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天下分け目のテレビ討論会はここに注目! 吉崎達彦(双日総研チーフエコノミスト) 米大統領選2020

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「出たとこ勝負」の生放送 テレビ討論会日程

 今日は9月7日(月)。アメリカのマーケットはレイバーデイで祝日となる。大統領選挙の年は、この日を過ぎるといよいよ終盤戦である。
 現下の状況はといえば、挑戦者のジョー・バイデン元副大統領が世論調査ではリードしている。州ごとの「票読み」を行ってみても、やはりバイデン氏が優勢。とはいえ、6~7月頃に比べるとその差はやや詰まってきている。
 ひとつには新型コロナ感染が落ち着きを見せ始めた。そうなると、現政権の「コロナ失政」を攻撃してきた民主党の勢いが少しだけ弱まる。逆に人種差別への抗議運動が頻発し、治安が悪化していることに注目が集まり始めた。トランプ大統領は「民主党は過激派に乗っ取られている」と非難し、これを挽回のきっかけにしようとしている。
 バイデン氏としても今までは「ステルス戦略」で、トランプ大統領の自滅を待つ作戦が功を奏してきた。しかし民主党、共和党の党大会も終わって、大統領選はいよいよガチンコ勝負の季節。ここから先は、自分から大統領ポストを奪いに行かなければならない
 となれば、これから先の注目点は2人の候補者の直接対決となるテレビ討論会だ。トランプ氏はここで一気に差を詰めたい。バイデン氏は、この難所を無事に過ごせば勝利が見えてくる。
 以下の通り、大統領候補同士は3回、副大統領候補同士は1回の対決が予定されている。全体の時間は1時間半。6つのパートでどんな議題を振るかは司会者の腕の見せ所だ。ただし10月15日の2回目の大統領討論会はタウンホール形式となり、両候補がその場で聴衆からの質問を受け付ける。

4つのテレビ討論会

日程 正/副 開催地 フォーマット 司会者
9月29日 大統領(1)

オハイオ州

クリーブランド

15分間×6パート(90分) クリス・ウォレス (Fox News)
10月7日 副大統領

ユタ州

ソルトレークシティ

10分間×9パート(90分) スーザン・ペイジ (USA Today)
10月15日 大統領(2)

フロリダ州

マイアミ

タウンホール形式(90分) スティーブ・スカリー (CSPAN)
10月22日 大統領(3)

テネシー州

ナッシュビル

15分間×6パート(90分) クリステン・ウェルカー (NBC News)

 今年のテレビ討論会は、「動と静」の対決となろうトランプ氏は74歳でも元気いっぱい。何より根っからのテレビマンで、「出たとこ勝負」という生放送の怖さを熟知している。アドリブありハッタリありで、縦横無尽に揺さぶりをかけてくるだろう
 対するバイデン氏は冷静さが売り。失言を避けて、「大統領らしい」振る舞いを見せれば勝ちと評価されるだろう。ただし77歳という年齢のせいか、時おり心ここにあらずといった表情を見せることがある。仮に放送中に「空白の45秒」みたいな間を作ってしまったら、「大統領は務まらない」という評価を受けてしまうだろう。
 テレビの生放送は怖いもので、思わぬところで人間性が表に出てしまう。1992年選挙では、現職のパパ・ブッシュ大統領が放送中に腕時計を「チラ見」したことが、「冷たい人」の印象を与えてしまった。2000年選挙では、子・ブッシュ・テキサス州知事の出来の悪い答えに、ゴア副大統領が大げさに呆れてみせたポーズがかえって反感を買った。
 4年前のテレビ討論会のことを思い出す。ヒラリー・クリントン氏とトランプ氏は、互いに丁々発止の「口撃」を展開した。とはいえ、あまりにも個人攻撃が多く、政策論議としては深まらず、見ていてうんざりさせられたものだ。
 それでもキラリと光るシーンはあった。タウンホール形式で行われた第2回討論会、最後に登場した質問者は、「言いたいことはよくわかった。それはさておいて、あなたたちが互いに尊敬していることを一つだけ挙げてほしい」と述べた。
ヒラリー・クリントン氏は「彼の子供たちのことを尊敬している。すばらしく有能で献身的だ。それはきっとドナルドのお陰なのだろう」と言った。
 トランプ氏は、それはお世辞だ、と言った後にこう返した。「ヒラリーは逃げない。諦めない。そこを尊敬している。そう、彼女はファイターなのだ」。
 その人となりを最もよく知るのは、本人の親兄弟や友人・知人などよりもライバルなのだそうだ。トランプ氏とバイデン氏の間で、こんなやり取りが成立するだろうか。初の70代対決の論戦はどんなものになるのか。アメリカ大統領選挙の歴史に、新たな1ページが加わることになる

yoshizaki.jpg吉崎達彦氏
1960年富山県生まれ。1984年一橋大学卒、日商岩井㈱入社。米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て企業エコノミストに。日商岩井とニチメンの合併を機に2004年から現職。 著書に『アメリカの論理』『1985年』(新潮新書)、『オバマは世界を救えるか』(新潮社)、『溜池通信 いかにもこれが経済』など。ウェブサイト『溜池通信』(http://tameike.net )を主宰。テレビ東京『モーニングサテライト』、BS-TBS『Biz Street』などでコメンテーターを務める。フジサンケイグループから第14回正論新風賞受賞。