総括
悪材料で反落、外貨準備に注目
(通貨10位、株価3位)
予想レンジ トルコリラ/円 15.2-16.2
(ポイント)
*今週は外貨準備に注目したい
*経常収支や鉱工業生産、小売売上は悪化
*海外からの観光客を受け入れる
*シリアやリビアでロシアと敵対関係にあり
*5月は6か月ぶりに月足は陽線となった(対円)
*米トルコ首脳会談あり。ギュレン派逮捕
*5月消費者物価は上昇
*株価は意外と底堅い
*外貨取引税を引き上げ
*6月1日より経済活動再開
*5月製造業PMIは改善も50割れ
*リラ売り銀行の取引停止、外貨購入税の引き上げ、輸入関税でリラ安阻止
*1Q・GDPは前年比4.5%とまずまず
*フィッチこれ以上の格下げはないと表明
*追加輸入関税を実施
*通貨スワップ締結交渉が進んでいる
*民間の成長予想は弱気、政府予想は強気
*コロナウイルス感染拡大で総額1000億リラの経済対策を発表
*19年4Q/GDPは前年同期比6.0%増
*非居住者との間の為替スワップを制限
(今週は外貨準備の発表に注目)
今週は外貨準備の発表(18日)がある。4月から減少しリラ売りの材料とされてきたが、カタールとのスワップ協定成立もあり、5月24日週から下げ止まっている。前回は556.09億ドルであった。
(悪材料で反落)
5月はコロナウィルス感染での経済活動抑制から世界的な再開期待や外貨準備の減少が止まったことで上昇したが、先週は伸び悩んだ。コロナウィルス感染の第2波懸念やトルコが関わっているシリア、リビアの紛争拡大懸念、国内的には経常赤字の拡大や鉱工業生産の悪化が響いた。4月経常赤字は50.62億ドルと3月の48.44億ドルの赤字より拡大した。5か月連続赤字である。新型コロナ対策で輸出と観光が打撃を受けた。4月鉱工業生産指数は前年比31.4%低下と、予想の17%低下を上回る大幅な落ち込みとなった。3月は2%低下だった。4月小売売上も前年比19.3%減となった。3月は0.9%増。
(成長見通し)
トルコ政府は新型コロナの流行前、今年の経済成長率を5%と予測していたが、その後もプラス成長の予測を維持している。ただ、民間では今年はマイナス成長になるとの見方が多い。対円でボリバン上限の16.25から下落したが、下限の15.54あたりに近づいてきているので追加の売りは慎重にしたい。
(リビア内戦、攻守逆転 トルコ介入、暫定政権優位に)
内戦が続く北アフリカのリビアで戦況が大きく変化している。首都トリポリを拠点とするシラージュ暫定政権が5月中旬以降、東部を拠点とするハフタル将軍率いる民兵組織「リビア国民軍」(LNA)の航空基地などを奪取し、攻守が逆転した。暫定政権を支援するトルコのてこ入れが背景にあるが、LNA側につくロシアも雇い兵部隊などを派遣して介入を強化。ロシア、トルコがそれぞれ別の勢力を支援するシリア内戦の構図が一部「移転」した形で、戦火が更に激しくなる恐れが強まっている。
シリアに続いてリビアでもロシアが介入を強化する状況について、これまでリビア内戦への関与が薄かった米国は警戒を強める。
(株は世界水準では健闘している)
通貨リラのじり安傾向を反映してトルコ株価指数は回復しプラス圏へあと一歩となっている(15日現在で年初来4.26%安、日経は8.99%安)
(観光客受け入れ再開)
夏の観光シーズンに向けてトルコは、新型コロナウイルス対策で国境を封鎖してきた措置をほぼすべて解除し、外国からの観光客も健康診断で問題がなければ受け入れることになった。
トルコ政府は、新型コロナウイルスの感染が拡大した3月からすべての国際便の運航を停止するなど、陸路や海路を含めて国境を封鎖する措置を続けてきた。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン下限から反発
日足、6月8日-11日の下降ラインを上抜くも伸び悩む。ボリバン下限からは反発、6月11日-12日の上昇ラインがサポート。6月8日-15日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。ボリバン下位。雲中
週足、先週は5週ぶり陰線。5月11日週-6月8日週の上昇ラインがサポート。
6月1日週-8日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、5月は6か月ぶり月足陽線。ボリバン内へ戻る。20年3月-4月の下降ラインを上抜く。2月-3月の下降ラインが上値抵抗。
年足 5年連続陰線、今年は陽転して始まるも陰転。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
米ツイッターを批判
米ツイッターがエルドアン大統領を支持するアカウントを7000以上凍結したことについて、トルコ当局者は日、同社がトルコ政府を中傷し、国内政治の改変を試みていると批判した。ツイッターはエルドアン大統領率いる国政与党・公正発展党(AKP)を支持する政治的な投稿を拡散するためのアカウントが年初に検出されたとして、7340のアカウントを凍結した。
トルコ政府は「ツイッターが単なるソーシャルメディア企業ではなく、特定の政治的・思想的偏向を兼ね備えた宣伝組織であることが改めて示された」と批判した。
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