総括
政策金利据え置き、格下げは想定内
「通貨11位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド円 6.4-6.9」
(ポイント)
*予想通り格下げされる
*予想通り政策金利は据え置き
*11月はここまで対円で4.35%上昇、年間では13.29%安
*株価指数は11月はここまで9.54%高、年初来0.82%安
*南アの財政赤字は対GDP比62.2%
*9月小売売上は弱かった
*年次投資会議、71億ドルの新規資金を誘致
*南アはコロナ感染者数が75万人超とアフリカ最多
*1ランド6.9円近辺から汚職疑惑で下落
*3Q失業率は悪化
*すべての国との往来を解禁
*ラマポーザ大統領がバイデン氏の当選確実を受け祝意を表明
*10月各PMIは改善
*バイデン新米国大統領は南アに朗報
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*貿易黒字は5か月連続黒字(9月で)
*9月消費者物価はインフレ目標の下限の3%
*IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8%に据え置く
*このところの指標改善は3QのGDP拡大を示唆している
*中銀の20年インフレ見通しは3.4%
*コロナ感染者数は世界12位
*電力供給は不安定
*2Q・GDPは予想より悪化の51%減
*5Gは中国ファーウェイを採用 対中関係は良好
(予想通り週末格下げ)
フィッチとムーディーズは11月20日、すでにジャンク(投資不適格)級にある南アのソブリン信用格付けをさらに引き下げた。債務拡大や財政基盤が引き続く弱まるとみられることが背景。
フィッチは「BB」から「BBマイナス」に、ムーディーズは「Ba1」から「Ba2」に引き下げた。見通しはともに「ネガティブ」。
フィッチは債務拡大が財政への圧力になり、2022年の国内総生産(GDP)も19年水準を下回ると予想した。
一方、S&Pは長期の外貨建て・自国通貨建て格付けを据え置いた。見通しは「安定的」。
(南アの財政赤字)
2019年でGDP比累積赤字は62.2%、単年度の赤字は6.3%である
(予想通り政策金利を据え置き)
南ア中銀は政策決定会合で、主要政策金利であるレポレートを3.5%に据え置いた。クガニャゴ総裁は、物価上昇が引き続き緩やかで、新型コロナウイルス禍の先行きは不透明だという見解を示した。
5人の政策委員のうち3人が金利据え置きを支持、2人が0.25%の利下げを主張した。
ムボウェニ財務相は先月の予算演説で、財政赤字と債務総額がさらに拡大すると表明。経済成長は弱さが続くとの見通しを示した。保守的な姿勢を取る南ア中銀は、さらなる金利引き下げや赤字を埋めるための通貨発行の要求に抵抗。この日は、金利決定は経済指標に依存し、「見通しに対するリスクバランスに注視する」と繰り返し主張した。
総裁は「経済・金融情勢は当面不安定な状態が続くと予想される」とし、新型コロナ感染は波があると予想。経済がいつ成長に戻るかを判断するのは難しいと述べた。
(弱い9月小売売上高)
9月小売売上高は前年同月比2.7%減。8月は4.1%減少。ロックダウン明けにもかかわらず、経済活動の回復が鈍いことが示された。衣料品、医療品、化粧品の売り上げが減少した。前年比では6か月連続で減少した
(年次投資会議、71億ドルの新規資金を誘致)
政府の年次投資会議で、今年は企業や金融機関から約1100億ランド(71億ドル)相当の新規投資の申し出があったとした。コロナ禍からの回復を目指す政府にとって追い風となる。
ラマポーザ大統領は2018年に初めてこうした会議を開き、雇用創出と成長率押し上げのため、5年間で1兆2000億ランドの投資を誘致する目標を掲げた。
過去2回の会議で寄せられた投資の約束は累計6600億ランドを超えたが、コロナ禍が原因で一部は撤回や縮小に追い込まれた。
会議で表明された投資の中で、最大額はブラジル、ロシア、インド、中国、南アの新興5カ国(BRICS)が共同出資する新開発銀行(NDB)の320億ランド。また南アのエネルギー・化学製品企業サソールは最低54億ランド、米飲料大手ペプシコは55億ランドの投資を約束した。ラマポーザ氏は、世界的に経済環境が落ち込んでいることを踏まえれば、新規投資の額は非常に大きいと述べた。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン上限から小反落
日足。ボリバン上限からはじり安。11月19日-20日の上昇ラインがサポート。11月9日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、雲の上。
週足。雲の上に出る。11月9日週-16日週の下降ラインが上値抵抗、11月9日週-16日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上限。
月足。9月-10月の上昇ラインがサポート。7月-10月の下降ラインを上抜く。まだボリバン下位。雲の下。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
アフリカの新型コロナ感染者、200万人突破
アフリカで確認された新型コロナウイルス感染者数が累計200万人を突破した。
アフリカの新型コロナ感染者数は201万2000人超。世界全体に占める割合は4%未満だが、検査数の低さなどを理由にアフリカの感染者や死者の多くが見逃されている可能性が高いとみられている。
アフリカの新型コロナ感染症による死亡率は約2.4%と、中南米、中東に次いで世界で3番目の高さとなっているが、累計の死者数は現時点で4万8000人超と中南米や中東に比べはるかに少ない。南アは感染者数が75万人超とアフリカ最多で、死亡率は2.71%となっている。アフリカの1万人当たりの感染者数は約15人。
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