総括
経済指標改善、貿易黒字継続で底堅い
「通貨11位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド円 6.2-6.7」
(ポイント)
*壁となっていた対円6.5を漸く上抜けた
*10月各PMIは改善
*今週は10月企業信頼感指数、9月製造業生産、3Q失業率の発表がある
*バイデン新米国大統領は南アに朗報
*財政赤字は今後も拡大
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*貿易黒字は5か月連続黒字(9月で)
*9月消費者物価はインフレ目標の下限の3%
*国家的災害事態を11月15日まで延長
*財政赤字がGDP対比14.6%と、1994年のアパルトヘイト終結以降で最大となる
*IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8%に据え置く
*このところの指標改善は3QのGDP拡大を示唆している
*政策金利は据え置かれたが中銀は緩和策維持の姿勢
*中銀の20年インフレ見通しは3.4%
*海外渡航が再開された
*コロナ感染者数は世界12位
*電力供給は不安定
*2Q・GDPは予想より悪化の51%減
*5Gは中国ファーウェイを採用 対中関係は良好
*1Q若年層の失業率は 59.0%
(経済指標改善で6.5円突破)
4月以降、壁となっていた対円6.5を漸く上抜けた。次の目標はコロナ感染拡大前の7円台か。今年の高値は7.805。5か月連続の黒字になった9月貿易収支に続きが経済指標が改善した。アブサの10月の製造業PMIは60.9と、前月改定値の58.5から上昇した。一部の企業は、需要が新型コロナウイルス流行前の水準に近づいていると指摘。在庫を積み増す動きが出ている。南ア国内の感染ペースは鈍化しているものの、欧州で感染が急増すれば、輸出や海外事業に悪影響が出る可能性がある。またマークイット10月の民間PMIは51.0と、好不況の分かれ目となる50を2019年4月以来18カ月ぶりに上回った。9月は49.4だった。政府は9月中旬に厳格な行動規制を一段と緩和した。生産指数は51.5で5カ月連続の上昇。5月には22.8まで低下していた。新規受注指数は51.7で、前月の48.5から上昇した。3Q・GDPが回復し、4Qもプラス成長になる可能性がある。
(今週の指標)
10月企業信頼感指数、9月製造業生産、3Q失業率などだ
(バイデン新米国大統領は南アに朗報)
バイデン新米国大統領で米中関係が改善すれば新興国にもメリットとなる。中国景気回復に繋がれば、南アの鉱産物資源への需要が高まるだろう。南アの貿易シェアーでは輸出入ともに中国が首位であるので中国景気の影響は大きい。
(財政赤字は今後も拡大)
中期予算方針によると、南アの公的債務の国内総生産(GDP)比は19年度末に63%だった。20年度末は82%、25年度末には95%に膨らむと見込む。財政悪化の主因は従来、国営企業の経営を支援するための資金投入だったが、新型コロナ関連の支出が追い打ちをかけた。
(公務員の昇給凍結は世銀からの融資も絡む)
世界銀行は南ア政府に対し、融資を確保するには賃金の引き下げが必要であり、支払い不能に陥った国営企業の救済に融資資金が使われることは望まないと伝えた。
これらの要求により4月に開始された融資交渉が暗礁に乗り上げている。南ア財務省国庫局は6月、世銀に最大20億ドルの融資を要請すると表明していたが、ラマポーザ大統領はその後、世銀が同国向けに配分可能な額は9億ドルだと述べた。
世銀は、賃金引き下げや国営企業支援を巡る条件を課すことを求めていないとしたほか、20億ドルという金額は正確ではないと説明。さらに、世銀は南アに対し他の融資を今年は行っていないと述べた。
(南ア株価指数は健闘)
南アJSE全株指数は11月6日終値で56387.04、年初来1.22%安でコロナ禍の中では大きく崩れず健闘していると言ってよいだろう。メキシコ株価指数は11.51%安である。
テクニカル分析(ランド/円)
ついに6.5越えで越週 ボリバン上限上抜く
日足。ボリバン上限上抜く。11月4日-6日の上昇ラインがサポート。5日線上向き、雲の上。ボリバン3σ上限は6.68。
週足。7月20週-10月26日週の下降ラインを上抜きボリバン2σ上限へ。10月26日週-11月2日週の上昇ラインがサポート。雲中へ上昇。
月足。ついに6.5を上抜く。9月-10月の上昇ラインがサポート。7月-10月の下降ラインがを上抜く。まだボリバン下位。雲の下。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
南ア鉄道、略奪天国
新型コロナウイルス対策のロックダウンで3~6月に営業を見合わせた南アの都市近郊電車路線で、電線やケーブルなど設備の略奪・破壊が相次いでいる。電車が走らなくなり、警備が手薄になったところを狙われた。約2200キロある路線の大半で運転が再開できていない深刻な状態が続いている。
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