後は戻り売りに押されて反落した。

17日
米10月小売売上高は前月比+0.3%と予想(+0.5%)を下回る伸びに留まった一方、米10月鉱工業生産は前月比+1.1%と予想(+1.0%)を上回った。なお、パウエルFRB議長は講演で 「経済は依然として財政・金融政策を必要としている」「バランスシート正常化を考えるのは時期尚早」「FRBの緊急融資制度を終了する時ではない」などとの見解を示した。

23日
米11月製造業PMI・速報値は56.7、同サービス業PMI・速報値は57.7といずれも予想(53.0、55.0)を上回った。ユーロ圏の11月PMIとは対照的な結果となった。これを受けて、ユーロを始めとする主要通貨に対してドルが上昇した。

30日
次期米大統領への就任が濃厚なバイデン氏は、イエレン前FRB議長を次期財務長官として指名する意向を正式に発表した。イエレン氏は「全国民のためのアメリカンドリーム再建に力を尽くす」と表明した。

11月の各市場

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11月のドル/円ポジション動向

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12月の日・米注目イベント

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ドル/円 12月の見通し

ドル/円の師走相場を占う上で最も重要なポイントはドル安の持続性だろう。米国の経常赤字が拡大基調にある点や、米連邦準備制度理事会(FRB)が超低金利政策を長期間維持すると確約している点などから、2020年はこれまでのところ年間を通じてドルが下落しており、ドル/円もその流れに沿って弱含んだ。

そうした構造上のドル安要因は当面解消される見込みはなく、ドルの下落基調も当面続く可能性があろう。ただ12月は例年、米企業のリパトリ(資金還流)などからドルが強含む傾向が見られる。バイデン米新政権の発足がやや不透明な事もあって今年のリパトリは抑制される可能性もあるが、それでも例月よりはドルニーズが強いものと推測される。

その他、海外投機筋からは年末の決算に向けてひとまずポジションを手仕舞う動きが出やすいと見られる。シカゴマーカンタイル取引所(CME)の通貨先物データからも投機筋のドル売りポジションが高水準にある事が示唆されており、きっかけ次第では利益確定のためのドル買い戻しが強まってもおかしくないだろう。

12月のドル/円相場は先安観によるドル売りと、ドルを買い戻すタイミングを見計らう動きが交錯しやすく、神経質な相場展開となりそうだ。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円相場は121.702~125.136円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.1%上昇(ユーロ高・円安)した。3日の米大統領選後に、財政拡大路線のバイデン氏が優勢との見方からドル安が進行するとユーロ/ドルの上昇と連動してユーロ/円も堅調に推移した。

9日には新型コロナウイルスワクチンの早期実用化期待が高まり、リスク・オンの円売り主導で125.136円前後まで上伸。その後、ドル/円の反落に連れて19日に一時123円台を割り込んだものの、ドル安主導のユーロ高の影響で持ち直すと30日には再び125円台に迫った。

ユーロ圏諸国で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、一部の都市では行動制限措置も再発動された他、欧州中銀(ECB)が12月の追加緩和を予告するなど、ユーロの弱材料も少なくなかったが、それ以上にドル安の流れが強かった。

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5日
3日投票の米大統領選は開票作業が遅れているものの、バイデン氏優位との見方から、オフショア中国人民元の対ドル相場が上昇。バイデン氏はトランプ氏ほど強硬な対中通商政策を採らないとの思惑が広がった。人民元高・ドル安の進行とともにドルが全面的に下落する中、ユーロ/ドルは上昇したがドル/円が下落したためユーロ/円は方向感が出なかった。

9日
米製薬大手ファイザーが、独ビオンテックと開発している新型コロナウイルスワクチンについて、数万人が参加した治験において90%超の予防効果があったとする暫定結果を発表。欧州株や米株先物が急騰すると125.136円前後まで急伸した。ただ、米長期金利が急上昇した事を受けてドルが買われる中、ユーロ/ドルが下落したためユーロ/円は伸び悩んだ。

10日
独11月ZEW景気期待指数は39.0と予想(44.3)を下回り、前月(56.1)から低下した。ユーロ圏11月ZEW景気期待指数も32.8と前月(52.3)から大幅に低下した。

11日
ラガルドECB総裁は「景気刺激策は規模とともに期間が重要」とした上で、12月に見込まれる追加緩和について「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)と、条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)が柱になる公算が大きい」との見解を示した。ECB総裁が追加緩和に踏み込んだ発言を行った事で一時ユーロ売りが強まった。

23日
仏11月製造業PMI・速報値は49.1、同サービス業PMI・速報値は38.0と、いずれも市場予想(49.9、39.6)を下回った。その後、独11月製造業PMI・速報値は57.9と予想(56.0)を上回った一方、同サービス業PMI・速報値は46.2と予想(46.3)を僅かに下回った。なお、ユーロ圏11月製造業PMI・速報値は53.6、同サービス業PMI・速報値は41.3(予想:53.2、42.0)であった。

24日
独11月Ifo企業景況感指数は90.7と予想(90.2)をやや上回った。ただ、内訳の期待指数は91.5に留まり、予想(93.5)に届かなかった。なお、これより前に発表された独7-9月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+8.5%と速報値(+8.2%)から上方修正された。

25日
英国とEUの通商交渉について、フォンデアライエン欧州委員長は「英国と合意に至るよう全力を尽くすが、合意できるかはまだ確実ではない」「交渉に進展は見られたが、まだ大きな隔たりは残る」「今後数日が重要であり、EUは合意なしシナリオも準備」などと発言。これを受けてポンドとユーロは一時売りが優勢となった。

26日
ドイツは、ロックダウン(都市封鎖)を12月20日まで延長。ユーロ圏各国で新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けた措置が強化された事などからユーロが下落。ドル安の進行でユーロ/ドルが約3カ月ぶりの高値圏で推移していたため、利益確定のユーロ売りが出やすかった模様。

11月の各市場

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11月のユーロ/円ポジション動向

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12月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 12月の見通し

ドル安主導のユーロ高がどこまで続くかが12月のユーロ/円相場のカギとなりそうだ。11月はユーロ/ドルが約2.4%上昇した一方でドル/円の下落が約0.3%に留まったため、ユーロ/円は約2.1%上昇した。

バイデン新政権下での財政拡大観測や米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策長期化観測などからドルの先安観は根強いものの、ユーロにも「弱み」がない訳ではない。欧州中銀(ECB)が12月10日の理事会で追加緩和に動く公算が大きい点、新型コロナ復興基金を含む欧州連合(EU)予算の採択にハンガリーとポーランドが反対している点、英国とEUの通商交渉が難航している点などはユーロの弱材料と言える。

これらの行方がクリアになればユーロが続伸する事も考えられるが、そうでなければユーロが反落してもおかしくないだろう。海外投機筋のユーロ買いポジションが高水準を維持していると見られる点からも、反落への警戒が必要となろう。12月のユーロ/円相場は、ドルとユーロの弱さ比べが焦点となりそうだ。