昨年12月中国の湖北省武漢で発生し、現在全世界で感染が拡大している新型コロナウイルスについて、トルコでは国内への感染を防ぐために、今年1月以降次のようなさまざまな対策を行ってきました。
1.医療関連
まず、保健省科学委員会が医療専門家向けに『2019-nCov症例ガイド』を作成し、1月14日に公表しました(2月10日に内容を更新)。
また、保健省のウェブサイトでは、一般国民向けに新型コロナウイルスの定義から予防法に至るまで、新型コロナウイルスに関して質疑応答の形式でわかりやすく解説しています。
発症者が出た場合に備えて、指定された病院に患者の隔離室を準備し、抗ウイルス薬をストックしました。
新型コロナウイルスの発症が疑われる場合に診断する国産のキットを開発し、90~120分で結果が得られるようになりました。
医療関係者用のマスク、防護服、医療機器を十分に確保しました。
2月下旬になると、マスクの在庫不足を受けて、国内のマスク製造メーカーは国内の需要を満たすために、3シフトを組んで増産体制に入りました。
2.交通関連
航空便については、トルコのナショナルフラッグキャリアであるターキッシュエアラインズは、1月22日に武漢とイスタンブール間の全フライト、2月5日からは中国全土からの全フライトを当分の間運休しています。
これを受けて、2月1日、武漢に取り残されたトルコ人の他、周辺諸国のジョージア人、アゼルバイジャン人などを帰国させるためにトルコ国軍の軍用機が医師、看護師を同乗させてアンカラから武漢に飛び立ち、3日にアンカラに帰還しました。
その後乗員を含め搭乗員全員が14日間隔離されましたが、検査の結果全員陰性と判明し、14日後に開放されました。
2月上旬には、アジア地域での感染者が増加していることを受けて、イスタンブール空港では、東アジアからのフライトの搭乗者を対象に、サーモカメラでの監視を開始しました。
2月23日には、イランでの感染者が死亡者が増加の一途をたどっていることを受け、トルコ政府は、トルコ東部に4箇所あるイランとの国境検問所を当分の間閉鎖することを決定しました。
また、ターキッシュエアラインズはイランとトルコ間のフライトを全面的に運休しました。
ただし、イラン国内にいるトルコ人とトルコ国内にいるイラン人の帰国は許可されています。
この措置に伴い、2月25日、イラン国内に取り残されたトルコ人を乗せたターキッシュエアラインズの特別機がテヘランからアンカラに到着し、乗客、乗員全員を14日間隔離することが発表されました。
なお、2月27日現在、中国を除き世界で最も感染者を多く出している、韓国、イタリア、日本などからのフライトに対する飛行制限はありません。
ただし、イタリアとイラクの感染者が多数出現している地域に対しては、不要不急の渡航をしないよう警告が出されています。
3.観光関連
1月22日、武漢出身の旅行者がイスタンブールで発熱したことを受けて、同行者十数名と共に隔離しましたが、36時間後、病人の希望により、医師と看護師を同乗させた飛行機で中国に帰国させました。
これ以降、トルコ国内を旅行中の旅行者が発熱する度に新型コロナウイルスの検査を行っています。
また、感染者の多い地域からのフライトで発熱した搭乗客も隔離して検査を実施していますが、いずれも陰性となっています。
このように、トルコでは官民一体となって感染者を出さないように取り組んでおり、2月27日現在、新型コロナウイルスで陽性反応を示した患者は出ていません。
PickUp編集部 トルコ特派員